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affインタビュー CLOSE UP 仕事人 Vol.08

すし職人
山縣 正さん

世界的なすしブームを受け、日本のすし文化の奥深さを理解してもらうために「すし知識海外認証制度」を立ち上げた、
全国すし商生活衛生同業組合連合会会長の山縣(やまがた)正さんに、その活動について聞きました。
山縣 正さん

やまがた・ただし
やまがた・ただし
昭和23年、東京都日本橋蛎殻町に生まれる。調理師学校を卒業後、都寿司3代目の父のもとで修業を積む。昭和61年、4代目として店を継ぐ。職人としてすしを握るかたわら、全国すし商生活衛生同業組合連合会、東京都鮨商生活同業組合の理事を歴任。現在、全国すし商生活衛生同業組合連合会の会長、東京都鮨商生活同業組合の理事長を務める。



全国すし商生活衛生同業組合連合会では、すしの技術とオリジナルレシピを競う国際大会も主催。平成21年に静岡で開催された「第1回世界すしスタジアム」の様子。

全国すし商生活衛生同業組合連合会では、すしの技術とオリジナルレシピを競う国際大会も主催。平成21年に静岡で開催された「第1回世界すしスタジアム」の様子。

平成21年、英国で開かれたすし職人チャンピオンを決める「Seven Sushi Samurai」。同イベントは全国すし商生活衛生同業組合連合会によって、全世界から選ばれたすし職人7人が一堂に会し、自慢のすしを競い合う世界でも注目のイベントだ

平成21年、英国で開かれたすし職人チャンピオンを決める「Seven Sushi Samurai」。同イベントは全国すし商生活衛生同業組合連合会によって、全世界から選ばれたすし職人7人が一堂に会し、自慢のすしを競い合う世界でも注目のイベントだ

「すし知識海外認証」試験に合格した職人に授与される認定証

「すし知識海外認証」試験に合格した職人に授与される認定証

都寿司

都寿司
東京都中央区日本橋蛎殻町1-6-5
TEL.03-3666-3851

全国すし商生活衛生同業組合連合会
http://www.sushi-all-japan.or.jp/

Photo:Eri Iwata

すしは日本人の知恵と技術の結晶であることを、
海外の人たちに正しく理解してもらいたい。

すしはいまや世界の人気食
山縣正さんが店主を務める「都寿司」は、東京水天宮(すいてんぐう)の参詣者でにぎわう日本橋蛎殻町(かきがらちょう)にある。都寿司は明治20年創業の老舗。山縣さんは4代目である。いま山縣さんは、国内のすし職人だけでなく、海外のすし職人の育成にも力を注いでいる。

山縣さんが会長を務める全国すし商生活衛生同業組合連合会は、厚生労働省認可の国内最大規模のすし職人組合だ。現在加盟しているすし職人は2万人余。国内だけでなく海外の多くの国で、すし技術コンクールや講習会などを開催し、正統なすし作りの指導とすし文化の伝承に努めている。

「海外でも、すしの人気はうなぎ登りです。いまやグローバルな食べ物となりました。モスクワにもおよそ400店のすし屋があるんですよ。しかし、困ったことが起きているのです」

と山縣さんは顔を曇らせた。

「海外ですしによる食中毒が発生し、亡くなった人もいる。日本ではすしによる食中毒の事例など、ほとんどありません。
古くから生魚を食べる文化がある日本では、安全に、そしておいしく食べる知恵と技術が根付いているからです」

すしは魚食技術の粋を極めた食べ物
すしには、殺菌・抗菌作用のある酢を使い、防腐効果のある笹を用いたり、薬味にも殺菌効果の高いワサビやショウガを多用する。活魚や活き締めした生魚の鮮度を保ち、市場に流通させる技術が進歩した現代でもなお、衛生面において徹底管理を怠らない。

「水揚げから流通、市場での扱い方すべてに、魚をいかに新鮮なまま、すしダネとして提供するかという努力があり、すし職人にしても、1個1個すしを握るたびに、手を酢で洗う配慮をする。
すしは、ただ酢飯を握り、生魚を乗せるだけのものではないのです。安全においしく食べる知恵が伝承された、日本の食文化を代表する食べ物なのです。生魚を食べる文化のない地域では、火を使って魚を調理してきました。魚の鮮度や魚の扱い方には、それほど気を配らない。すしを提供するには、それではダメなのです」

すしの衛生と調理技術の基本を伝えたい
海外で本格的なすしを食べようとすると、現地の物価からすれば、かなり高価な食事になる。それはそういった店の多くが、日本の築地市場からわざわざ魚を空輸しているからだという。現地では、衛生管理が徹底された生魚を仕入れることが、なかなかできないことがあるのだ。「すしはヘルシーな食べ物」ということだけがひとり歩きしてしまい、すしが日本の食文化として確立された背景や、すしを握る際に不可欠な衛生調理の知識が正しく理解されていないと、山縣さんは強く感じた。

そこで山縣さんたちは、「すし知識海外認証制度」を立ち上げる。これは、海外ですしの基本的な衛生調理知識とその指導法の講習を行い、筆記による認証試験を実施するというものだ。第1回目の認証試験は平成23年1月に、シンガポールで行われた。初めての認証試験で、海外に在住する日本人すし職人を含む約50名の受験者のうち、13名に認定書が授与された。

また、国内外を問わず、すしに関して的確なアドバイスができる人材を養成するために、調理師やレストラン従事者を対象にした「すしアドバイザー認証講習」も実施している。「長い歴史をもつすしの魅力は奥深い。お客さんと会話しながら、店ですしを握るのが好きだけど、認証活動はスタートしたばかりだから、まだまだ動き回らなくちゃね」と言いながら、山縣さんはほほえんだ。

※「すし」には「寿司」「鮨」「鮓」の表記がありますが、ここでは山縣正さんの意向で、連合会名の表記とそろえ、ひらがなの「すし」を使っています。

1尾から少量しかとれないマグロのカマトロ。霜降り加減は絶品

  ウニは握りにして岩塩とワサビで食べる。鮮度の高いウニだからできることだ
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ふっくらと仕上げられた穴子。江戸前の素材を大切にしている

   
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