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農林水産省

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MAFF TOPICS(2)

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MAFF PERSON 農林水産省の仕事場紹介
森林管理局 森林官

国有林の最前線で活躍する森林の専門家

MAFF PERSONでは、農林水産省と関連機関で働く人と仕事をご紹介します。


国有林は日本全国の森林の3割を占めており、土砂崩れの防止や水源のかん養地球温暖化の防止、動植物の保全、木材の生産などさまざまな働きをしています。
森林官は国有林が健全に保たれ、公共の利益になるように調査や保護・管理を行ったり、将来を見据え間伐や植林を計画したりと、森を守る仕事を最前線で担っています。

木の配置を考慮して森林の中の木を伐採
木の配置を考慮して森林の中の木を伐採。残された木が枝葉を伸ばせるだけの充分な空間が程よく開いているかを確認している。富士山のなだらかな裾野はヒノキ、中腹付近にはモミの木が植林されている

作業現場では、伐採・手入れの仕方や作業の進行状況を確認する
作業現場では、伐採・手入れの仕方や作業の進行状況を確認する

森林全体を見ながら間伐する木を決め、太さを測る。伐採する木には目印のテープを巻いていく
森林全体を見ながら間伐する木を決め、太さを測る。伐採する木には目印のテープを巻いていく


巡回中ツルの巻いている木をみつけたら、ナタで切って取り除くのも仕事の一つ
巡回中ツルの巻いている木をみつけたら、ナタで切って取り除くのも仕事の一つ。そのままでは木本体が枯れてしまう

シカの食害にあった木
シカの食害にあった木。シカが多く見られる地域で30m×30mの調査区を5か所設けて調べたところ、1haあたりのヒノキの本数1322本のうち73%に被害があった
イメージは山の駐在さん
「森林官の仕事は山の駐在さんのようなものです。山火事、不法投棄、無断伐採など異常はないか、地域の方々とも情報交換をしながら国有林を見回っています。また森林を育てるのも重要な仕事ですから、植林、下刈り、間伐をするための調査を行い、計画を立てます。作業は一般の業者さんにお願いしますので、その監督業務も行います」と、静岡森林管理署上井出森林事務所の森林官、千葉賢史さん。

千葉さんが管轄するのは富士山の静岡県側、標高約800mから3200mに広がる国有林のうち、西麓から南麓にかけての約5100ha。

国有林内での調査は、木の生育状況を調べて間伐する森を決めたり、間伐を行うときには、周囲への影響を十分に考えて全体を見渡して計画を立てたり、と多岐に渡ります。

「調査をして最終的にこの木を伐りましょう、と判断するのは私です。この木を伐採すべきか、伐ったことが最善の選択だったのかと悩みます。この判断を下すのが仕事の中でも一番難しく苦労する点です」

深刻なシカの食害
国有林は地域によって地形や気候、植生が多様であり、森林官の業務内容や仕事の進め方はそれぞれの国有林が担う役割によって異なります。千葉さんが担当する地域で、いま重点的に取り組んでいる仕事はシカの食害対策です。このあたりの国有林では、増えすぎたシカが草だけでは足らずに樹皮も食べてしまうのです。

幹の全周の樹皮を食べられてしまうと、その木は栄養や水分が行き渡らなくなり、枯れてしまいます。一部だけを食べられた木は生き残りますが、建築材としては低く評価されてしまいます。シカに食べられた無残な樹木はかなり目につきます。防止策として木にネットやビニールテープを巻くなど、まさに試行錯誤の最中です。今後とも県や環境省と連携を取りながら、被害を食い止め国有林を守りたいといいます。

この国有林には樹齢80年を超す木も多数あります。いま調査し計画して行う仕事が何十年後かに実を結び形に残る。重責ではありますが、非常にやりがいがありますと千葉さんは話してくれました。


聞いちゃいましたここだけの話
国有林への訪問者たち

森林での仕事ですから、野生動物と出会うことはよくありますね。
巡回していると道の真ん中にキツネがちょこんと座っていたとか、オスのシカがこっちに向かってのそのそと歩いてくるので、何だろうと思っているといきなりゴロンと転がって、見せつけるかのように、体を地面にこすりつけ泥浴びを始めたこともありました。

この辺の森はツキノワグマが生息しています。山に入るときはクマよけの鈴を必ず鳴らしながら歩きます。
幸か不幸か直接遭遇したことはありません。でも山を見回っているときに、一目散に逃げていく黒い背中を見たことや、調査をしていたら背後で突然ドスンと、なにかが落ちた音がしたこともありました。木の上からあんな音がする大きなものが落ちる、なんて考えられませんから、クマだったのかもしれませんね。

万が一クマに出会ったときのために、クマよけスプレーも持っています。カプサイシンが主成分で、クマに向かって眼つぶしのためにプシューとかけます。ただし風向きを考えないでやると、自分にかかって無茶苦茶痛いのです。もっとも襲われたら、そんなに冷静ではいられないと思いますので、なにも考えずにかけてしまって、風向きが悪かったら自分も痛みを我慢しなくては、っていうことになるかもしれませんね。
(林野庁 関東森林管理局 静岡森林管理署 上井出森林事務所 森林官 千葉賢史さん)

現場の基本は山歩き
現場の基本は山歩き。日々、担当地域を見て回り、森林の状態を把握する

森林官の必携アイテム
森林官の必携アイテム。ヘルメット、蜂よけネット、グローブ、鞘に入ったナタとのこぎり、鈴、コンパス、蜂にさされたときに使う緊急注射用キット、クマよけスプレー、蜂用殺虫剤、そして裏にスパイクが付いた地下足袋と脚絆