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農林水産省

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特集 有機農業 -循環と共生-(5)

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原料へのこだわりが蔵の歴史を支える ヤマキ醸造


生産者の意思をくみ取り、有機農産物を積極的に使って味噌や醤油、豆腐などを生産している加工業者を訪ねました。

ヤマキ醸造

醤油づくり
醤油づくり
約90年前に作られた醤油樽。麹菌や酵母が生きているこの樽で1年間じっくり熟成させる

御用蔵
御用蔵
平成3年に豆腐製造工場を設立し、味噌・醤油蔵は平成6年に本庄市内からこの地に移転してきた

ヤマキ醸造
伝統の味を確かなものに
豊かな自然に囲まれ名水の里としても知られる埼玉県児玉郡神泉村。その天然水を使い、明治35年創業以来守り続けてきた伝統製法で味噌・醤油・漬物・豆腐を作り、ナチュラルミネラルウォーターも供給しているヤマキ醸造グループの本社工場を訪ねました。

同社では自らの醸造所を「御用蔵」と呼んでいます。聞けば、「御用聞き」の「御用」、つまり「皆さんのご用に応える蔵という意味」なのだそうです。味噌や醤油、豆腐の原料となる大豆は、グループ会社である「豆太郎」が有機栽培しています。

「豆太郎は有機JASの厳しい検査に合格した経験豊かな生産者集団です。自家採取した種にこだわって、安全で味のいい農産物をつくっています」

開発・企画マネージャーの森田和彦さんがそう説明してくれました。

小さな巨人を目指して
「当社では昭和30年代から有機や特別栽培の農産物を原料に使うようになりました。高度経済成長期を迎え、大手の味噌・醤油会社が生産拡大していけば、うちのような小さな規模の蔵は大手に飲み込まれてしまう。

この一帯は古くから養蚕が盛んでした。おかいこさんのために農薬は使いませんから、桑畑の土壌は有機の土に近かったわけです」

社長の「農業の時代が必ず来る。材料から自分たちで手がけ、小さな巨人になろう」というひと言が、地場の特徴を生かし、こだわりを持ってものづくりをしていくという方針を決定づけました。

この老舗の醸造所で豆腐を作り始めたのは20年ほど前のこと。味噌や醤油は仕込みから出荷まで年月がかかります。最近消費量が減り、安定して収益を上げていくには厳しい時代になりました。

豆腐は製造から出荷までの回転が早く、豆腐だけでなく豆乳や湯葉、おからを利用した商品など、多彩な製品化が可能です。「本業の味噌や醤油の製造だけでは110年の歴史は刻めなかったでしょう」と率直に語る森田さん。

有機に取り組む生産者がいるからこそ
ここでは醤油蔵、味噌蔵だけでなく、豆腐の製造過程も、いつでもガラス越しに見学することができます。また工場見学だけでなく、四季折々のさまざまなイベントを行っています。

「こうして私たちが加工食品業としてやっていけるのは、原料となる作物を真摯に作っている生産者がいるからです。それを消費者の皆さんに知ってもらいたい」

イベントに足を運んでもらい、有機農業やその生産者の横顔を知らせる機会を設けているのだそうです。

醤油しぼり
もろみを布に包み、220~230枚、この中に積み重ねて行く。自重でじわじわと醤油がしぼられていく
醤油しぼり

ヤマキ醸造の有機加工食品
有機農産物を原料にしてつくられた味噌や醤油、豆腐の販売コーナー。ここで売られているトマトケチャップ、ソース、漬物も有機加工食品としてJAS規格の認定を受けている
ヤマキ醸造の有機加工食品

特別栽培農産物とは
原則として、農産物が生産された地域の慣行農業(各地域の慣行的に行われている一般の栽培法)に比べて、節減対象農薬の使用回数が50%以下、化学肥料の窒素成分量が50%以下で栽培された農産物で、節減対象農薬と化学肥料の両方が50%以上削減されていなければ「特別栽培農産物」の表示はできません。無農薬や減農薬で栽培していても、「無農薬栽培米」「減農薬栽培野菜」などの表示は禁止されています。

なお、特別栽培農産物は、有機JASのような認証システムは取っていません。