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農林水産省

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チャレンジャーズ チーム力で輝け 第73回

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佐賀県武雄市 農事組合法人 武雄そだちレモングラスハッピーファーマーズ

農家が作って行政が売り込む――。気がつけば、レモングラスが地元の新たな特産品に!


農林漁業生産(第1次産業)と、加工・販売(第2次、3次産業)を一体化させることで、新たな産業を生み出す6次産業。
今回は、日本ではあまり知られていない作物の商品化に成功した、農家と行政のチームワークの秘訣を探ります。

農事組合法人武雄そだちレモングラスハッピーファーマーズの藤川昇代表理事(前列中央) と事務局の山口有奈さん(後列中央) 、メンバーの外尾祐子さん(前列右)、同法人が運営するカフェ、レモングラスティーハウスの店員松本美幸さん、白水佑輝さん(前列左と後列左)、武雄市商工流通課の福田史子さん(後列右)

農事組合法人武雄そだちレモングラスハッピーファーマーズの藤川昇代表理事(前列中央) と事務局の山口有奈さん(後列中央) 、メンバーの外尾祐子さん(前列右)、同法人が運営するカフェ、レモングラスティーハウスの店員松本美幸さん、白水佑輝さん(前列左と後列左)、武雄市商工流通課の福田史子さん(後列右)

レモングラスは5月に定植し、8~10月にかけて収穫。「定植・収穫と、その間の草取り以外は手がかからないことや、イノシシが香りを嫌い、獣害の心配がないのがレモングラスの魅力」(藤川さん)

レモングラスは5月に定植し、8~10月にかけて収穫。「定植・収穫と、その間の草取り以外は手がかからないことや、イノシシが香りを嫌い、獣害の心配がないのがレモングラスの魅力」(藤川さん)

収穫したレモングラスは加工所に持ち込まれ、乾燥させる。注文に応じて刻み、袋詰めされる。常勤の従業員は4人だが、繁忙期は30人が働き、地域に雇用も生み出している

収穫したレモングラスは加工所に持ち込まれ、乾燥させる。注文に応じて刻み、袋詰めされる。常勤の従業員は4人だが、繁忙期は30人が働き、地域に雇用も生み出している

レモングラスティーハウスの店内に並ぶ各種加工品。人気はレモングラスティー(30g入り630円)。ティーバッグタイプや緑茶、紅茶をブレンドした商品、また、レモングラス入り歯磨き粉、化粧水も並ぶ

レモングラスティーハウスの店内に並ぶ各種加工品。人気はレモングラスティー(30g入り630円)。ティーバッグタイプや緑茶、紅茶をブレンドした商品、また、レモングラス入り歯磨き粉、化粧水も並ぶ

レモングラスティーハウスの店内に並ぶ各種加工品。人気はレモングラスティー(30g入り630円)。ティーバッグタイプや緑茶、紅茶をブレンドした商品、また、レモングラス入り歯磨き粉、化粧水も並ぶ
佐賀県武雄市で、ハーブの一種、レモングラスの栽培が始まったのは、平成19年のこと。地域を活性化させる、新たな特産品を模索していた樋渡啓祐(ひわたしけいすけ)市長が、東京で初めて飲んだレモングラスティーのおいしさと、1杯1,000円という価値の高さに着目したのです。

なにより、イネ科のレモングラスならば、市内で増え続けている耕作放棄地の再生に利用できるのではないか、と考えたのでした。

荒れ地の解消に賛同した複数の農家が、栽培に着手
市長は早速、職員をレモングラスの本場・タイに派遣。栽培や加工技術を持ち帰った職員は、耕作放棄地の増加に悩む中山間地を中心に、生産者を募集。手をあげた複数の農家が、試験栽培を始めました。

そして、それらの農家と集落営農組織が、農事組合法人「武雄そだちレモングラスハッピーファーマーズ」(以下、ファーマーズ)を設立。藤川昇代表理事は、「レモングラスなんて聞いたこともなかった(笑)。でも、荒れ地をなんとかしたかったし、栽培に手間もかからん。販売は市がやるといってくれたから、安心して始められた」と、振り返ります。

栽培や加工法が確立され地元の新たな特産品へ
武雄市は販路開拓を見すえて、ファーマーズに「安全・安心」を強みにした商品づくりを提案。ファーマーズは、「農家として、また市を挙げて特産品を開発するのだから当然のこと」と賛同し、苗の定植前に大量に堆肥を鋤き込み、手作業で除草するなど、有機栽培に尽力しています。

失敗もありました。例えば、レモングラスは寒さに弱く、栽培初年度の冬、株のほとんどが枯れてしまいました。そこで、武雄市の職員は、大学のレモングラス研究者に連絡をとり、栽培技術の助言をうけ、ファーマーズと共に、ハウスで越冬させる方法を確立していきました。

収穫したレモングラスの選別や乾燥は、建設した加工施設で、ファーマーズが農家の主婦らを雇用して行っています。また、レモングラスをどこでも手軽に楽しめるように、武雄市の職員がティーバッグの開発を提案し、商品化も果たしています。

販路開拓には、武雄市が「レモングラス課」を立ち上げて奔走。国産であることや外国産をしのぐ味や香りの良さが高く評価され、東京の百貨店、生協など、販路は全国へ。武雄市内でも、レモングラスを使った鍋、スイーツ、フレグランス商品、陶器(レモングラスの灰を釉薬(ゆうやく)に使用)などが次々と登場。観光客やお土産の、新たな定番になっています。

チーム力を発揮する秘訣はコレ!
             レモングラスの生産と加工はファーマーズが、販路の開拓は武雄市が担当。ファーマーズは、武雄市の職員による栽培から販売までの支援のもと、「安全・安心を強みにした新たな特産品を開発して、地元を元気にしよう」と、手間暇かけた商品づくりを実践。栽培面積も徐々に増やしています。
             一方、市長のトップセールスをはじめ、武雄市の「レモングラス課」による販路開拓の結果、国内の流通量の大半が外国産のなか、それらに負けない品質のよさが受けて、食品加工だけでなく、地元の温泉や伝統工芸の原料として活用されるまでになっています。

文/茂島信一   写真/八木拓也