東日本大震災 農業の被害状況
![]() 気温の低下で枯れてしまったトマトの苗。震災後の停電でも多数のハウスの農作物に被害が出ている (茨城県行方市 写真提供:(株)食文化) ![]() 被災した飼料工場。青森県八戸市、岩手県釜石市、宮城県仙台市・石巻市など太平洋沿岸には飼料工場が多数ある ![]() 宮城県仙台市若林区荒浜周辺の被災状況 上:被災前(平成18年10月撮影)、下:被災後(平成23年3月12日撮影) 写真提供:国土地理院 |
被害は青森県から三重県まで広範囲
東日本大震災による深刻な被害は、日を追うごとに明らかになってきています。地震による大津波は青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、千葉県の海岸沿いの農地を推定2万4,000ヘクタール(水田2万ヘクタール、畑3,500ヘクタール)を流失、冠水させるという甚大な被害をもたらしました。 農地の被害は岩手県、宮城県、福島県の3県に集中しており、宮城県において、流失や冠水などの被害を受けた農地面積は県内の全耕地面積の11%にあたる1万5,000ヘクタールにも上っています。 農地の破損、ため池や農業用水路の損壊、ビニールハウス・畜舎など農業用施設の損傷、農作物や家畜の被害は、青森県から三重県までの広範囲17県で報告され、またビニールハウス本体は損傷しなかったものの、地震後の停電でボイラーが停止し、室内の温度が下がったことで大量の農産物が被害を受けました。 太平洋沿岸の飼料工場も壊滅状態に
東北地方の太平洋沿岸にある飼料工場も、津波により被災しました。これらの工場は、東北地方のほとんどの家畜用飼料の供給を賄っています。施設の損壊や浸水などにより、生産ラインが機能しなくなったことで飼料不足が深刻となり、これらの工場から供給を受けていた畜産農家にも打撃を与えました。酪農では燃料不足から搾乳された生乳を集荷できず、さらに乳業工場の被災により加工ができなくなったことから、生乳の廃棄処分を余儀なくされた酪農家がかなりの数に上っています。 原子力発電所の事故と風評被害
東京電力福島第一原子力発電所の事故により、原発周辺の一定地域では農業や畜産ができなくなり、再開のめどは立っていません。また福島県、茨城県、栃木県、群馬県、千葉県の農産物から暫定規制値を超えた放射性物質が検出されたことで、出荷制限や出荷自粛要請の措置が取られました。 食品衛生法に定められた放射性物質の規制値を下回っており、出荷停止や自粛対象ではない農畜産物に対しても、流通段階での取り扱いの停止、価格低下、買い控えなどの風評被害も起きています。 |
![]() 冠水した水田(岩手県宮古市) ![]() 地震により水田や農道に亀裂が発生した(岩手県奥州市) ![]() 亀裂の深さは約1m(岩手県奥州市) ![]() 農業集落排水施設のマンホール突出状況(福島県須賀川市) |
農地・農業用施設などの被害
※調整中の値、推定値を含む。面積単位:ヘクタール(ha)(4月27日現在)
![]() 放射性物質による被害
東京電力福島第一原子力発電所で発生した事故による、放射性物質の大気中への拡散に伴って、食品安全の観点から実施された調査結果に基づき、一定地域の農産物を対象として3月21日に、出荷制限や出荷自粛要請の指示が出され、その後も調査に基づき出荷制限などの指示と解除が行われています。 |