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チャレンジャーズ 明日につなぐ夢 第66回

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NPO法人銀座ミツバチプロジェクト/農業生産法人 株式会社銀座ミツバチ

銀座のビルの屋上から世界に発信!日本の地域と食を元気にしたい

ユニフォームの黄色いTシャツ姿で、屋上に集まってくれた(株)銀座ミツバチの職員4人とボランティアスタッフたち。

ユニフォームの黄色いTシャツ姿で、屋上に集まってくれた(株)銀座ミツバチの職員4人とボランティアスタッフたち。彼らは養蜂、地域農業の他、近隣小学校への出前授業にも取り組んでいる

銀座ミツバチ代表取締役の田中淳夫さん。

銀座ミツバチ代表取締役の田中淳夫さん。「ここ数年、都内のサクラやトチノキに実がなるんですよ。うちのミツバチのせいかなあ」

一段下の屋上にある緑地。畑や花壇にしてミツバチに良い環境を整えている。こんな屋上緑地が銀座界隈に現在12か所ほどあるという

一段下の屋上にある緑地。畑や花壇にしてミツバチに良い環境を整えている。こんな屋上緑地が銀座界隈に現在12か所ほどあるという

紙パルプ会館屋上に並ぶミツバチの巣箱

紙パルプ会館屋上に並ぶミツバチの巣箱

紙パルプ会館屋上に並ぶミツバチの巣箱。今年の採蜜の季節は終わっていたが、オレンジ色のコスモスの花粉をつけて巣箱へ戻るミツバチはとても元気

NPO法人銀座ミツバチプロジェクト
東京都中央区銀座3-9-11 紙パルプ会館11階
TEL.03-3543-8201
http://www.gin-pachi.jp/
遊び心ではぐくんだ都会と自然をつなぐ試み
みなさんは東京の大繁華街、銀座のビルの屋上にミツバチの巣箱があるのをご存知だろうか。巣箱の数は合計16個。この都会育ちのミツバチは、銀座の並木や皇居、浜離宮などの緑地を飛び交っている。飼育しているのはNPO法人「銀座ミツバチプロジェクト」のスタッフとボランティアたち。平成18年、ある養蜂家から「都会でミツバチが飼える場所を探している」と相談され、もともと貸しビル業を営んでいた株式会社紙パルプ会館の現専務取締役、田中淳夫(あつお)さんが「それなら屋上を貸してあげてもよいよ」と親切のつもりで応えたら、自分たちで養蜂にチャレンジすることになってしまったのだとか。「果たして都会でミツバチが飼えるのか」という懸念をよそに、収穫できたハチミツの量は、同年の初収穫(3カ月)で150kg、2年目で260kg、3年目には430kgと年々増加。その間にも、当初から活動を支援してきた銀座のレストラン経営者やシェフが、銀座産のハチミツを使った料理やスイーツを作ったり、バーのママさんが採蜜を手伝うなどしてマスコミにも話題を提供してきた。「もともと銀座は職人(技術者集団)の町。物を作ることにかけては応援団がたくさんいるんです」と田中さんは面白そうに語る。

その楽しそうな活動は、近隣のビルの屋上緑化を進める、また屋上緑化が進むと、野菜の栽培や田植え、収穫といった小中学生たちの自然教育の場となる。地方からも見学者が訪れるなど、人と地域の交流が急速に活発になっていく。今、「ビーガーデン」と称される銀座の屋上菜園は合計1,000m2を越えている。この場所に、地方生産者から寄せられた野菜や果物の苗が植えられ、収穫時には、銀座の職人の技でおいしい料理になって振る舞われる。こういった地域交流はますます盛んとなり、平成21年に始まった「ファームエイド銀座」という、年4回の一大交流イベントにつながった。

「ここで出会った日本中の生産者さんと話すうちに、新しい試みが次々に生まれています。大阪や名古屋でもビルの屋上でミツバチを飼い始めているし、銀座と地域の交流が今、都市養蜂を通して新しい価値を生み出していると実感しますね」と田中さん。ちなみにこの活動には世界も注目。今までに十数カ国もの環境団体やマスコミが取材に訪れているそうだ。

ミツバチが育つ豊かな環境を目指して
そして平成22年、収穫したハチミツの量が800kgを越え、国産ハチミツの0.03%を収穫する「生産者」となったのをきっかけに、「農業生産法人 株式会社銀座ミツバチ」を設立。

地上45mの空中庭園。土のないところで生まれた農家というのがユニークだ。でもこの法人の設立で、日本の農業や食に関してより深い興味がわいてきたのだという。

その後に襲った東日本大震災も、彼らのチャレンジ精神にさらに火をつけた。今年は、福島県須賀川市で5反分の田んぼを借り、スタッフやボランティアたちと酒米を栽培。収穫米は地元蔵元で純米吟醸酒に醸造してもらう。福島市との交流では菜の花畑からは菜の花オイルを搾り、銀座のシェフに使ってもらう。野菜や大豆にも挑戦。それもすべて「無農薬」がこだわりだ。

今年4月、彼らの活動は、農林水産省の「食と地域の『絆』づくり」の優良事例に選定されている。

「ミツバチが生き生きと育つ環境は安心と安全の指針にもなる。図らずもミツバチは世界共通のオーガニックの象徴です。このミツバチを我々の活動のマークにし、さらに日本中の生産者の人たちと交流を深めて、これからもずっと、夢のある活動をしていきたいですね」と田中さん。

そして最後に「今年は福島産の純米酒とおいしい料理で祝おうと。新橋の芸者衆に、我らが刈った稲穂のかんざしをしてもらってね」と、軽やかに語るのがいかにも銀座らしい、粋な農業集団である。

「菜の花オイル」

銀座と福島市の菜の花「アサカノナタネ」から搾った「菜の花オイル」(1,000円)はファームエイド銀座のイベント会場で販売された
   (左)福島産の酒米で作った「純米吟醸酒 銀牡丹」(右)銀座ハチミツを使ったプレミアム梅酒「北雪」。どちらも限定品

(左)福島産の酒米で作った「純米吟醸酒 銀牡丹」(右)銀座ハチミツを使ったプレミアム梅酒「北雪」。どちらも限定品

「銀座ハチミツ」もプロジェクトの限定品。銀座のハチミツは銀座の職人の技でさまざまな商品に生まれ変わる

「銀座ハチミツ」もプロジェクトの限定品。銀座のハチミツは銀座の職人の技でさまざまな商品に生まれ変わる
    

地図

Photo:Takehiko Maekawa

チャレンジャーズでは、農林水産分野で先進的、かつユニークな活動を行っている人々をご紹介します。