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農林水産省

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特集1 獣医師の仕事(2)

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幅広い分野で活躍する獣医師たち


獣医師は、ペットや家畜の診療、口蹄疫などの家畜伝染病の防疫、食品の安全など幅広い分野で活躍しています。
獣医師の活動状況を紹介しましょう。

時代が要請した獣医師の仕事
日本では殺生を禁じていた仏教の影響から、明治時代まで畜産物を食べる習慣があまりありませんでしたが、明治時代に入ると文明開化とともに、牛肉などを食べる文化が西洋から入ったため、乳肉用の家畜や農耕などに利用する家畜が数多く持ち込まれるようになりました。その後、農業生産が拡大するとともに畜産業も発展し、それに伴って家畜の診療や乳肉食品の衛生管理が必要となりました。当時まだ、獣医師の免許制度はありませんでしたが、日本でも西洋獣医学の必要性が論じられるようになり、明治18(1885)年、太政官布告(だじょうかんふこく)として「獣医免許規則」が公布。翌年の7月1日に施行され、これ以降、獣医師免許の有資格者でなければ家畜診療を行うことができなくなりました。当時の獣医師の教育課程は、家畜伝染病の診療と予防に関する研究を柱とし、臨床は軍馬が主体でした。

時代が移り、社会構造の変化に伴って、獣医師の活動分野は徐々に広がりました。畜産業の分野では、食生活の西洋化によって家畜の生産が拡大し、産業動物(※)の診療や伝染病予防、農家への衛生管理指導を行うなど、獣医師の重要性が増してきました。

家庭内等においては、イヌやネコなどの愛玩動物の飼育数が急増したことから、小動物分野の診療に携わる獣医師は増加してきました。また、これに伴い、小動物の臨床獣医学は著しく進歩しましたが、これらの小動物を伴侶動物(コンパニオン・アニマル)として家族同様に大切にするようになった昨今、更なる高度な獣医療を望む声も高まっています。

小動物の診療から食品の安全確保まで
獣医師というと、ペットを対象とした動物病院で働いているイメージがありますが、実際には動物病院で働くペットの獣医師数は4割未満です。産業動物分野の獣医師は家畜の健康や衛生管理に深く関わり、私たちの食品の安全を守る重要な仕事だといえます。その他、「獣医師の活動分野」(下図)を見ても分かるように、実に多岐に渡っています。

日本で医師や歯科医師、薬剤師、看護師を所管しているのは厚生労働省ですが、獣医師は農林水産省の所管となっています。また、イヌやネコのペットフードに関しても、農林水産省では環境省と共管で「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)に則り、ペットの健康に悪影響を及ぼすペットフードの製造、輸入または販売を禁止したり、消費者に対して適切かつ十分な情報を提供するために製造業者名や賞味期限などの表示を義務付けるなど、ペットフードの安全の確保に努めています。

獣医師全体では、75%が男性である一方、若い20~30代の半数が女性であり、女性の活躍する職業でもあります。また、現在、農林水産省には免許を保有している約300人の獣医師が勤務し、安全で良質な畜産物を安定供給するための職務に従事しています。

(※)産業動物とは、畜産業にかかわる動物のことです。日本では、牛・豚・馬・鶏・ヒツジ・ヤギなどが主な産業動物です。

獣医師の活動分野

 
【農林水産分野】
●家畜の診療
●家畜伝染病の防疫(国内防疫・動物検疫)
牛の繁殖検診

牛の繁殖検診
  馬の直腸検査(写真提供:岩手大学)

馬の直腸検査(写真提供:岩手大学)
動物検疫所で検疫に従事(写真提供:動物検疫所)

動物検疫所で検疫に従事(写真提供:動物検疫所)
   

【小動物臨床分野】
●イヌ・ネコなどの愛玩動物の診療
イヌの画像診断の様子(写真提供:(公社)日本獣医師会)

イヌの画像診断の様子(写真提供:(公社)日本獣医師会)

【野生動物分野】
●動物園・水族館動物の診療
●野生動物の保護・管理
ゾウの内視鏡検査。東京・上野動物園にて(写真提供:日本動物園水族館協会)

ゾウの内視鏡検査。東京・上野動物園にて(写真提供:日本動物園水族館協会)
  ジャガーの内視鏡検査。名古屋・東山動物園にて(写真提供:日本動物園水族館協会)

ジャガーの内視鏡検査。名古屋・東山動物園にて(写真提供:日本動物園水族館協会)


【バイオメディカル分野】
●動物用・人体用医薬品の開発

【公衆衛生分野】
●食肉検査(食肉等の安全の確保)
●狂犬病等の予防
●食品衛生監視・指導

【動物愛護・社会福祉分野】
●家庭動物や学校飼育動物の飼育指導

【海外技術協力分野】
●開発途上国の人材育成・能力開発

 


獣医師の活動状況

参考資料:日本学術会議「獣医学研究連絡委員会報告」