MAFF TOPICS(1)
新たな技術に期待大!
農林水産分野の研究・開発で、優れた成果をあげた民間・若手の方を表彰しました
MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。 MAFF TOPICSでは農林水産省のお知らせを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けします。 |
去る10月23日~25日、東京ビッグサイトでアグリビジネス創出フェア2013が開催されました。 そのなかで、平成25年度民間部門農林水産研究開発功績者と、若手農林水産研究者の表彰式が行われました。 |
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免疫力を高める多糖を利用して開発した、機能性ヨーグルト
昨今、農林水産分野では、さまざまな技術開発や研究開発が進められていますが、研究開発の一層の発展や研究者の意欲の向上のため、農林水産省は民間企業等が主体となっている研究や40歳未満の若手研究者について、優れた功績をあげた方を表彰しています(民間部門農林水産研究開発功績者表彰、若手農林水産研究者表彰)。本年度の民間部門農林水産研究開発功績者表彰は、11件の研究・開発が表彰され、うち、3件が農林水産大臣賞に輝きました。農林水産大臣賞を受賞したうちの一つ、(株)明治食機能科学研究所の牧野聖也さんをはじめとする3人は、ウイルスや細菌などに対する免疫力を高める作用のある多糖(糖質)を大量に生成する乳酸菌を発見し、それを活用したヨーグルトを開発しました。高齢者や子どもは、免疫力が弱いため、常にウイルスなどの感染症の脅威にさらされていますが、ヨーグルトだと手軽に毎日摂取することが可能で、さまざまな年齢層の人達の健康に大きく貢献できることが期待されます。 牧野さんは、「開発過程で多糖を精製する必要があったのですが、多糖の研究はあまり進んでいないため、その扱いが大変でした。これからも食品を通して社会貢献をしていきたいです」と、語ってくれました。 天敵やフェロモンを利用した、新しい害虫防除法
若手農林水産研究者表彰では、5人が農林水産技術会議会長賞を受賞しています。このうちの一人、福岡県農業総合試験場の手柴真弓さんは、果樹(特にカキ)の害虫であるフジコナカイガラムシの効果的な防除方法を構築しました。この害虫は、木の表皮の隙間などにいるため、薬剤による防除が困難でした。そこで、この害虫の天敵であるフジコナカイガラクロバチに影響のある薬剤の使用を控えることで天敵を保護し、結果的に防除する方法を構築しました。今では、この防除方法が県内のカキ栽培面積の約半分まで普及しています。 また、この害虫の効果的な防除時期はふ化したばかりの幼虫の時期ですが、大きさが微小なため発生を確認することが困難でした。このため性フェロモン(交尾のため雄が雌の居場所を知るために利用している物質)を利用して防除時期を特定する技術も開発しました。 手柴さんは、「性フェロモン剤を作るため、100万匹分のフェロモンを集めるのに苦労しました。これからも農家の経営に役立つ研究をしていきたいです」と、語ってくれました。
文/小林裕幸 |