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特集2 新・日本の郷土食(1)

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端午の節句とさなぶりのお祝い料理

新潟県のお祝い菓子 三角ちまきを作っていただく─南魚沼市/「上田の郷(さと)」阿部春子さん


新緑が目にまぶしい季節。
5月5日は男の子の誕生と成長を祝う端午の節句が、またその前後には、日本各地で田植えを終えたお祝いの「さなぶり」が催されます。
地元ならではの素材を使い、代々受け継がれてきたお祝いのお菓子やごちそうを調べてみました。

端午の節句とさなぶりのお祝い料理



ちまき作りは、家族や友人と一緒に。手も口も動かして楽しいひと時だ

ちまき作りは、家族や友人と一緒に。手も口も動かして楽しいひと時だ

材料

材料

●材料
笹、菅の茎(料理用のたこ糸やビニールテープでもよい)、もち米
※もち米4合で約30個分相当

写真左から代表の阿部春子さん、メンバーの山田三枝子さん、阿部美幸さん

写真左から代表の阿部春子さん、メンバーの山田三枝子さん、阿部美幸さん

上田の郷
新潟県南魚沼市長崎2970-1
TEL.025-782-1197
10時~17時 水曜日定休
(閉館時間はご予約に合わせて21時まで延長可)
http://uedanosato.com/


Photo:Eri Iwata
「手作り体験」を通じてちまきの文化を伝えたい
米どころ、新潟県では端午の節句に三角ちまきを作ります。お祝いの席ではお寿司や煮物などのごちそうと共に欠かせない一品です。

「でも最近はスーパーなどでも売られているし、手作りする人が少なくなりました」というのは南魚沼市で農家レストラン「上田の郷」を営む阿部春子さん。子どもたちがこの風習を忘れてしまうのを憂い、「ちまきづくり体験」を、レストランで催す体験メニューに加えました。

用意するのは、裏の山で夏の間に採り、冷凍保存しておいた笹の葉と、菅(すげ)の茎。それと地元自慢のもち米「こがねもち」。笹の葉にもち米を詰め、もう1枚の笹でフタをしたら菅の茎で結びます。

特徴は笹の葉を2枚使い、細長い三角形に仕上げる「トンボちまき」という形。1枚の笹でしっかりフタをするから途中で米がこぼれず、初心者でも失敗しません。中に入れる米の量が少ないので、ごちそうが多く贅沢な現代の宴席にぴったりなのだとか。

包んだちまきは、5個ずつ束ね、お湯で1時間ゆであげたら出来上がり。出来立ての笹をむき、むっちりと膨らんだちまきにきな粉をつけていただくと、ほのかな笹の香りともち米の甘味が口の中で広がります。

「昔は貧しいですからくず米を使いました。それでもお祝いの時は中に味噌仕立ての干し大根や、オカラやあんこなどを入れてね、大きく作りました。笹は抗菌作用があるので日持ちがするし、昔の人の知恵はすごいですねえ」と春子さん。地元の小学生や修学旅行の学生たちも大喜びするという「もち米だけで作る三角ちまき」。ご家族で端午の節句に手作りしてみませんか。

三角ちまき(トンボちまき)の作り方

1.笹の葉1枚を真ん中で折るようにし、下端を尖らせるようにクルリと巻く

1.笹の葉1枚を真ん中で折るようにし、下端を尖らせるようにクルリと巻く
2.カレースプーンを使い、といで1時間ほど水に浸けておいたもち米を1杯入れる

2.カレースプーンを使い、といで1時間ほど水に浸けておいたもち米を1杯入れる
3.下端を指先で軽くたたいて、米を下まで入れたら、さらにスプーンで米をもう1杯(米が膨らむので入すぎないほうがよい)

3.下端を指先で軽くたたいて、米を下まで入れたら、さらにスプーンで米をもう1杯(米が膨らむので入すぎないほうがよい)

4.笹の上端を折ってフタを閉じる

4.笹の上端を折ってフタを閉じる
5.もう1枚の笹を横に2つに折って、上からかぶせる

5.もう1枚の笹を横に2つに折って、上からかぶせる
6.右に飛び出た部分を裏側へ折り、上から下ろしてフタをする

6.右に飛び出た部分を裏側へ折り、上から下ろしてフタをする

7.左側も同様に折って、しっかりフタを閉じる

7.左側も同様に折って、しっかりフタを閉じる
8.菅の茎の一方をちまきの上にのせて左手親指で押さえ、後ろに回したら左手人差し指で押さえる。後ろ側で残った茎で輪を作り、横向きにしてちまきにかける

8.菅の茎の一方をちまきの上にのせて左手親指で押さえ、後ろに回したら左手人差し指で押さえる。後ろ側で残った茎で輪を作り、横向きにしてちまきにかける
9.後ろ側の菅の茎(長い方)を上に引っ張って茎の形を整えたら、手前の短い方と結ぶ

9.後ろ側の菅の茎(長い方)を上に引っ張って茎の形を整えたら、手前の短い方と結ぶ


10.菅の茎の長い方を使い、5個ずつ束にして結び、沸騰した大鍋に入れる。弱火にして1時間ゆでたら出来上がり

10.菅の茎の長い方を使い、5個ずつ束にして結び、沸騰した大鍋に入れる。弱火にして1時間ゆでたら出来上がり
出来上がったちまきは水の中に入れたまま2~3日保存できる(冷蔵庫でも可)。食べるときに再びゆでたり、電子レンジで加熱する

出来上がったちまきは水の中に入れたまま2~3日保存できる(冷蔵庫でも可)。食べるときに再びゆでたり、電子レンジで加熱する


端午の節句とちまき
ちまきは茅(ちがや)、笹などの葉や、竹の皮などに餅やご飯を包んだ食べ物のことで、保存性がよく持ち運びしやすいため戦国時代の武将たちの携帯食とされてきました。一方、端午の節句とは、疫病が流行り出す5月に、菖蒲やヨモギを軒下にさして邪気を払うという奈良時代からの風習です。この端午の節句に、男の子の誕生と成長を祝うようになったのは江戸時代の頃。いつしか、男の子は武士のようにたくましくあれ、という願いを込めて、ちまきが食べられるようになりました。地方ごとに、餅(米)を包む素材、包み方、餅の種類などにさまざまな個性が見られます。

水産ブースのリーダー、佐原定義店長
季節の野菜でいただく けんちん汁も一緒に
この地方の宴席に必ず登場するのが、野菜ときのこのだしが絶妙の「けんちん汁」。サトイモやきのこから出る自然なとろみが特徴です。基本の具材は旬の野菜と山菜ですが、慶事の席には鶏肉をプラス。お彼岸の時は油揚げを、普段や法事の時は麩を入れるなど、行事ごとに中身を工夫するのだとか。上田の郷の人気メニューの1つです。