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農林水産省

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特集1 東日本大震災 復旧・復興に向けて(2)

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漁業の現場では (1)


漁業の現場では

お話を聞いた気仙沼漁業協同組合代表理事組合長の佐藤亮輔さん(右)と同組合参事の菅野眞さん(左)

お話を聞いた気仙沼漁業協同組合代表理事組合長の佐藤亮輔さん(左)と同組合参事の菅野眞さん(右)

水揚げが終った船ごとにセリが始まる

水揚げが終った船ごとにセリが始まる

気仙沼魚市場内部(右写真)は以前とほぼ同じに見えるが、周辺はまだ地盤沈下が激しく手つかずのまま

気仙沼魚市場内部(上の魚が並んでいる写真)は以前とほぼ同じに見えるが、周辺はまだ地盤沈下が激しく手つかずのまま

仲卸のご夫婦。他県同業者から贈られた復興支援のジャケットを着ていた

仲卸のご夫婦。他県同業者から贈られた復興支援のジャケットを着ていた
宮城県気仙沼市
国内有数の水揚げ高を誇る漁業基地の願い
漁獲と加工、流通一体となった水産業の復旧・復興に向けて
およそ12mの高さの津波に襲われ、甚大な被害を受けた宮城県気仙沼漁港。
それでも大震災から3カ月余りの平成23年6月に水揚げを再開しました。
いち早く再開を果たした市場を訪ねました。

待ち望んでいた水揚げの再開
全国屈指の沖合・遠洋漁業の基地として栄え、湾内ではワカメやカキ、コンブなどの養殖も盛んに行われていた宮城県気仙沼漁港。気仙沼湾の入り口から約9kmの湾の一番奥に位置する魚市場を取り囲むように水産加工場をはじめ冷蔵施設、造船所などの水産関連施設や商業施設が立ち並んでいました。

「あの日、気仙沼漁業協同組合に所属する20隻弱の近海延縄(はえなわ)漁船は、みな沖にいたので被害に遭わずにすみました」と教えてくれたのは、同組合参事の菅野眞さんです。しかし、漁港は壊滅的な被害を受けました。岸壁や市場を含め、地盤沈下が激しく、最大74cmも沈んだのです。震災後しばらくは気仙沼漁港には水揚げすることができなかったため、千葉県の銚子港に水揚げしていたといいます。

カツオのシーズンを間近に控え、とにかく早く水揚げを再開したいという漁師や買受人などの願いが実現したのは、平成23年6月28日のことでした。この日、鉄板を敷いてかさ上げされた一部の岸壁と市場で水揚げが始まったのです。ですが、水産加工施設や冷凍冷蔵庫などの復旧はまだ追いつかなかったため、水揚げは製氷工場の供給能力に応じたものとなり、鮮魚で出荷できるカツオがメインとなりました。

さまざまな人たちが関わる水産業の現場
気仙沼漁業協同組合の代表理事組合長である佐藤亮輔さんが、現状を踏まえて、復旧・復興への思いを語ってくれました。

「うちの組合には約240名の組合員がいます。25名の漁業者のほかは水産加工業に携わる組合員です。今は100%ではないけれど造船所も再開して、漁に出ることはできます。しかし、水揚げ後に流通を支える水産加工分野などの復旧のめどが立っていません。地盤沈下が激しく、なおかつ広範囲にわたっているため、施設の再建が難しいのです」

この震災で、水産物が食卓に届くまでに、いかにたくさんの人たちの手が必要かということに、多くの消費者が改めて気づいたのではないか、と語る佐藤さん。

「魚は鮮度が命ですから、水揚げされたものはその日のうちに、生で出荷するもの、冷凍するものなどに仕分けします。それは、養殖された水産物も同じです。冷凍や加工をするにしても、あとから使いやすいように種類や大きさ、鮮度によって選別します。水産業には漁獲や養殖に携わる者以外に、製氷・冷凍・加工のための施設やそれに携わる人、買受人、小売業者、さらに船の関係では機械、無線機、漁具、燃料などを供給する業者や造船所も必要です。そういった関連業種の人たちがともに再興して初めて、気仙沼の漁業が復旧・復興したといえるのだと思います」と話してくれました。

佐藤さん自身、定置網漁を行っていましたが、津波によって定置網をはじめ漁具が流され、操業が再開できていないといいます。

支援を受けながら一歩ずつ着実な前進を
現在では仮復旧した市場に毎日水揚げされた魚が並びます。メカジキや気仙沼の特産品であるフカヒレが並んでいました。仮復旧した市場の並びには、農林水産省や県の予算で本格工事が始まった場所もありました。

「今、日本の漁業者の数は20数万人です。20数万人で、約1億2,800万人が食べる魚を獲っているのです。こうしてまた一から三陸沿岸の水産業を再興するのであれば、国民が必要とする質と量の魚介類を提供できるような新たな水産業の形を構築していくつもりで、われわれも奮起しなければなりませんね」

こう話してくれた佐藤さんがこの後向かったのは、超低温冷蔵庫のお披露目式でした。水産加工業者が早期復旧を望んでいた同組合の超低温冷蔵庫の修復が完了し、一部稼働を再開することになったのです。修復費用のうち3分の2は農林水産省の補正予算で補填され、残りは国際ボランティア団体であるワールド・ビジョン・ジャパンが支援してくれたそうです。





待望の「超低温冷蔵庫」が完成し、記者発表が行われた

待望の「超低温冷蔵庫」が完成し、記者発表が行われた
   

特定非営利活動法人ワールド・ビジョン・ジャパン http://www.worldvision.jp/


Photo:Shinjiro Yoshioka