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農林水産省

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特集2 食材まるかじり(2)

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全国漬け菜マップ


漬物とは、生の野菜に塩分を加えてしんなりさせ、独特の風味や旨みを味わう加工法で、古くから全国各地で作られてきました。日本の漬け菜の多くはアブラナ科の植物で、カブ、ハクサイなどの一種。同じ種が、離れた地方の気候風土の中で、違った形に変化していたり、その地域独特の漬物に加工されていることも。この冬は、多彩な日本の漬け菜を取り寄せて楽しんでみませんか。
マップ

芭蕉菜 山形青菜(やまがたせいさい)

山形青菜(やまがたせいさい)

岩手県
芭蕉菜
芭蕉の木(バナナの一種)の葉に形が似ていることから「芭蕉菜」と名付けられた。高菜の一種で、葉は幅広く肉厚。パリッとした食感と、辛みが特徴。現在は奥州市江刺地区の一部のみで栽培、加工されている。似た名称の「仙台芭蕉菜」があるが、こちらはナタネの一種で辛みが少ない。

山形県
山形青菜(やまがたせいさい)
明治41年に奈良県から種子を導入し、今では県全域で栽培されている、山形の代表的な冬の漬け菜。高菜の一種で、独特の風味と辛みがあって「青菜漬(せいさいづけ)」や「おみ漬け」(ダイコンやニンジンとともに漬け込んだもの)などに利用されている。
しゃくし菜

野沢菜

野沢菜

埼玉県
しゃくし菜
寒さが厳しい、埼玉県秩父地方で、ハクサイの代わりに作られてきた漬け菜で、育つにつれて根元が白く太くなり、しゃくし(しゃもじ)の様に見えることから、この名がついた。シャキシャキとした歯ざわりと程よい塩加減がおいしい。現在、埼玉県の「ふるさとの味認定」を受け、普及活動が展開されている。

長野県
野沢菜
「日本3大漬け菜」のひとつ。江戸時代に、野沢の健命寺の住職が、京都から天王寺カブの種子を持ち帰り植えたところ、カブが育たず、葉と茎のみが成長したのだという。シャキッとした歯ざわりとあっさりした風味が人気で、今では日本各地で栽培されているが、本家はやはり野沢温泉村。温泉を利用する「お菜洗い」が有名だ。
水菜・壬生菜(みぶな)

水菜・壬生菜(みぶな)



京都府
水菜・壬生菜(みぶな)
水菜は京都原産で、古くから使われてきた漬け菜。一方の壬生菜は、水菜との自然交配から生まれ、京都の壬生地方で栽培されてきたことから、その名がついたもの。2つはよく似ているが、葉の先の形状が違う(壬生菜は丸く、水菜は尖っている)。どちらもシャキッとした食感が特徴で、浅漬けにして食べることが多い。

 
すぐき菜

すぐき菜

 
京都府
すぐき菜
古くから京都市の上賀茂地域で栽培されてきた伝統野菜。カブの一種で、カブの皮をむいたら長い茎や葉も一緒に塩漬けにし、一度、室の炭火などで保温して乳酸菌の発酵作用を促進するのが特徴。べっこう色に漬かったころ、カブに刻んだ漬け菜を添え、独特の深い酸味を味わいながら食べる。

 
広島菜

広島菜

カラシ菜

広島県
広島菜
「日本3大漬け菜」のひとつ。300年ほど前、安芸観音村の住職が京都本願寺から持ち帰った種を栽培したのが起源といわれる伝統野菜だ。結球はしないが葉はハクサイに似た形。天日干ししてから、水洗いして荒漬け、その後大樽で本漬けにする。歯触りの良さとピリッとした辛み、豊かな風味が特徴。
福岡県
カラシ菜
中央アジア原産の植物で、弥生時代に日本に伝来し、自然交雑して帰化したもの。高菜と形が非常によく似ているが、こちらの方が歴史が古い。「セイヨウカラシナ」とも呼ばれ、種子は和がらしの原料になる。葉や茎の浅漬けはピリッとした辛みが味わえる。

唐人菜(とうじんな)

唐人菜(とうじんな)





長崎県
唐人菜(とうじんな)
(長崎ハクサイ)
中国から伝来し、長崎では江戸時代から栽培されてきた伝統野菜。ハクサイに似ているが結球せず、立ち開いた緑の柔らかな葉が漬物に最適。100日以上かけて乳酸発酵させたのち、塩抜きの工程を経て、さらに調味料で味を調える、手の込んだ製法の漬物は、白いごはんにぴったりだ。ニンジンやキュウリなどと合わせた加工品もある。

 
高菜

高菜

 
九州全県
高菜
「日本3大漬け菜」のひとつでカラシ菜の仲間。葉は大きいもので60cm以上にもなる。ワサビに似た辛みがあり、乳酸菌発酵させた古漬けはコクがあって美味。とんこつラーメンのトッピングとしても有名だ。現在九州全県で栽培されており、地域団体商標を取得した熊本県の「阿蘇高菜」や地域ブランドともいえる福岡県の「三池高菜」、大分県の「久住高菜」などがある。

 
他にもあります 郷土色豊かな漬け菜たち

福島県 信夫菜(しのぶな)・会津茎たち菜
千葉県 菜花
神奈川県 大山菜
新潟県 大崎菜・長岡菜・女池菜(めいけな)
石川県 中島菜・二塚カラシ菜
福井県 勝山水菜・真菜(まな)
山梨県 長禅寺菜・鳴沢菜
長野県 源助菜・羽広菜(はびろな)
静岡県 水掛菜
三重県 松阪赤菜・朝熊小菜(あさまこな)
奈良県 大和眞菜(まな)
山口県 彦島春菜
高知県 高知しゃくし菜




あっさりした浅漬けと酸味のきいた古漬け
あっさりした浅漬けと酸味のきいた古漬け
漬物には、数日から1週間で食べられるように塩分を調整した「浅漬け」と、塩をしっかり振り、1カ月から数カ月かけて漬ける「本漬け(古漬け)」があるのをご存知ですか?

「浅漬け」は、加えた塩分によって、野菜の細胞中の成分が(酵素の作用で)分解され、うまみが引き出されたもの。漬け菜は青々とし、塩分は2~3%でサラダ感覚で食べられます。

一方の「本漬け」は、10%前後の塩分で漬けるうち、野菜や、野菜から染み出た水分の中で乳酸菌や酵母が繁殖、発酵してさらに野菜の複雑なうまみ成分を引き出します。漬け菜の多くはべっこう色に輝き、漬物好きが「一番おいしい」という味が生まれます。

家庭で漬物をすると、最初のうちは「浅漬け」。時間がたつうちに「本漬け」と2つの味覚が楽しめるのです。

あっさりした浅漬けと酸味のきいた古漬け


市販の漬物は「本漬け」も減塩化
市販の漬物は「本漬け」も減塩化
「漬物は塩分が多い」とたくさん食べるのをためらっている方も多いはず。しかし、他の食品に比べて漬物はそれほど塩分が多いのでしょうか? 答えは「NO!」。

漬物メーカーでは、浅漬けだけでなく、伝統製法でじっくり漬けこんだ本漬けの漬物でも、風味やうまみを逃さず、塩分だけを除去する製法が確立されているのです。包装の成分表示を見ればすぐ分かりますが、現在、ほとんどの漬け菜の塩分が3%前後に抑えられています。安心して冬の味覚、漬け菜のおいしさを存分に味わってください。

Photo:Eri Iwata(皿盛・商品画像)



取材協力/全日本漬物協同組合連合会 TEL:03-3253-9797 http://www.tsukemono-japan.org/
東京中央漬物株式会社 TEL:03-3542-8341 http://www.c-z.jp/
参考文献/「絶品漬物ブック」宮尾茂雄著(東京書籍)、「食材辞典Ⅲ 地産食材篇」(小学館)
画像提供/
有限会社 高善商店(芭蕉菜) TEL:0197-35-1279 http://shop.takazen.biz/
賀茂のすぐき販売所(すぐき菜) TEL:075-366-3213 http://www.suguki.jp/
株式会社 猫島商店(広島菜) TEL:082-277-6541 http://www.nekoshima.jp
株式会社 ミヤタ(唐人菜) TEL:0957-55-5870 http://www.miyata-nagasaki.co.jp
前田食品工業 有限会社(高菜) TEL:0955-42-4019 http://www.maeda-shokuhin.jp/