特集2 食材まるかじり(2)
きちんと知りたい! 植物油の作り方
私たちが毎日のように使っているサラダ油の原料…ナタネや大豆、ヒマワリといった植物の種子が、どのようにして植物油に加工されるのでしょうか。 |
![]() 大豆の原料と抽出した粗油 ![]() 日清オイリオグループ株式会社横浜磯子事業場。写真は展示施設「ウェルネスギャラリー」。その背後には7万トンのタンカーが接岸できる港と、原料を保存する191本のサイロが並ぶ大規模工場が広がる。工場見学は「見学バス」を使っておよそ60分。 問い合わせは TEL : 045-757-5030または5038 http://www.nisshin-oillio.com/ ![]() ![]() |
日本における植物油の生産量と輸入量の合計は約250万トン。このうち、国産の原料から生産される量は数万トンにすぎず、原料のほとんどを輸入に頼っています(平成22年度)※。 ※農林水産省「油糧生産実績調査」、財務省「貿易統計」より
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今さら聞けない?
毎日使うたびに「なんでだろう?」「本当はどうするのかしら?」と感じていた植物油に関する不安や疑問にお答えします。植物油の基本Q&A Q1:油を取ると太りませんか?
油にはサラダ油やバターなど、ふだんの料理に使う「見える油」の他に、肉や魚、穀類や豆、乳製品など食品そのものに含まれる「見えない油」があります。そして、私たち日本人が摂取している油脂のうちの約4分の1が「見える油」。残りの4分の3が「見えない油」です。健康のために気を付けなければならないのは、むしろ「見えない油」の方と言えるでしょう。 植物油のカロリーは種類にかかわらず、どれも1g=約9キロカロリー(大さじ1杯=約126キロカロリー)です。気づかぬうちに油を必要以上摂りすぎないように、野菜などもたっぷり使ったバランスの良い食事を心がけましょう。 Q2:サラダ油ってどんな油のこと?
「サラダ油」というのは、JAS法の品質規格で定められた名称で「高度精製油」のこと。植物油に含まれる色やにおいのほか、澱(おり)やワックス分も除去しているため、冷蔵庫に入れても濁らずサラサラ。ドレッシングや揚げ物、炒めものに使えるオールラウンドプレーヤーです。コーン、ナタネ、大豆、綿実など様々な原料が、高度な精製で「サラダ油」に加工されています(ブレンドもあります)。一般の精製油は「天ぷら油」などとも呼ばれていますが、今ではほとんどの油がサラダ油規格となっています。 Q3:保存法で注意することは?
植物油の品質劣化を防ぐには、「光に当てない」、「熱を加えない」、「空気にさらさない」のがポイント。酸化させないようにすることです。開封前のものも冷暗所で保存しましょう。一度開封したものは、時間がたつにつれて風味に影響が出やすいので、1~2か月以内に使い切りたいものです。 Q4:使用後の揚げ油は何回使える?その処理は?
揚げ物をした後の油は、オイルポットなどの容器に移し、冷暗所で保管すれば数回は繰り返して利用できます。また、保存している油を炒め物に少しずつ使う、再度揚げ物に使うときは新しい油を足してリフレッシュさせる、などの工夫で無駄なく、おいしく利用できます。 数回使った古い油は市販の油凝固剤や吸収剤を使って、燃えるごみとして処分します。少量なら新聞紙や古布などに吸わせてもよいでしょう。廃油としてリサイクルする地域もあるので、自治体の定める方法に従ってください。 シンクにそのまま流すことは厳禁です。 Q5:国産原料の油はないのですか?
国産原料の油で最も多いのは米油(米ヌカ油)です。その他、日本全国に国産の植物油工場があり、有名なところでは伊豆大島の椿油、小豆島のオリーブオイルなど。また最近は広大なヒマワリ畑や菜の花畑の観光事業と、6次産業化としての搾油業を組み合わせる試みもみられます。 ただ、これらの「搾油所」は、収穫時期だけ稼働するなど規模の小さなものがほとんどです。それぞれの生産地を訪ねたり、お取り寄せを試してみるのもいいですね。 参考資料/「pichi pichi美しい元気、植物油」(社団法人 日本植物油協会)、「植物油のおいしいおはなし」(日清オイリオグループ株式会社) |