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農林水産省

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駅弁紀行 第25回

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ヨネスケ

JR山陽本線・山陽新幹線

岡山駅「黄ニラばらずし」


江戸庶民の知恵を伝える具材満載の郷土料理
岡山県を代表する観光地・倉敷の町
岡山県を代表する観光地・倉敷の町

黄ニラばらずし

黄ニラばらずし
平成20年に誕生した郷土料理の駅弁。950円。
岡山空港ではひとまわり小さなサイズで
「空弁」としても販売されている(480円)。
製造元:有限会社せとうち味倶楽部
TEL.086-232-6667

【おしながき】
酢飯
塩ゆでした黄ニラ
酢漬けのサワラ
焼きアナゴ
黒豆
煮シイタケ
ゆでエビ
錦糸卵

ヨネスケ

ヨネスケ(桂 米助)
かつら・よねすけ/落語家。千葉県市原市出身。桂米丸氏に弟子入り、1967年デビュー、1981年真打ちに昇進。その人情味あふれるキャラクターで幅広い年齢層に親しまれる。日本テレビの「突撃! 隣の晩ごはん」では、全国津々浦々の家庭にいきなり訪問。アポなしながら最終的に歓迎されてしまうのは、やはりその人柄によるものであろう。また、こうした取材移動から、日本中の駅弁・空弁を食べ尽くし紹介するブログ「ヨネスケの駅弁! 空弁! 食べて答弁!!」を公開、大評判となっている。
http://blog.livedoor.jp/yonemeshi/
東京は四谷に、岡山県出身の店主が営む料理屋がある。

岡山と聞いて、何を思い浮かべるだろうか。隣に飯(まま)を借りに行くほど食が進むという、小魚の酢漬け「ままかり」だろうか。白壁の町並みが美しい倉敷の町を思い浮かべる人もいるかもしれない。岡山がゆかりの地とされる「桃太郎」という人もいるだろう。

そのおとぎ話にちなんで名づけられた店の名物「桃太郎鍋」に、必ず入っているのが、岡山県特産の黄ニラである。岡山と聞いて「黄ニラ」を思い浮かべる人は、岡山県人か、かなりの岡山通である。

関東で「ニラ」といえば、緑色の青ニラ。黄ニラは青ニラに光を当てずに生育させたものだ。関東ではあまり馴染みがないが、関西ではよく知られている高級食材である。柔らかくやさしい味。独特の風味はあるが、青ニラほど匂いは強くない。私はその四谷の店で、黄ニラを知ったのである。特製の出汁にレタス、春菊、黄ニラなどの野菜がたっぷり入った「桃太郎鍋」は絶品であった。

だから、落語会があって岡山に行った際、駅構内の売店で「黄ニラ」の文字を見つけたときは、仲のよかった旧友と、異郷の地で偶然ばったり出会った気分だった。もちろん「即購入!」である。

パッケージには「ぼっけぇおいしい」と書いてある。「とても」とか「すごく」を意味する岡山弁で、もっとも有名なのが「ぼっけぇ」だそうだ。つまり「とてもおいしい」と書かれているのだ。

ふたを開けると、酢飯を覆うように錦糸卵がたっぷり乗せられ、その上に酢で〆たサワラや焼きアナゴ、黒豆、煮シイタケが散りばめられている。

一見、黄ニラは見えない。淡い黄色なので、錦糸卵にまぎれてしまうのだ。しかし、目をこらすとちゃんとそこに、わが旧友はおりました。青ニラのようなニラ臭さはまったく感じない。どの具も酢飯に程よく調和していて、美味。

ばら寿司は、江戸時代、「庶民は一食に一汁一菜にすべし」という倹約令に対して、酢飯に具を混ぜることで「一菜」としたのが始まりとされている。ばら寿司は、江戸庶民の知恵が詰まった郷土料理なのである。(語り下ろし)

地図

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