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農林水産省

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MAFF TOPICS(2)

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地域ぐるみで地下水を守る

農業・農村において地下水をかん養する機能


農業・農村には人々の暮らしに役立つさまざまな機能があります。水田に水を張ることで、地下水が守られることも、その機能のひとつです。

大切な役割があるんだね

地下水かん養のイメージ

転作田で、かんがい期間中1~3か月の水張りを行っている

転作田で、かんがい期間中1~3か月の水張りを行っている

白川中流域土地改良区協議会が毎年開催する、子どもたちの田植え体験。この体験をとおして、水田が持つ地下水をかん養する機能などを学んでいる。

白川中流域土地改良区協議会が毎年開催する、子どもたちの田植え体験。この体験をとおして、水田が持つ地下水をかん養する機能などを学んでいる。

文/小林裕幸
下流域の地下水を守り育てる
農業・農村は、米や野菜などを生産するだけでなく、農業生産活動を通して、国土の保全や水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成、文化の継承などさまざまな役割を担っています。このような役割を農業・農村の多面的機能といいます。

この機能のひとつ「地下水をかん養する機能」は、水田に水を張り水稲を育てることで、水が水田から地中にしみ込むなど、地下水をかん養する(育てる)役割のことをいいます。

下流域ではかん養された良質な地下水を生活用水に利用するなど、地下水と生活が密着している地域があります。

転作田を利用した地下水のかん養
熊本市では、水道水の全てを地下水で賄っており、阿蘇山から有明海に注ぐ白川の中流域にある、熊本県北部の大津町と菊陽町の水田が、熊本市内の地下水のかん養に重要な役割を担ってきました。

ところが、熊本市内の地下水位の低下傾向や湧水量の減少傾向がみられました。そこで、平成15年に白川中流域周辺の4土地改良区で設立された「白川中流域土地改良区協議会」を中心に、地下水かん養への取り組みを始めました。

具体的には、水田の転作作物としてにんじんなどを作付けする前に、水稲の作付け時と同じように田を耕し、代かきを行い、約1~3か月間水を張ります。その後、にんじんなどの作付けや生育に影響がでないように水を落とし、田を乾かします。

このように、通常の栽培では行われない作業が追加で必要となるため、農家の理解と協力が重要です。そこで、下流域の熊本市や地下水を利用する企業などの理解を得て、取り組みに対する支援体制をつくり、農家の負担を減らしました。取り組みを始めた平成15年に約40 ヘクタールだったにんじんなど作付前の水張りが、平成24年には560ヘクタールまで拡大し、地下水位や湧水量も回復傾向にあります。

また、水張りは連作障害の防止や線虫駆除に効果があり、減農薬にも役立っています。このほか、水張り転作田で生産された農産物を「水の恵み」ブランドとして地下水かん養に役立っていることの説明をつけて販売し、消費者の関心・理解を深める取り組みを新たに開始しています。

このように、地元土地改良区から始まった取り組みは、農家の理解や協力、地元行政・企業の支援のもとでその輪を拡げながら継続されており、川上から川下まで地域一体となった地下水かん養の取り組みとして、平成25年3月に熊本市が国連「生命の水」最優秀賞を受賞するなど、高く評価されています。