特集1 大きく広がれ!6次産業化(3)
人が集まるぶどう産地を目指して 地ワインを製造・販売
日本有数のワイン用ぶどう産地に、ワイナリーを建設
100%地元産ワインを武器に、レストランも併設して地域を丸ごと活気づけようと奮闘中!
株式会社OcciGabi Winery(北海道余市(よいち)郡余市町)
![]() 「余市町のぶどう畑の眺めは、本場ヨーロッパを超えるほど美しい」
と話す佐沢さんと落さん |
![]() ワイン用ぶどうが生垣のような栽培法で作られている ![]() タンクが並ぶ醸造棟。温度管理が重要なため、地下に作られている ![]() 耐寒性のあるワイン用の品種が多く栽培されている。昼夜の寒暖の差が大きいため、色のよい甘いぶどうが育つ ![]() 9月に仕込んだ「白」のうち、早出しのフレッシュワインは11月末から販売。「赤」の早出しは、年明け2月の予定 ![]() 安芸さん(写真右)の美しいぶどう畑に何度も足を運んだという佐沢さんと落さん |
日本海に面した余市町は、道内一のぶどうの産地です。そんなぶどう畑が広がる山あいの地に、今秋、佐沢雅美さんと落 希一郎さんが経営する、(株)OcciGabi Winery(オチガビワイナリー)が誕生しました。「日本一のワインぶどうの産地に、美しいワイナリーを作りたい」と、余市町産のぶどうでワイン造りを始めた二人。というのも、町内で収穫されたぶどうの多くが、大手ワインメーカーや他地域のワイナリーに出荷され、地元ではワイン造りが盛んではないからでした。 「余市のぶどう畑は美しい。ここなら、ワインを町の産業にできるのではと思い、残りの人生を賭けようと決めました」と話す落さんは、西ドイツ国立ワイン学校卒業後、北海道や長野県でワイン造りに携わってきました。平成4年には、新潟県巻町 (まきまち)(現新潟市)にワイナリー「カーブドッチ」を設立。ぶどう畑や醸造施設、レストラン、ホテルなどを整備し、6次産業のモデルを創り上げた経験の持ち主。こうした実績も評価されて、オチガビワイナリーの事業は、「北洋6次産業化応援ファンド」の出資第1号となりました。 スクールを開設しワイン造りの仲間も増やしたい
佐沢さんと落さんは、町内に約3ヘクタールの土地を購入し、平成25年5月、ワイン用ぶどうの栽培を開始。11月9日には、ワイナリーとレストランをオープンしました。「今年は、前から付き合いのある生産者さんからぶどうを仕入れて、ワインを醸造しました。数年後には、自家栽培と町内生産者さんから仕入れたぶどうで、年間10万本のワインを造ることが目標です」と佐沢さん。「地元にワイナリーがあると、午前中に収穫した新鮮なぶどうを、夕方には破砕機(はさいき)に入れられるんです。地産地消のワインができるので、楽しみですね」と、契約農家の安芸(あき)慎一さんも期待を寄せています。 今後、レストランでは、自家製ワインと地場産食材を使った料理を楽しめるようにするほか、醸造設備などを見学するワイナリーツアーの受け入れや、ホテルの建設なども視野に入れています。さらには、高品質なワイン造りを追求し、地元で起業をめざす方向けのワイナリースクールの開設も計画しています。 「観光で来てくださる方だけでなく、ワインを造る仲間も増やして、ワインを町の産業にできればと思っています。生産者の皆さんと協力して、余市の町をアメリカのワイン産業の聖地、ナパバレーのようにしたいですね」と、佐沢さんと落さんは夢を語ってくれました。
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![]() オチガビワイナリーでは、ワインの醸造だけでなく、レストランや直売所など複合的な事業を展開。町全体の活性化を目指している |