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東日本大震災 被災地の復旧・復興に向けて

東日本大震災を乗り越え、調査捕鯨を再開─石巻─


MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。
MAFF TOPICSでは農林水産省のお知らせを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けします。
全国有数のクジラの町、宮城県石巻市鮎川。
東日本大震災により壊滅的な被害を受けた鮎川の港では、地元関係者の力強い復興への取り組みにより、
平成24年4月中旬、震災後わずか1年で鮎川沖での調査捕鯨を再開することができました。

平成24年4月12日、調査捕鯨船が鮎川漁港を出航した
平成24年4月12日、調査捕鯨船が鮎川漁港を出航した

調査の出航準備を行う捕鯨船・第二十八大勝丸

調査の出航準備を行う捕鯨船・第二十八大勝丸

鮎川漁港で調査捕鯨船の出航式が行われた。中央は調査団長の安永玄太さん

鮎川漁港で調査捕鯨船の出航式が行われた。中央は調査団長の安永玄太さん

株式会社鮎川捕鯨営業課長の伊藤信之さん

株式会社鮎川捕鯨営業課長の伊藤信之さん
伝統ある捕鯨の町
石巻市鮎川は江戸時代末期に鯨組(組織的に捕鯨を行う集団)が組織されたことに始まり、明治以降はわが国近代捕鯨の中心的基地として発展してきました。ところが、国際捕鯨委員会(IWC)の捕鯨モラトリアム(一時停止)決定により、わが国でも昭和63年に、ミンククジラ等の大型のクジラを対象とする商業捕鯨が全面禁止となりました。それ以来、鮎川ではIWCの管理対象となっていないツチクジラなどの小型のクジラを捕獲することで、わが国伝統の捕鯨業を続けてきました。

また、わが国は、商業捕鯨の再開に必要な科学的データを収集するため、国際捕鯨取締条約に基づき、北西太平洋と南極海で鯨類捕獲調査を実施していますが、その一環として、例年、4~6月に鮎川沖でミンククジラの捕獲調査を行っており、鮎川の捕鯨業者は調査の中心的役割を担ってきました。

クジラの町・鮎川、復興への熱意
東日本大震災により、昨年春の鮎川沖での捕鯨調査は困難となり、釧路沖で調査を行うことになりました。当時、鮎川の復旧作業を他の社員や地元住民に任せてまで、釧路に赴いた理由について「鮎川の町のため、日本のために、この調査捕鯨を続けなければいけない、という強い使命感からだ」と株式会社鮎川捕鯨の伊藤信之さんは語ります。

「町が流され、社屋が流され、絶望の淵に立たされた我々が目にしたもの、それは残ったクジラ解体所の骨組みと奇跡的に流れ着いた捕鯨船だけだった。鮎川という土地そのものが"クジラを捕らせてくれ"と言っているように見えた。船を修理し、解体所を再建し、クジラが一頭捕れた時のあの感動は今でも忘れられません」

昨年11月に地元で小型捕鯨の操業を再開して、最初にツチクジラが鮎川港に上がった時、「震災後、初めてクジラが捕れた」というその吉報に地元住民が捕鯨業者を次々と訪れ、鮎川の町全体が喜びに満ちあふれたということです。その光景を目にした捕鯨関係者は、ここ鮎川では、捕鯨が地域に根付いていることを改めて認識したといいます。

地元住民にとって、震災後1年で調査捕鯨再開にこぎ着けた捕鯨業者の熱意と努力は、鮎川の復興のシンボルであり、地域の活力につながっているのです。

調査の出航準備を行う捕鯨船・第二十八大勝丸

クジラはさまざまな部位も余すことなく利用されている
写真提供:共同船舶株式会社

鯨肉は、わが国において古来から「海の恵み」として利用されてきました。また鯨肉は、低カロリー・低脂肪・高タンパクで、ダイエットや健康に気を使う方の食材としてもおすすめです。特に、赤肉には疲労防止・回復に効果があるアミノ酸「バレニン」が豊富に含まれています。また、卵や牛乳などに対してアレルギーを有する人の代替食品にもなることが知られています。近い将来、人口の増加等により世界的な食料不足が予想される中、持続的利用が可能な鯨類資源を食料として有効利用していくことが重要です。