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特集2 新・日本の郷土食(1)

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ソバ・小麦・雑穀で作る  岩手県の麺料理とおやつ(1)


みちのくの郷、岩手県には、昔からソバや小麦、雑穀を利用したおいしい麺料理やおやつを食べる習慣があります。
体によい雑穀が見直される時代だからこそ改めて学びたいと、今回は少し趣向を変えて「岩手県の郷土料理」にスポットを当てました。

ソバ・小麦・雑穀で作る 岩手県の麺料理とおやつ

厳しい環境が育んだ雑穀を大事にする暮らし
意外と知られていませんが、岩手県は雑穀王国。国内で生産される雑穀の多くが、岩手県産です。もともと夏でも冷涼な土地柄であることや、北海道に次ぐ日本第2位の面積にも関わらず、その77%ほどを森林が占めているために、広い水田が作れないなどの事情がその背景にあります。

縄文時代には日本中で広く栽培されてきた、アワやヒエといった雑穀。農耕技術の進化につれて、他県では時代とともに雑穀の生産量が減り、柔らかくておいしい水稲の栽培が普及しました。もちろん、岩手県でもおいしいお米(現在では「ひとめぼれ」など)を栽培するとともに、ソバ、小麦も栽培してきました。しかし、幾度となく冷害に見舞われてきた同県では、備蓄のために厳しい環境でも育つ雑穀を、とぎらすことなく育て続けてきたのです。このような歴史の中、県内では非常に個性的でバラエティ豊かな「粉もの郷土料理」が誕生しました。

「こちらでは、粉に水やお湯を入れてこねたものを『しとねもの』というのよ」と教えてくださったのは、二戸市(にのへし)で手打ちそばの店「そばえ庵」を営む、米田(まいた)カヨさん。平成8年に岩手県の「食の匠」に認定された、しとねものの名人です。「昔、南部藩の殿様は、細切りの手打ちそばがあまりにおいしいので、贅沢は禁物と、農民が食べるのをご法度にしたそうです。そこでソバやうどんの形を変えた『はっと』や団子が誕生したの。一生懸命働いたら、自分たちが作った作物でおいしいご飯が食べたい、という農民たちのたくましさが伝わるでしょ」というカヨさん。今回は、ご法度なソバの形を変えた「柳ばっと」と、タカキビの粉で作る「へっちょこ団子」という、おいしい郷土料理を作ってもらいました。

米田(まいた)カヨさん

柳ばっと

米田工房「そばえ庵」

米田工房「そばえ庵」
岩手県二戸市下斗米十文字24-2
TEL.0195-23-8411
営業時間/11時00分~17時00分
金曜日定休

Photo:Takehiko Maekawa
子どもと一緒に覚えてほしい粉を水で練る「しとねもの」
岩手県二戸市/米田工房「そばえ庵」 米田(まいた)カヨさん
ソバ粉を練って柳の葉の形に整え、鍋にそのまま入れる「柳ばっと」と、タカキビの粉を練った団子をお汁粉にする「へっちょこ団子」。米田さんは、郷土料理の普及のため、近隣の子どもたちや若いお母さんにたびたび作り方を指導しています。最初はしとね方(粉扱い)が難しくても、慣れるといかに手軽な料理かわかるとか。「柳は強風でもなかなか散らない生命力があるの。ご法度の時代にソバを柳の葉に見立てた昔の人のセンスも素敵でしょ」。

柳ばっとの作り方

ソバ粉2カップに、お湯1カップを注ぎ、しゃもじを使って全体をよく混ぜる    こね鉢の中のソバ粉が、きれいにひとまとまりになるまで、両手でよくこねる

1.ソバ粉2カップに、お湯1カップを注ぎ、しゃもじを使って全体をよく混ぜる
 
2.こね鉢の中のソバ粉が、きれいにひとまとまりになるまで、両手でよくこねる

2のかたまりを5~6gの大きさにちぎっておく    3の手でちぎったものを、両手でクルクルと伸ばし、5~6cmの細い棒状にする

3.2のかたまりを5~6gの大きさにちぎっておく
 
4.3の手でちぎったものを、両手でクルクルと伸ばし、5~6cmの細い棒状にする

棒状にした中央を右手親指の付け根で押し、真ん中が膨らんだ柳の葉の形に成形する    いりこだしで鶏肉、ダイコン、ニンジン、シメジ、エノキダケを煮込み、醤油で調えた鍋に、5を入れて数分加熱。柳ばっとが浮かんできたら出来上がり

5.棒状にした中央を右手親指の付け根で押し、真ん中が膨らんだ柳の葉の形に成形する
一人分10枚程度が目安だが、量はお好みで
 
6.いりこだしで鶏肉、ダイコン、ニンジン、シメジ、エノキダケを煮込み、醤油で調えた鍋に、5を入れて数分加熱。柳ばっとが浮かんできたら出来上がり

栄養豊かな雑穀たち(アマランサスの花)

アマランサスの花
まずはご飯に混ぜてみませんか?

栄養豊かな雑穀たち
さまざまな料理に利用できる雑穀ですが、手始めにお米3合に対し、大さじ1杯の割合で混ぜて一緒に炊いてみましょう。

アマランサス

   キビ
アマランサス
秋に真っ赤な花を咲かせるアマランサスは、中南米原産のヒユ科の植物。ほかの雑穀に比べてタンパク質やミネラルの量が多く、特にカルシウムは白米の30倍以上。風味はやや苦みがあるので、炊いたりゆでたものをコクのある焼き菓子に使うとよい。
 
キビ
イネ科の植物で、イネと同様ウルチ種とモチ種(モチキビ)の2種類があるが栽培はモチ種が多い。ウルチ種は炊くとふんわり、サラダの具にもよい。モチキビは粘りが出るので「キビ団子」のような団子にするほか、ハンバーグなどのつなぎに便利。

アワ

   ヒエ
アワ
イネ科の植物で、ウルチ種とモチ種があるが、栽培されているのはモチ種が多い。タンパク質、ミネラル、ビタミンB群が豊富で、特に鉄分の量が多いため貧血予防に効果的。風味にクセがないのでさまざまな料理に利用できる。
 
ヒエ
イネ科の植物で、アワと並び日本最古の穀物とみられている。栄養バランスがよいので、毎日のご飯に加えるなど積極的に利用したい。ただ、冷めるとパサパサになる性質があるので、冷まして食べるご飯には向かない。

モロコシ(タカキビ)

    
モロコシ(タカキビ)
イネ科、キビ属の植物で、別名「タカキビ」ともいう。アマランサスに次いでマグネシウム、カリウム、食物繊維の含有量が高いのが特徴。岩手県の郷土料理「へっちょこ団子」には欠かせない。
   

資料・取材協力/雑穀食彩館(岩手日報社)・県北広域振興局(二戸センター)