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農林水産省

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特集1 世界遺産条約採択40周年 世界自然遺産を守る林野庁の取り組み(6)

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独特な生態系を持つ固有種の宝庫

小笠原諸島




[DATA]
東京都小笠原村。
聟島列島、父島列島、母島列島の3列島からなる小笠原群島、火山列島(北硫黄島、硫黄島、南硫黄島)のうち北硫黄島、南硫黄島、孤立島の西之島からなり、父島及び母島以外の島の陸域全て、父島及び母島の陸域の一部を除く地域、及び父島及び母島周辺の一部の海域。
面積79km2(陸域64km2、海域16km2

世界的にも希少なアカガシラカラスバト

世界的にも希少なアカガシラカラスバト。父島の東平はアカガシラカラスバトの重要な繁殖地となっている。天然記念物及び絶滅危惧IB類(EN)に指定されており、現在40~60羽が生息していると考えられている

ハハジマメグロ

ハハジマメグロ。サイパンのオウゴンメジロの近縁種と考えられており、母島とその属島のみに生息している
小笠原諸島の自然と林野庁の取り組み
小笠原諸島は大陸と一度も陸続きになったことがない海洋島であり、動植物が独自の進化を遂げたことから、小笠原諸島でしか見られない固有種が数多く生息・生育しています。

森林については、父島・兄島の「乾性低木林」や、母島の「湿性高木林」に代表される、世界的に貴重な固有の樹種で構成される森林生態系が成立しています。

このような特異な生態系を維持し、さらに影響を受けている生態系の復元を図っていくためには、小笠原諸島全体の生態系を包括的に保全管理する必要があります。

林野庁関東森林管理局では、地域との連携によって「指定ルート」の設定を行いました。固有の生態系への影響を軽減するため、小笠原諸島森林生態系保護地域への入林は、指定ルートに限定し、立ち入る場合は利用講習を受講し許可を受けたガイドの同行が必要となります。

ガイド講習は平成20年から実施しており、受講者は300人を超えました。観光客は講習を受けたガイドが同行することにより、自然の価値や生態系の保全について、より深く理解することができます。世界遺産登録によって小笠原諸島を訪れる観光客は増加しており、このような取り組みの重要性が増しています。

ガイド講習会の様子

ガイド講習会の様子

  侵略性が強い外来植物のひとつ、アカギに薬剤を注入し、駆除を行う

侵略性が強い外来植物のひとつ、アカギに薬剤を注入し、駆除を行う

指定ルートの入口に設置している「種子除去装置」

指定ルートの入口に設置している「種子除去装置」

世界的にも希少なアカガシラカラスバト

グリーンアノールは特定外来生物に指定されているトカゲ
外来種は絶対に持ちこまない努力を!
小笠原諸島の生態系は環境の変化に対して非常に敏感で、外来種に対して極めて脆弱です。外来植物の種子は「固有種を含む在来種の生息・生育地を奪う」「遺伝子レベルでの攪乱を引き起こす」など、小笠原諸島固有の生態系に対してさまざまな悪影響を与えます。外来植物の種子や外来生物の上陸を防止するために、港では靴底の泥を落とすためのマットを設置して、下船する乗客に泥落としの協力をお願いしています。

また、指定ルートなどの入口には、靴の泥を落とすためのマットや衣服に付いた種子を除去するための粘着テープ、プラナリア(ウズムシ)対策として酢酸スプレーを設置しています。父島・母島から他の島へ行く時にも注意が必要です。父島・母島以外の島々にはグリーンアノールやオオヒキガエルは生息していません。他の島にグリーンアノールやオオヒキガエルを持ちこまないよう、知らないうちに荷物や靴の中に潜り込んでいないか、よくチェックしなくてはなりません。


小笠原諸島を代表する森林
小笠原諸島ではそれぞれの島で独特な森林の生態系が確立しています。主な森林のタイプを紹介しましょう

湿性高木林 湿性高木林 乾性低木林
乾性低木林
兄島、父島の北東部などで見られる森林のタイプ。
乾燥した気候に適応するため5~8mの比較的低木の樹木からなり、68種の固有植物が確認されています。固有種率は67%にのぼります

湿性高木林
母島の石門などでみられる森林のタイプ。
間断なく雲や霧がかかる湿度の高い雲霧林があるなど、東南アジアを起源とするシマホルトノキ、ウドノキなどで構成され、群落高は20mにもなります