このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

駅弁紀行 第35回

  • 印刷

ヨネスケ

JR予讃線

今治駅「瀬戸の押寿司」


瀬戸内海の急潮が育んだ鯛を使った逸品弁当
愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ「瀬戸内しまなみ海道」
愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ
「瀬戸内しまなみ海道」

瀬戸の押寿司
瀬戸の押寿司

瀬戸の押寿司
各種駅弁、折詰、オードブル、惣菜などの調製のほか、食堂、うどん店を営む株式会社二葉の看板商品。
「瀬戸の押寿司」は消費期限が丸2日あるので、土産にもできるほか、地方発送も受け付けている。1,260円。
製造元:株式会社二葉 TEL.0898-22-1859

【おしながき】
酢飯
鯛の薄造り
大葉

ヨネスケ

ヨネスケ(桂 米助)
かつら・よねすけ/落語家。千葉県市原市出身。桂米丸氏に弟子入り、1967年デビュー、1981年真打ちに昇進。その人情味あふれるキャラクターで幅広い年齢層に親しまれる。日本テレビの「突撃! 隣の晩ごはん」では、全国津々浦々の家庭にいきなり訪問。アポなしながら最終的に歓迎されてしまうのは、やはりその人柄によるものであろう。また、こうした取材移動から、日本中の駅弁・空弁を食べ尽くし紹介するブログ「ヨネスケの駅弁! 空弁! 食べて答弁!!」を公開、大評判となっている。
http://blog.livedoor.jp/yonemeshi/
旅番組の取材で、愛媛県の松山駅から予讃(よさん)線に揺られて今治(いまばり)駅へ。最近、地方ロケというと飛行機と車の利用がほとんどだったので、いつになくワクワクした。目指すは瀬戸内海中部、今治市の沖に浮かぶ大島である。かつて泊まったことのある大島の宿が忘れがたく、私からロケ地に推薦して、再び訪れることになったのだ。

今治駅からはバスを利用し、西瀬戸自動車道、通称「瀬戸内しまなみ海道」を通って、大島に渡ることになっていた。駅の改札を出てすぐ、駅弁を売っている売店が目に飛び込んできた。「今一番の売れ筋がこれです!」と、売店のおばちゃんに言われて購入したのが、「瀬戸の押寿司」である。

パッケージに「四国今治 来島(くるしま)の味」とデカデカと印刷されている。「来島」というのは、四国本土の今治市と大島の間を隔てる海峡の名だ。ここ来島海峡は、渦潮で有名な鳴門(なると)海峡、本州と九州を隔てる関門(かんもん)海峡と並び、日本三大急潮に数えられているそうだ。それほど潮の流れが速い海峡なのだ。

売店のおばちゃんイチ押しの「瀬戸の押寿司」は、そんな来島の急流で育まれた、新鮮な鯛を使った駅弁であった。竹で編んだような模様のパッケージの裏に「来島海峡でとれる鯛は何といっても〝魚の王様〟で、急流にもまれた鯛の味は格別です。その活鯛の身を自然に近い形で"瀬戸の押寿司"に真心こめて調製致しました」と書いてある。「魚の王様」の押し寿司だなんて、何とも贅沢ではありませんか。期待に胸をふくらませながらパッケージを開けてみると、高級感漂う小振りな木箱が出てきた。蓋を開けると、さらに押し寿司は笹の葉にくるまれていた。さすがに魚の王様である。すぐには謁見(えっけん)できないのだ。笹の葉を開いて、いよいよご対面である。

薄造りの鯛の身が敷き詰められていて、美しい和紙のようだ。鯛と酢飯の間に敷かれた大葉が、透かし模様のように浮き上がって見え、白と緑の彩りが実に上品である。ひと口食べると、鯛は身がしまり、ほどよく乗った脂と甘味が口の中でとろけるようだった。鼻腔をくすぐる笹と大葉の香りも絶妙である。「急流でもまれた魚の王様、最高!」と思わず声を上げたのであった。(語り下ろし)

地図

地図