特集1 食の未来を支える 食料自給率(3)
太らない食べ方のポイントは?
食生活と食料自給率の関係
日本では戦後、食生活の洋風化が急速に進み、特に畜産物(肉、乳製品、卵など)や油脂類の消費が拡大しました。 それに伴って、食料自給率が低下しています。私たちの食生活の変化と食料自給率の関係にスポットを当ててみました。 |
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畜産物・油脂類の摂取量の増加がもたらしたもの
戦後の復興を果たし、高度経済成長期を経た私たち日本人の食生活は、大きく変化したと言えます。日本人1人1日あたりの総供給カロリーを昭和35年と平成22年でその平均を比較してみると、若干増加しているだけですが、その内容は大きく変化しています。米による供給カロリーの比率が激減し、畜産物・油脂類の比率が大幅に増加しています。畜産物とは肉やその加工品、乳製品などで、油脂類とともに高脂肪・高カロリーな食材の代表です。栄養バランスについてもグラフからも分かるように、畜産物・油脂類の摂取量の増加によって栄養バランスが乱れ、肥満者の割合が増加しています。 食料自給率の高い米の消費が減り、輸入飼料に頼っている畜産物や、原材料のほとんどを輸入に頼っている油脂類の消費が増えてきたことにより、食料全体の自給率は低下し、肥満者は増加。これは望ましい結果とはいえません。 栄養バランスを考えた食生活とは
私たち日本人は、「医食同源」といった考え方を大切にしてきました。「医食同源」とは「病気を治す薬と食べものとは、本来根源を同じくするものである」といった考え方です。 「医食同源」の観点からも、食事は栄養バランスが大切です。主食となるごはんを中心に、副菜には野菜や魚をふんだんに使ったバランスのよい食事は健康維持にも役立ちます。食事に「地の物」=国産農産物を取り入れて、健康も食料自給率もアップさせましょう。 食生活の乱れにより、健康面でさまざまな問題が発生
![]() BMI(ボディ・マス・インデックス)は、ヒトの肥満度を表す国際的な基準のひとつです。 計算式は共通ですが、数値の基準は国によって若干異なります。日本では25以上を肥満としています。 子どもにも広がっている肥満
健康面で大きなウエイトを占めるのはやはり食生活です。最近、肥満気味の子どもが増えているのが気になります。 10人に1人が肥満
30年前と比べると肥満傾向の子どもの数が約2倍に増え、約10人に1人が肥満児であるといわれています。これは、脂肪の多い食事、いつでも買い食いができる環境、不規則な生活、運動不足などが原因だとされています。子どもの肥満の約70%は成人肥満に移行するといわれ、また、肥満度が高い子どもでは、小児期からでも糖尿病や高血圧、高脂血症などの生活習慣病を合併すると警告されています。子どもの食生活を守るのは、私たち大人です。将来の日本を担う子どもたちの健康を支え、将来の食を確かなものにするために、どんな食材を使って調理することがよりよいのかを考えてみましょう。 ![]() |
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食生活指針
このページで紹介する食生活指針は、食事を楽しむ、栄養バランス、無駄のない食生活等、10の視点から望ましい食生活のあり方を示しています。望ましい食生活とは、どのようなものでしょうか? 食生活指針は、一人ひとりの健康増進、生活の質の向上、食料の安定供給の確保などを図ることを目的として平成12年3月に当時の文部省、厚生省、農林水産省が策定しました。 食事を楽しみましょう
●心とからだにおいしい食事を、味わって食べましょう●毎日の食事で、健康寿命をのばしましょう ●家族の団らんや人との交流を大切に、また、食事づくりに参加しましょう 1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを
●朝食で、いきいきとした1日を始めましょう ●夜食や間食はとりすぎないようにしましょう ●飲酒はほどほどにしましょう 主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを
●多様な食品を組み合わせましょう●調理方法が偏らないようにしましょう ●手作りと外食や加工食品・調理食品を上手に組み合わせましょう ごはんなどの穀類をしっかりと
●穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保ちましょう●日本の気候・風土に適している米などの穀類を利用しましょう 野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて
●たっぷり野菜と毎日の果物で、ビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう●牛乳・乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などで、カルシウムを十分とりましょう 食塩や脂肪は控えめに
●塩辛い食品を控えめに、食塩は1日10g未満にしましょう●脂肪のとりすぎをやめ、動物、植物、魚由来の脂肪をバランスよくとりましょう ●栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣を身につけましょう 適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を
●太ってきたかなと感じたら、体重を量りましょう●普段から意識して身体を動かすようにしましょう ●美しさは健康から。無理な減量はやめましょう ●しっかりかんで、ゆっくり食べましょう 食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も
●地域の産物や旬の素材を使うとともに、行事食を取り入れながら、自然の恵みや四季の変化を楽しみましょう●食文化を大切にして、日々の食生活に活かしましょう ●食材に関する知識や調理技術を身につけましょう ●ときには新しい料理を作ってみましょう 調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく
●買いすぎ、作りすぎに注意して、食べ残しのない適量を心がけましょう●賞味期限や消費期限を考えて利用しましょう ●定期的に冷蔵庫の中身や家庭内の食材を点検し、献立を工夫して食べましょう 自分の食生活を見直してみましょう
●自分の健康目標をつくり、食生活を点検する習慣を持ちましょう ●家族や仲間と、食生活を考えたり、話し合ったりしてみましょう ●家族や家庭で食生活の正しい理解や望ましい習慣を身につけましょう ●子どものころから、食生活を大切にしましょう |