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農林水産省

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MAFF TOPICS(3)

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MAFF PERSON 農村派遣研修リポートNo.5

家族経営でがんばる生産者の皆さんから刺激を受けました
山形県鶴岡市 本間 卓さん
研修生 古賀 毅さん(経営局総務課)

MAFF PERSONでは、農林水産省と関連機関で働く人と仕事をご紹介します。


農林水産省では、先進的な取り組みをしている全国の生産者のもとに約1カ月にわたり若手職員を派遣、ホームステイをしながら仕事を体験し農林水産業の現状を見聞する、農村派遣研修制度を行っています。日本の農林水産業の未来を担う若者たちの活動をリポートします。

本間さんの長男卓さんと

本間さんの長男卓さんからは農作業の内容や、集落のこと、農家の現状などを教えていただいた

白鳥
すっかり稲刈りが終わった水田には、越冬のために白鳥が飛来していた


トルコギキョウの調整作業
パートに来ている方たちと一緒にトルコギキョウの調整作業を行う。経験を必要とする作業だが「覚えが早い」と周囲に感心されていた

4月に植えたトルコギキョウは9月が収穫時期
4月に植えたトルコギキョウは9月が収穫時期

ビニールハウスは5棟所有
ビニールハウスは5棟所有。トルコギキョウ以外にミニトマトもハウス栽培をしている

茎の長さを揃え、無駄なつぼみや葉を取り調整。10本ずつ束ねられて出荷されていく
茎の長さを揃え、無駄なつぼみや葉を取り調整。10本ずつ束ねられて出荷されていく
初めての農業経験
美しい水田地帯が一面に広がる山形県の庄内平野。鶴岡市はその平野の南半分の広大な面積を占め、西は日本海に面している。

鶴岡市の本間栄さん宅に、古賀毅さんが研修で滞在したのは9月下旬から1カ月間。米、メロン、ミニトマト、花を栽培している本間さんのところでは、それらの収穫で多忙を極めるシーズンでもあった。

古賀さんの研修でのテーマは「家族経営の現状、実態を学ぶこと」だ。

「いままで農業はまったく経験したことがありませんでした。生産者が農産物をどこに出荷して、それがどのように流通するのかといったシステムも正確には理解できていなかったと思います。仕事で家族経営という言葉をよく耳にするのですが、いったい何をもって家族経営であるのか、ということも含めて学びたいと思いました」

田畑以外の作業の多さに驚き
実際に古賀さんに農作業を教え、行動を共にしたのは本間さんの長男の卓さんだ。高校卒業後サラリーマンを経たのちに、実家に戻り農業に就いた。現役でバリバリ働いている父親の栄さんの下で「まだまだ修行中」と謙遜する。

古賀さんは卓さんから教えられながら、メロンを収穫し大きさ別に分けて段ボールに詰めたり、出荷前日に採ってきた花の茎の長さを揃え、葉やつぼみを間引いたりする調整業務などを行った。メロンの収穫時には、朝5時に起きて畑に向かう。

想像していた以上に、農作業の大変さを味わったようだ。

「家族経営の生産者は農作物を栽培し収穫して、そのままの状態で出荷しているだけ、と思っていました。ミニトマトは出荷前に重さを量り、大きさごとに分けてパック詰めまでしなくてはならない。花は採ったあとに、規格どおりの長さに茎を切るなど、段階を踏んださまざまな作業があります。本間さんのところではパートさんを雇っていますが、基本的には家族で手分けしてやっているので、深夜まで作業が及ぶこともありました。農業には夜遅くまで仕事をする、というイメージはなかったので、新たな発見でした」
寝食を共にして現場を体験したからこそ、分かったことも多かった。

「いまはいろいろな作物の収穫が重なって、1年でも忙しい時期なんですよ。農林水産省の研修生ってどんな人が来るか、楽しみということもありましたが、いま人手はなんぼでも必要だから、古賀君が来てくれてありがたいなあと純粋に思いましたね。作業の手順も教えると、すぐに覚えるので助かりました。もっと長く居てほしいくらい」と卓さんは笑いながら話す。

認識が深まった実感
積極的に訪ねた近隣の農家では、減反や戸別所得補償など国の政策を当事者たちがどう考えているか、直接意見を聞くことができた。

家族経営の基礎となる後継者問題は、危機的な状況にあると実感もした。

また集落内の農家同士が協力して作業を行うこともあり、今後の集落の維持や企業化、農作物の販路の国際的な拡大など、考えるべき点も見えてきた。

「厳しい経済環境の中で、家族経営でがんばっている農家は多いのです。今後、彼らを支援できるような仕組みをどう作っていくか、大きな課題だなと考えました」

まだまだ勉強の余地はあるが研修前と比べると、農業の現場の認識が深まる手ごたえを確実に感じた、と話してくれた。




Photo:Atsushi Soumi