MAFF TOPICS(2)
農業を通して伝統文化を守り伝える
農業・農村の伝統文化を継承する機能
農業・農村にはさまざまな機能があることが知られています。 古くから伝承されてきた祭りなど、長い歴史を通じて培われてきた伝統文化を継承することもその機能のひとつです。 |
伝統文化を継承
農業・農村は、私たちが生きていくうえで必要な米や野菜などを生産するだけでなく、農業生産活動を通して、国土の保全や水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の継承などさまざまな役割を担っています。このような役割を農業・農村の多面的機能と言います。この機能のひとつ「伝統文化を継承する機能」は、古くから行われている祭りや行事が、今も農業生産活動を通して地域の人々により継承される役割のことです。 日本各地の農村において、独自の活動が行われていますが、ここでは2つの取り組みを紹介します。 皆さんも、農村で行われている行事や活動に参加して、古くからの伝統文化に触れてみてはいかがでしょう。 「権座(ごんざ)」田舟(たぶね)で通う田んぼ
「権座」は、滋賀県の琵琶湖の東岸に位置する「西の湖(にしのこ)」に浮かぶ島状の田んぼで、約1.5ヘクタールの水田が広がっています。この「権座」では、古くから田舟と呼ばれる小舟で人や農機具、収穫物を運びながら農業を営んできました。他では見られなくなったこの「権座」では、白王町(しらおうちょう)集落営農組合が中心となり、酒蔵、NPO、都市住民などの協力を得て、滋賀県生まれの"幻の酒米"「滋賀渡船(わたりぶね)6号」を作付けし、地酒造りに取り組んでいます。また、昔ながらのじゃぐるま(足踏み式水車)による田んぼへの水やり体験なども行い、伝統的農法の保存に取り組んでいます。
茅葺(かやぶ)き屋根のある景観とお田植え祭
「かやぶきの里」の愛称で呼ばれる京都府南丹市(なんたんし)美山町(みやまちょう)の北地区では、「かやぶきの里保存会」を組織し、将来にわたって歴史的景観を保全することと地域住民の生活を両立させるために、検討を重ね、地元住民出資の「有限会社かやぶきの里」を設立しました。これら2つの組織が中心となり、茅葺き屋根の葺き替えを行ったり、茅葺き職人を育成することで技術の継承に取り組んだり、毎年5月には編笠やかすりの衣装を身にまとった早乙女が田植えを行い、五穀豊穣を願う「お田植え祭」を行っています。また、特産品販売所「かやの里」の運営やボランティアガイド、民宿での田舎体験を実施するなど、伝統文化の保存・継承と観光との両立により、地域の活性化を図っています。
権座・水郷を守り育てる会 http://gonza.jp/ かやぶきの里 北村 http://www.kayabukinosato.com/ |