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特集1 大きく広がれ!6次産業化(5)

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最西端の島から 車海老を周年供給

地の利を生かして、高品質な車海老を日本じゅうに周年供給【沖縄栽培水産株式会社(沖縄県八重山郡与那国町)】


冬場でも温暖な地の利を生かして、本土の端境期にも安定した出荷ができる
冬場でも温暖な地の利を生かして、本土の端境期にも安定した出荷ができる


「高品質な車海老の周年供給で、流通を変え、新しい市場を創っていきたいですね」と尾崎さん

「高品質な車海老の周年供給で、流通を変え、新しい市場を創っていきたいですね」と尾崎さん

車海老は、これまで活き海老だけで流通していた

車海老は、これまで活き海老だけで流通していた
高級食材として知られる車海老。しかし、その流通には大きな課題を抱えています。車海老はこの60年間、ほとんどが「活き海老」状態で流通しています。しかし、この方法では、流通過程で死んでしまったり、需要の集中に対応できないなど、品質保持や供給面の課題があります。また、これにより市場が拡大しにくいという面もあります。

「ボイル海老の握り寿司やお節料理、エビフライなど食文化が多様化していくなかで、なぜ活きた状態で流通させなければならないのか?何か上手い方法はないのか? という問題意識を持っていました」と話すのは、沖縄栽培水産(株)の社長、尾崎健一さん。尾崎さんは父の代から海老養殖に取り組み、研究を進めてきた専門家です。そこで、車海老を年間を通じて安定的に流通させるという、これまでにない取り組みを始めました。

今回、新しい市場の創造を目指して農林漁業成長産業化ファンドに応募。これまでの養殖業の実績や新しいビジネスモデルが評価されて、出資案件第1陣の一つに選ばれました。このファンドについて、尾崎さんは、「経営面やマーケットの開拓にも、従来の融資と比べてかなり踏み込んだアドバイスや実務での協力を約束してくれています。我々零細企業にはこれほど心強い味方はないと思っています」と話します。

業界全体で取り組み、新しいマーケットを創造したい
これまで、活き海老での流通が主流の車海老。車海老は寒さに弱く、冬場は育たないため、通常、春から夏にかけて出荷量が少なくなります。沖縄栽培水産(株)の車海老が飲食店などから新たに認められるには、年間を通じた安定供給を実現することも不可欠です。これをカバーするため、沖縄県与那国島で事業を始めることにしました。

「与那国島は交通の便がよいとは言えませんが、1年じゅう車海老を生産できますし、新しい技術を活用すれば、大量に輸送できる船便も使って年間を通じて供給できるので、この事業にはぴったりだと考えました」と、尾崎さん。

沖縄栽培水産では、活き海老として販売可能な高品質の車海老の品質を維持する新しい技術を導入することで、活き海老と遜色ない品質の車海老を製造します。その品質と使い勝手から、初めは躊躇していたホテルやレストランのシェフも、今ではほとんどがユーザーに変わっているとのこと。

「まずはこの事業を徹底的に進化させていきます。ただ、我々だけでは限界があります。理想は、業界全体がこの事業の利点や将来性に気がついて、我々と歩調を合わせて共に市場創りをしてくれることです」と夢を話す尾崎さんは、今、業界全体を巻き込んだ仕組みづくりに取り掛かろうとしています。

沖縄栽培水産(株)

沖縄栽培水産では、このほかにも、より付加価値を高めた商品の開発を進めており、品揃えの多品目化を目指している

新しい技術により供給される車海老。活き海老と遜色ない品質と使い勝手から高い評価を受けている

新しい技術により供給される車海老。活き海老と遜色ない品質と使い勝手から高い評価を受けている