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農林水産省

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チャレンジャーズ チーム力で輝け 第75回

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栃木県 山口幸夫さん・美輝さん 根本泰昌さん

なし農家と、紅茶専門店店主の情熱が結実! 新顔フルーツティー、「おもてなし紅茶」が町おこしの顔に


農林漁業生産(第1次産業)と、加工・販売(第2次、3次産業) を一体化させることで、
新たな産業を生み出す6次産業。今回は、ユニークな"なし入り紅茶"を開発した、
農家と紅茶専門店店主との強力タッグを紹介します。

山口さんの農園で「おもてなし紅茶」をいれて一服する、山口幸夫さん、根本泰昌さん、山口美輝さん(写真右から)。紅茶は平成23年から、山口さんの農園や「Y’s tea」で販売している

山口さんの農園で「おもてなし紅茶」をいれて一服する、山口幸夫さん、根本泰昌さん、山口美輝さん(写真右から)。紅茶は平成23年から、山口さんの農園や「Y’s tea」で販売している

香りがよく、ベタつきがない理想的な乾燥なしに加工するまで2年を要した。わずかな湿度でも仕上がりに影響するため、乾燥作業はおもに冬場に行っている

香りがよく、ベタつきがない理想的な乾燥なしに加工するまで2年を要した。わずかな湿度でも仕上がりに影響するため、乾燥作業はおもに冬場に行っている

香りがよく、ベタつきがない理想的な乾燥なしに加工するまで2年を要した。わずかな湿度でも仕上がりに影響するため、乾燥作業はおもに冬場に行っている

リーフタイプは40g入り1,260円。ティーバッグタイプは10個入りで1,050円

リーフタイプは40g入り1,260円。ティーバッグタイプは10個入りで1,050円

リーフタイプは40g入り1,260円。ティーバッグタイプは10個入りで1,050円
「人々を丁寧にもてなして、地元を活性化したい」という思いを込め、乾燥なしと紅茶葉をブレンドした「おもてなし紅茶」。この紅茶は、なし農家の山口幸夫さん・美輝さん夫妻と、宇都宮市で紅茶専門店「Y's tea(ワイズティー)」を経営する根本泰昌さんの出会いから生まれました。

丹精したなしに、もっと付加価値がほしい
きっかけは、紅茶好きだった美輝さんが根本さんのお店を訪ねたことでした。根本さんが栃木県産いちごをブレンドした紅茶を開発し、それを活用して地域おこしを進めていたことに興味を抱いたのです。

これまで自分たちが育てたなしを、ジュースやジャムなどに加工してきた山口さん夫妻は、“今度はなし風味の紅茶を開発したい”と、根本さんに相談。根本さんは、「水分が多く糖度の高いなしを、茶葉とのブレンドに適した加減に乾燥するのは難しい。完成まで時間がかかりますよ」と助言しました。それでも、「丹精したなしを生かし、付加価値のある新商品を作りたい」という山口さん夫妻の熱意を感じ、共同開発することに。根本さんは「農家が主役であるべき」と考え、山口さん夫妻になしを生産するだけでなく、乾燥などの加工作業も行うことを提案。こうして両者は、新たな紅茶の開発に乗り出しました。

紅茶に適したなしを求め、ついに見つけた品種は……
まず、山口さん夫妻は温風乾燥機を購入し、栽培する6品種すべてのなしの乾燥に着手。「香りの成分が最も多い皮は、実と切り分けて乾燥したほうがいい」と言う根本さんに従い、一つ一つ手で皮をむき、厚さや大きさなどを変えながら乾燥して、品種ごとの適性を調べました。

幸夫さんは、「天候などの条件によって仕上がりが変わるので、何通りものパターンを試しました。昼に収穫してから乾燥させるため、深夜まで作業が続くこともありました」と、開発当時の苦労を振り返ります。

根本さんも山口さん夫妻宅に通いつめ、茶葉とブレンドするのに最適な品種をいっしょに模索し、その結果、甘くて風味が豊かな栃木県の品種「にっこり」を採用しました。そして、3人が納得できる紅茶をめざし、根本さんがなしと茶葉をブレンド。ついに、「おもてなし紅茶」が完成しました。

その評判は「なしの甘い風味が楽しめる」と、口コミを中心に広がり、現在、「おもてなし日本一の町」をめざす、宇都宮市内のホテルやレストランのウエルカムドリンクなどとして提供され、町づくりに一役買っています。

「Y’s tea」の店内。定期的に紅茶の講習会を開催しており、美輝さんもおいしい紅茶のいれ方などを学んだ
「Y’s tea」の店内。定期的に紅茶の講習会を開催しており、美輝さんもおいしい紅茶のいれ方などを学んだ

チーム力を発揮する秘訣はコレ!
「おもてなし紅茶」の開発にあたり、山口さん夫妻と根本さんがめざしたのは、高品質な商品作り。中途半端なものでは、山口さんのなしや「Y’s tea」のブランドイメージを損ないかねません。そこで、完成に向けての情熱だけでなく、なしをベストな状態に乾燥するという困難な課題も共有。試行錯誤を繰り返し、フルーティーななしの香りと、ほんのりした甘みが特徴の紅茶を作りあげました。

また、根本さんは紅茶教室や紅茶の試飲会などを開催。山口さん夫妻も参加して魅力を伝えるなど、PR面でも“共闘”しています。「なし以上に、なしの味わいを感じられる」と、口コミを中心に評判が広がり、地元のホテルや飲食店だけでなく、都内の一流ホテルでも提供され、町の新たな顔になりつつあります。


文/佐々木 泉  写真/古城 渡