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農林水産省

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特集1 海に挑む。(4)

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海を守り、育むために 今、漁業の現場では

養殖業の場合 地域の漁業活性化を目指す


「協業」にこだわり、養殖を柱として、魚価の安定を目指す中核的漁業者協業体のリーダー。
山口県下松市 村上静香さん
村上静香さん
平成12年に山口県下松市で結成された中核的漁業者協業体の代表、村上静香さん

蓄養、種苗の中間育成及び養殖を行っている下松市栽培漁業センターの水槽
放流用の種苗を育成することも水産資源確保には重要な仕事です。写真は蓄養、種苗の中間育成及び養殖を行っている下松市栽培漁業センターの水槽

笠戸ひらめ
「笠戸ひらめ」。近年、養殖の技術革新が進み、養殖できる魚種も増えました


地区全体の漁業収入の向上や資源確保のために

山口県西部の瀬戸内海に面した下松市。村上静香さんの故郷です。平成3年、村上さんは父親の急逝により神奈川県からUターンし、家業だった養殖業と定置網漁を継ぎました。

「まさか漁師になるとは思ってもみませんでした。父親が残してくれた船や漁具が揃っていたし、漁業権もあった。なかったのは漁師として必要な技術と収益を上げられるノウハウだけ」

帰郷後、市の栽培漁業センターに通って養殖の手法を学び、まずヒラメ養殖に着手。ヒラメ養殖では生餌の過剰投餌など、漁場管理や飼育管理が不適切だったため、ヒラメは成長不良に陥りました。それを栄養剤で補おうとしましたが、なかなか成果が得られず撤退。しばらく試行錯誤が続きました。

その後、高値で取引されていたトラフグ養殖に取り組むなか、定置網漁、養殖業の複合経営を行っている同年代の漁師たちに出会い、協業体を結成。今では漁場管理、飼育管理を徹底し、水産資源を維持する取り組みを行う下松漁協中核的漁業者協業体の中心的存在として、積極的に活動をしています。

その地に合わせその海を知ること

村上さんは漁業経営を進めるなかで、環境に負荷をかけない飼育がひいては資源の育成保護や経費の削減につながることを実感したのでした。
「生餌より配合飼料のほうが環境に負荷がかからないことが分かりました。しかも生けす内が自然界のように循環する量を与える。そうすれば水質も改善されるし、魚は健康に育ち、栄養剤の投与も必要なくなりました」

村上さんは漁獲にしても養殖にしても、自分が向き合う海を知らなくてはだめだといいます。
「ほかの地域でやっている養殖方法をここでやってもだめ。海が違えば、たとえ同じ種類の魚介でも管理は異なります。それも考慮しながら季節ごとの管理を的確に行うことが養殖では大切です」

ヒラメ、トラフグの養殖のほか、現在、注力しているのが赤貝の養殖。一時衰退したとはいえ、下松は鉄筋かごによる赤貝養殖発祥の地だそうです。亡父も赤貝の養殖を手がけていました。二枚貝の赤貝は水中のプランクトンをエサにするため給餌の必要がなく、また赤潮等の被害に比較的強いのだといいます。

村上さんは魚介の生態を熟知して適正に育成することが、最終的に養殖業者の安定収入につながり、それが地域にも活力をもたらすと考えています。赤貝のブランド化に挑む村上さんの多忙な日々は続きます。

生育環境の保全に努めている養殖場
一時期、養殖魚の問題となった薬品についても可能な限り使用しない方向で使用量を半減させ、生育環境の保全に努めています


活動の実績
種苗生産飼育棟内で5mm程度に育ったヒラメの稚魚/飼育棟/料理教室
種苗生産飼育棟内で5mm程度に育ったヒラメの稚魚

飼育漁場のCOD値推移 COD推移値の変化。ドッグフード状の配合飼料に置き換えた変化が著しい
(COD:水の汚れを示す指標)