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農林水産省

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特集1 東日本大震災 復旧・復興に向けて(6)

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原発事故を受けて


東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて
安全な食料を供給するために

高濃度の放射性物質を含む食品の生産・流通を未然に防止するため、農林水産省は、稲の作付制限、食品に含まれる放射性物質の検査、放射性物質濃度を低減する生産技術の推進などに、取り組んでいます。

基準値を超える農林畜水産物の流通の防止
原発事故の発生直後から、農林水産省は、安全な食料の供給のためには農林畜水産物の放射性物質検査が不可欠と考え、生産現場で円滑かつ迅速に検査ができるよう、関係県・生産者に科学的な助言を提供したり、検査機器整備への助成を行ったりしてきました。

農産物の放射性物質検査
農産物については、事故直後は放射性ヨウ素の降下による影響を受けやすい食品(例:ホウレンソウなど)に重点を置いていましたが、春の作付け以降は土壌からの放射性セシウムの移行を念頭に置いた検査に重点を移しました。米を除く農産物について、暫定規制値超過となったのは検査したものの3.1%で、その大部分は、可食部に放射性ヨウ素が直接付着したもの(葉物野菜)や付着した放射性セシウムが植物体内で可食部に移行したもの(茶、果実、きのこ等)です。土壌から吸収したことによる超過はごくまれでした。

23年産稲の作付制限と放射性物質検査
生産した米が暫定規制値を超える可能性の高い地域において、23年産稲の作付けを制限するとともに、収穫前・収穫後の二段階で検査をしました。その結果、検査対象となった17都県において、検査した米の99.2%が50Bq/kg以下の放射性セシウム濃度でした。11月には福島県で暫定規制値を超過する放射性セシウムを含む米が見つかったことから、県と協力し、高濃度の米が生産された可能性のある2,3247戸を対象に緊急調査を行った結果、97.5%(22,664戸)が100Bq/kg以下の米を生産しており、暫定規制値を超える米を生産した農家は0.16%(38戸)でした。

畜産物の放射性物質検査
食肉・牛乳・卵についても関係県が検査しています。牛の出荷制限が指示された4県においては、牛肉の全頭・全戸検査が行われています。これまでの検査の結果、放射性セシウム濃度は、食肉・卵の98.4%で100Bq/kg以下であり、暫定規制値超過となったものは0.2%でした。この超過は、高濃度に汚染された稲わら等が給与された事が原因と思われます。豚、鶏には、牧草や稲わらは給与されず、主に輸入された穀物等が給与されていますので、豚肉や鶏肉中の放射性セシウム濃度は牛肉よりずっと低い値を示しています。

牛乳・乳製品の原料となる原乳(酪農家が搾ったままの牛の乳)については、関係県がクーラーステーション(冷蔵保管施設)または乳業工場単位で検査しています。4月以降に検査された原乳の放射性セシウム濃度はすべて50Bq/kg未満でした。

24年度の検査に向けて
これまでの検査を通じ、事故の影響を直接受けた農畜産物について膨大なデータが蓄積されてきました。24年度には基準値が低くなるため、これらデータに基づき、安全な食料を供給するという観点からより精度の高い検査をより効率的に行えるよう努めます。

水産物の放射性物質の調査
水産物についても、主要な沿岸性魚種や回遊性魚種等について、表層、中層、底層等の生息域や漁期を考慮し、主要水揚港等において定期的(原則週1回程度)に調査を行っています。

また、東京電力福島第一原子力発電所の原発事故による影響に留意しつつ、漁期開始前に検査を実施し、安全を確認した後に操業を開始することとし、その後も定期的な調査を行っています。現在、福島県沖では全ての沿岸漁業及び底びき網漁業の操業は行われていませんので、同原子力発電所周辺の水産物は市場に出回っていません。

農畜産物の放射性物質濃度を低減する取組
肥料、飼料等の生産資材対策
農地土壌のさらなる汚染を防ぐため、肥料、土壌改良資材、培土等の資材についても暫定許容値(400Bq/kg)を設定し、許容値を超過するものについては利用を自粛することとしています。

また、基準値を超過する牛肉や原乳が生産されないよう、牛用飼料の暫定許容値(100Bq/kg)を設定し、暫定許容値を超過するものについては利用を自粛することとしています。

暫定許容値を超える稲わらや牧草については、畜舎から離れた場所に封印して隔離し、処分を進めています。

農地の除染や放射性物質の吸収抑制対策
現在、生産現場では、春からの営農に向けて農地の除染が急ピッチで進められています。事故後に耕うんしていない農地では、土壌を薄く削り取り、土壌表層に蓄積している放射性物質を除去します。また、一旦耕うんした農地では、表層土と下層土を反転することで、作物が吸収する層の放射性物質濃度の低減に努めています。

さらに、栽培技術の工夫による放射性物質濃度の低減に取り組んでいます。米については、暫定規制値の超過が見られた地域を調査したところ、土壌中カリウム濃度が通常より低い場合や耕うんが浅い場合に米の放射性セシウム濃度が高い傾向が見られました。このため、23年産米で高濃度となった地域において、土壌分析を行い、その結果に応じて適正なカリウム施肥や深耕を推進し、吸収抑制の取組を支援します。

果樹については、土壌よりむしろ、樹体に付着した放射性物質の寄与が大きいと見られており、樹体表面の粗皮削り、高圧水による樹体洗浄等、樹体表面の放射性物質の除去を進めています。

茶についても、葉や樹体に付着した放射性セシウムの寄与が大きいと考えられるため、剪定により、茶葉に移行する放射性物質を低減させます。

今後も、試験研究によって得られた知見を農業生産現場に普及させ、安全な国産農畜産物の供給を図ります。

米、食肉・卵の調査結果

米の調査結果 食肉・卵の調査結果

宮城県栗原市の荒砥沢発電所

岩手県釜石市の木質バイオマス資源化施設

宮城県栗原市の荒砥沢発電所(上)と岩手県釜石市の木質バイオマス資源化施設

東北地方の復興の一助に
地域資源を活用した再生可能エネルギー
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受け、再生可能エネルギーの導入促進による自立・分散型の新たなエネルギーシステムへの移行が急務となっています。

農林水産省では農山漁村における再生可能エネルギーの有効活用を支援します。

農山漁村の資源を最大限に活用する
農山漁村にはエネルギー源となる土地、水、風、熱、生物資源等が豊富に存在しています。農山漁村における農業用水、太陽光、風力といった再生可能エネルギーを積極的に有効活用することは、温室効果ガス排出量の削減につながるだけでなく、その地域の人々の所得や雇用の創出、活性化につながります。

特に、東北地方の復興に当たっては、東北地方の有する多様性や潜在力を最大限活かすことが重要であり、被害が多い岩手県、宮城県、福島県の3県において、他地域に先駆けて、再生可能エネルギーを導入する必要があります。

このため農林水産省では、農山漁村における再生可能エネルギーの導入可能性調査や農林漁業者が参画する再生可能エネルギー電力の供給モデル構築、農業用水利施設を利用した小水力発電の導入に向けた調査設計や施設整備などの取り組みを支援する予定です。

さらに、食料生産や国土保全と両立する再生可能エネルギーの導入を促進する新たな制度を創設するための法律を国会に提出し、農林水産業の振興と農産漁村の活性化を一体的に進めていく方針です。

再生可能エネルギーとは
資源として枯渇する可能性がある石油、石炭などの化石燃料や原子力に対して、自然の営みが生む現象から得られる枯渇しない資源として、太陽光、水力、風力、バイオマス、地熱などを「再生可能エネルギー」と呼んでいます。再生可能エネルギーは温室効果ガスや大気汚染物質の排出、廃棄物の処理といった問題を生じないという点でも注目されています。