東日本大震災 水産業の被害状況
![]() 鮎川漁港に打ち上げられた漁船(3月20日宮城県石巻市牡鹿半島) ![]() 津波で破壊された大槌湾(3月21日岩手県大槌湾) ![]() 箱崎漁港(大槌湾)の沖防波堤に打ち上げられた漁船(3月21日岩手県釜石市) |
300を超える漁港が被災
東日本大震災では、巨大地震のあとに大津波が何度も押し寄せたことから、太平洋沿岸の漁港、漁村など、産業や生活の基盤に甚大な被害が発生しました。漁船、養殖施設、市場、水産加工場など水産業にとって重要な施設に加え、造船など関係産業も類を見ない打撃を受けました。漁港数も漁船数も多い岩手県、宮城県では、ほとんどの漁港が深刻な被害を受けました。東洋一といわれる石巻漁港の陸揚げ岸壁も地盤沈下などの被害を受けました。 漁船をはじめ、さまざまな船が海底に沈んだり、沖に流されたりしました。また津波によって多くの船が陸上に打ち上げられました。なかには80m前後の大型漁船が港から1kmも離れた住宅街に打ち上げられていた例もありました。 漁船の被害数は1万8,936隻、被害漁港数は319漁港にのぼります(4月26日現在)。 市場や加工施設がなければ水産業は成り立たない
津波が去ったあとの漁港は無残な姿に変貌していました。水揚げした魚を処理する加工施設もセリでにぎわう市場も破壊され、湾内には漁具やブイ、建物の残がいが漂い、日頃見慣れた海面は見る影もありません。港や湾内に沈んだ船や建物などのがれき、海面に浮かぶ漁具などの膨大な量の残がいが撤去されなければ、安心して船を出すことも、養殖いかだを設置することもできません。 また、加工処理施設や市場を再建・再開しなければ、魚を消費者に届けることもできません。 養殖施設も多数が流失
養殖施設も各地で壊滅的な被害を受けました。カキの養殖は短くても収獲するまでに1年以上かかります。ホヤは幼生をいかだに吊るしてから収獲までに3~4年かかります。 この春、収獲を迎えるはずだったワカメの養殖いかだは、津波によって一瞬のうちに破壊され、流失してしまいました。 養殖業者の落胆は大きく、廃業を口にする人も少なくありません。 放射性物質による被害の経過
福島県及び茨城県のコウナゴ(イカナゴの稚魚)から、暫定規制値を超える放射性物質が検出されたことを受け、茨城県においては同県の要請に基づき、4月5日以降、コウナゴ漁業者が操業を自粛しています。一方、福島県においては、極めて高濃度の放射性物質が検出されたことに伴い、4月20日付けで原子力災害対策本部長(内閣総理大臣)から福島県知事に対し、同県で水揚げされるコウナゴの摂取及び出荷を差し控えるよう、指示が出されました。 |
![]() 宮城県女川町 |
水産業の被害
※調査中の値、推定値を含む。(4月26日17時現在)(被災数量/全体の数量:漁船は漁船保険加入隻数) ※水産加工施設の被害数は水産加工団体からの聞き取り。 なお、給油施設、水産物鮮度保持施設、漁業用保管施設、 サケふ化場などの施設に甚大な被害があったが、詳細は調査中。
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