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農林水産省

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特集1 花に思いをこめて(3)

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桜と並ぶ日本の国花

菊の一大産地を訪ねて


愛知県は日本一の花き産地です。
中でも渥美(あつみ)半島は、輪菊(りんぎく)と呼ばれる白や黄色の大輪の菊の産地として有名です。
菊の一大産地、渥美半島を訪ねました。
15台の選花機が設置されている愛知みなみ農業協同組合のマムポートの内部
15台の選花機が設置されている愛知みなみ農業協同組合のマムポートの内部

真夜中にまばゆい光を放つ電照菊の温室。

真夜中にまばゆい光を放つ電照菊の温室。
最近では省エネを考慮し、LEDを使った電照栽培も試みられているという
写真協力:田原市商工観光課

菊の生産農家に生まれ育ったという、マムポートセンター長の河辺泰浩さん

菊の生産農家に生まれ育ったという、マムポートセンター長の河辺泰浩さん

マムポートセンター

マムポートセンター
日本人の暮らしに大切な花
菊は日本を代表する花のひとつです。扱いやすく、日持ちがする菊は、古くからさまざまなシーンで広く使われてきました。特に清楚で気品のある白い輪菊は、葬祭には欠かせない花です。白菊ほど一度に大量の本数が必要とされる花は、ほかにないのではないでしょうか。

愛知県渥美半島に位置する田原市は、栽培面積・出荷量・産出額とも全国一を誇る輪菊の産地です。

菊は、日照時間が短くなると花芽を作り、花を咲かせる性質を持っています。この性質を利用した栽培方法が電照(でんしょう)栽培です。電照栽培では花芽ができる前に夜間、電気で照らし続けます。菊に日照時間を長く感じさせることで開花を遅らせ、出荷時期を調整するのです。こうして菊は1年を通して店頭に並ぶようになりました。

必要とされる花を常に届けられるように
田原市を管内とする愛知みなみ農業協同組合には、870名に及ぶ菊の生産者が加入しています。6~10月末まで「精(せい)の一世(いっせい)」という白い輪菊を、11月以降、冬期には「神馬(じんば)」と「精興(せいこう)の誠(まこと)」という白い輪菊を栽培し、年間9,050万本もの輪菊を出荷しています。

平成11年、同組合では「マム(=菊)ポート」と名づけた、輪菊専門の共同選花施設を新設しました。15台の選花機が稼働し、巨大な低温保冷庫を有するマムポートの開設によって、選別・出荷作業が省力化され、生産者の労力も軽減されました。マムポートセンター長の河辺(こうべ)泰浩さんは「必要とされるときに必要な量を、速やかに供給することが使命だと思っています」と語ってくれました。

下葉が取り除かれ、一定の長さにそろえれる行程を従業員がチェック

下葉が取り除かれ、一定の長さにそろえれる行程を従業員がチェック



重さによって自動選別されていく

重さによって自動選別されていく


水に浸けられたまま決まった長さに切られた後、水揚げするためにしばらく殺菌された水に浸けられる

水に浸けられたまま決まった長さに切られた後、水揚げするためにしばらく殺菌された水に浸けられる

箱詰めは手作業に近い動きをするロボットが行う

箱詰めは手作業に近い動きをするロボットが行う

自動的に箱が移動する巨大保冷庫

自動的に箱が移動する巨大保冷庫

  トレーサビリティも徹底させている。品種、生産者だけでなくバーコードによって生産情報も分かる

トレーサビリティも徹底させている。品種、生産者だけでなくバーコードによって生産情報も分かる

カタログを見るとマムには多種多様な品種があることを分かる

カタログを見るとマムには多種多様な品種があることを分かる

マムの説明をしてくれた藤目健太さん。社長である藤目方敏さんの長男だ。次男はマムの生産に従事している

マムの説明をしてくれた藤目健太さん。社長である藤目方敏さんの長男だ。次男はマムの生産に従事している
菊の新たな世界
ブーケに人気の新ジャンル「マム」

「日本では菊というと、どうしても仏花のイメージがありますが、ヨーロッパでは『マム』と呼ばれる西洋菊を、お祝いの花束や誕生日の贈り物に使っています。菊といっても色も形も多様です。『マム』は日本でいう菊のイメージを払拭するような品種です」

そう語るのは、同じ愛知県田原市にある有限会社ジャパンフラワードリームで、販売・経理を担当している藤目(ふじめ)健太さんです。同社は従来型の温室や夏用のネットハウスのほかに、約3,000m2のオランダ式大型温室を持つ、マム専門の生産法人です。栽培品種は60~70品種。そのほか品種開発用の試験栽培も行っています。確かに、出荷作業場に並んでいたマムはバリエーションも豊かで、ブーケに使われるのも納得できます。

藤目さんは「マムはリーズナブルな価格で購入でき、日持ちも良く、水替えをしてきちんと管理をすれば1カ月以上も楽しむことができる花なんです」と説明してくれました。

まだあまりその名が浸透していない「マム」ですが、和菊とは趣の異なる新たな品種として、花き産業をけん引することが期待されます。

ほぼすべての品種を小ロットのアソート商品として出荷している。1箱で5色の色がそろうため小売店には好評だ   ほぼすべての品種を小ロットのアソート商品として出荷している。1箱で5色の色がそろうため小売店には好評だ   ほぼすべての品種を小ロットのアソート商品として出荷している。1箱で5色の色がそろうため小売店には好評だ

ほぼすべての品種を小ロットのアソート商品として出荷している。1箱で5色の色がそろうため小売店には好評だ

出荷作業場ではていねいに選別しながらマムを束ねていた

  出荷作業場ではていねいに選別しながらマムを束ねていた

出荷作業場ではていねいに選別しながらマムを束ねていた

頭上潅水、電照栽培に使う高圧ナトリウムランプ、自動消毒機などが完備されている約3,000m2の大型温室

  頭上潅水、電照栽培に使う高圧ナトリウムランプ、自動消毒機などが完備されている約3,000m2の大型温室

頭上潅水、電照栽培に使う高圧ナトリウムランプ、自動消毒機などが完備されている約3,000m2の大型温室


photo:Keita Suzuki