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特集 有機農業 -循環と共生-(3)

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共生と循環を可能にする 有機農業は地域の力だ


有機農業の実践者が中心となり、有機農業と地場産業がともに栄える町づくりを推進している現場を訪ねました。

金子美登さん
これで煮炊きもできる
液肥から発生したメタンガスを燃やす金子さん

町再生のキーワード「農家と地場産業の提携」
埼玉県小川町で40年来、有機農業に取り組んできた金子美登さんを訪ねました。

金子さんが運営する霜里農場は、飼っている牛や鶏の糞や落ち葉を利用した完熟堆肥、生ごみを活用したバイオガス、てんぷら油の廃油から精製したVDF燃料など、自然エネルギーを循環させ、農薬と化学肥料を使わずに、自給自足・循環型の有機農業を実現している農場です。

霜里農場にはこれまで世界40カ国から延べ100人を越える研修生が訪れ、現在も10人の研修生が寝泊まりしながら、金子さんの有機農業を学んでいます。

昭和46年、金子さんは農林省農業者大学校の第1期生として卒業。有機農業への道を歩き始めたのは、それからまもなくのこと。無農薬、無化学肥料の米や野菜を直接地元の消費者に届けることを思いつきます。けれど地域には容易に受け入れられませんでした。

農薬を散布しない田畑には害虫がいっせいに寄って来ます。せっかく自分の田畑に農薬を散布しても、金子さんの田畑から虫が自分の畑にやってくるのではいたちごっこ。近隣の農家からの苦情は後を絶ちませんでした。

今でこそ有機農業は認知されていますが、40年前にそれを理解してくれる人はいませんでした。

しかし、金子さんは志を曲げず有機農業を目指し、最終的にはその熱意に触発された地元の農家を巻き込むことに成功します。集落の農家が次々に有機農業に転換し、地域の連携が深まっていきました。

それがやがて、地場産業の振興を後押ししていくことになりました。霜里農場で研修した人たちが小川町で就農し、小川町有機農業生産グループを結成。

その仲間たちが育てた有機農産物を使った豆腐、自然酒、うどんなどの加工品が生まれ、地域全体に活気を与えています。

動物たち
牛たちは牛乳や牛糞を提供してくれるだけでなく、畑の草取りもしてくれる。合鴨は稲の育成期に雑草や害虫を取り、鶏たちは毎日新鮮な卵と、肥料になるサラサラな鶏糞を提供してくれる
動物たち

一緒に植えることで効果が
薬用植物として知られるボリジ(左)。これらと一緒に植えることで葉物野菜の害虫を防ぐ
一緒に植えることで効果が

有効に活用する
受粉を助けるハチも農場で共生する大切な仲間だ(左)。自家製の液肥は良質な速効性肥料。苗をつけておけば化学肥料と同等の効果が得られる(右)
有効に活用する
エネルギーも自給自足
トラクターの燃料はてんぷら油の廃油から精製。また、廃材を燃やして床暖房にしている
エネルギーも自給自足