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農林水産省

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特集1 ヨリドリミドリ(2)

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安全でおいしい鶏肉を食卓へ


養鶏業は、鶏肉の生産と鶏卵の生産に分けられます。さまざまな料理に使われ、消費量も多い鶏肉とみんなが大好きなタマゴ。ここでは、鶏肉を中心にのぞいてみましょう。

養鶏場

安定供給のブロイラーと特徴ある地鶏
現在流通している食肉用のニワトリには「ブロイラー」「地鶏」「銘柄鶏」があり、全国で出荷されているほとんどの鶏肉はブロイラーと呼ばれているものです。
ブロイラーといっても、そのような名前の品種がいるわけではありません。短い期間で出荷できるように改良された肉用若鶏の総称です。成長速度が早く、飼料効率にもすぐれたブロイラーは、通常ふ化して50~56日で出荷されます。

一方、地鶏には多様な品種があります。食生活や嗜好の多様化がすすみ、ブロイラーとは違う味わいの地鶏が注目されるようになり、その地方の在来種や肉の味に定評のあるニワトリを利用した地鶏が、全国各地で作出されています。一般に地鶏は適度な歯ごたえとうまみを重視して、110~150日で出荷されています。
銘柄鶏は、親の鶏種とともに飼料、飼養方法、飼養日齢などに工夫を加え、その内容を明示しているニワトリのことで、全国各地に多様な銘柄鶏が存在しています

安全に食卓へ出荷されるまで
食肉用のニワトリ、とくにブロイラーは採算性を重点にして飼養されます。ブロイラーの標準的な飼い方は、鶏舎の床や地面を、自由に動き回れる平面飼養する方法です。これを「平飼い」といいます。ブロイラーは飼養密度が高いため、ワクチン接種などの適切な病気対策には万全を期し、鶏舎を清潔に保つさまざまな工夫がされています。「オールイン・オールアウト」といって、ひな入れから出荷まで鶏舎単位で行い、出荷後は鶏舎の洗浄、消毒を徹底する方式をとっています。

地鶏も衛生管理や出荷方式はブロイラーと同じです。飼養方法は平飼いがほとんどですが、まれに鶏舎の脇に放牧地を設け、日中屋外で放し飼いにしている生産者もいます。
いずれの鶏種にしろ、いま生産者が最も気を使っているのが、高病原性鳥インフルエンザへの対策です。1人当たり年間11kgもの消費量を数える鶏肉を、いかに安全にそして安定的に供給するか。生産者の日々の努力が続いています。

鳥インフルエンザと闘う生産者たち
平成16年、79年ぶりに国内で高病原性鳥インフルエンザが発生して以降、全国の生産者たちの前に、大きな壁が立ちはだかりました。たった1羽のニワトリに鳥インフルエンザが発症しただけで、鶏舎にいる何百、何千というニワトリを処分しなくてはなりません。これは鶏肉が食品として危険だからではなく、まん延を防止するために必要な措置なのですが、その痛手は計りしれません。水際で発生を食い止める手段はあるのか、どんな予防策があるのか、飼養に関わるすべての従業員に何を徹底させなければならないのか。国、自治体、生産者が一丸となって取り組まなければならない問題でした。たとえば、全国にブロイラーの契約産地をもつ大手食品メーカーでは、次のような防疫対策を実施しています。

ひなのふ化場では、出入りする車輌の消毒、作業員の作業服、帽子、はきもの等の交換消毒。飼料を輸送してくる車輌に対しても農場への出入り口で車輌の消毒を行っています。

農場でも同様に作業服、帽子、はきもの等交換消毒、農場に出入りする車輌の消毒をし、農場関係者以外の立入を制限しています。もちろんニワトリを運ぶカゴの洗浄・消毒は当たり前です。

ウイルスが運ばれる経路を遮断するには、ニワトリ、飼料、鶏肉を運搬する車輌という車輌の消毒を徹底し、外部からの人の出入りも制限するしかないのです。ウイルスの媒体となる野鳥や野生動物の侵入を防ぐべく、農場の周囲にはネットや金網を張り巡らせ、農場関係者全員が渡り鳥など、ほかの鳥との接触を避けるように申し渡されています。

農場規模の大小にかかわらず、防疫対策への投資は予想以上に必要だったといいます。ですが、鶏肉を安定的に供給するためにはこうした予防が何よりも大切なのです。鳥インフルエンザへの防疫対策は今後もずっと続きます。

こうして鶏肉が私たちの食卓に届けられているのです。

養鶏場
白色コーニッシュ種のオス
白色プリマスロック種のメス
ブロイラーの種鶏品種
食肉用に改良された白色コーニッシュ種のオス(上)に白色プリマスロック種のメス(下)を交配したものが、世界のブロイラーの大半を占めている
採卵用のニワトリ
日本は1人当たりの卵消費量が世界トップクラス。平成19年度の消費量が270万トンで、これを個数換算すると約400億個にもなります。

ニワトリ1羽が産む卵の数は1年間におよそ300個。ふ化してからだいたい150日くらいで卵を産むようになります。産み初めてからまもなく毎日産むようになり、産卵開始後2カ月程度でピークに達します。そして、1年後には約65~75%にまで産卵率が低下。養鶏場では1年半ぐらいで新しいニワトリと交替させます。

採卵用のニワトリは何段か積み重ねられたケージで飼養されるのが一般的です。ケージは数羽ごとに仕切られています。産んだ卵は少し傾斜のある床をころころと転がり、集卵用の樋へ。規模の大きな養鶏場はベルトコンベアーで自動集卵する装置を完備しているところがほとんどです。

なお、採卵期間を終えたニワトリの肉はブロイラー肉に比べて硬いため、通常は加工用の原料として利用されています。

現在、鶏卵を生産している養鶏場は全国に3110を数えます。どの施設でも鳥インフルエンザ対策に万全を期していることはいうまでもありません。