特集1 だから、お魚を食べよう!(6)
「魚の国のしあわせ」大賞 奨励賞/魚食普及の支援と「お魚かたりべ」
多忙な主婦のニーズに合わせ、魚を「0~5分」「5~10分」「15~30分」と
調理時間別に並べたら、大人気に!【東信水産株式会社( 東京都杉並区)】
![]() 調理時間をPOPで大きく表示。
レンジで調理できる手軽な商品は、特に共働き家庭や高齢者に人気 |
![]() 常連が多いため、お客さんからの声を顔とともに記憶し、POPに反映するそう ![]() 織茂常務は実践女子大学生活科学部で、「フードビジネス論」の講師も務める ![]() JR中央線荻窪駅前のタウンセブン地下1階にある東信水産荻窪総本店のほか、首都圏で45店舗を展開 東信水産(株) TEL.03-3391-2226 http://www.toshin.co.jp/ |
「魚の消費量が減っている原因を探ろうと、店頭の声や地域情報紙読者の座談会などを活用し、消費者ニーズを調査したところ、興味深いことがわかったんです」と話すのは、首都圏を中心に鮮魚小売店を展開する、東信水産(株)常務取締役の織茂信尋(おりものぶつね)さん。調査の結果わかったのは、消費者は、魚の旬や鮮度を示したPOPにはあまり関心がなく、むしろ知りたいのは「どう調理したらいいのか」「調理にかかる時間はどれくらいか」ということでした。 そこで始めたのが調理時間別の販売です。刺身や、パックごとレンジ加熱するだけの商品は「0~5分」、切り身とたれをセットにした商品は「5~10分」、半身に下ろした魚は「15~30分」と、調理にかかる時間別に分けて、商品を並べました。すると……。忙しい主婦や近隣で働く方々から大好評で、売り上げは一気に倍増。こうした取り組みが評価され、「魚の国のしあわせ」大賞奨励賞に選ばれました。 「お客さんのキッチンやテーブルシーンまで想像した、『生活提案』に力を入れたいですね。今後は、フードコーディネーターが店頭に立ち、食べ方を提案することも考えています」と織茂さんは話します。
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![]() 子どもと社会の架け橋となるポータルサイト http://kakehashi.mext.go.jp/ |
学校へ、魚の調理実習ほか さまざまな〝お魚授業〞を出前!
水産庁は、文部科学省と連携して、学校教育の場での魚食支援にも取り組んでいます。その際に活用しているのが、「学校が望む支援」と「地域・社会や産業界等が提供できる支援」をマッチングするための特設サイト「子どもと社会の架け橋となるポータルサイト」(文部科学省)です。 学校側からのニーズを把握し、魚を使った調理実習だけでなく、魚の生態や漁業者の仕事内容などの情報も発信しています。 |
![]() ![]() 東京都在住のお魚かたりべ白石ユリ子さん。日本全国を歩き、小学生への“海と魚”教育に力を入れる。学校での出前料理教室(上)や漁港見学(下)などを実施 |
地域の魚文化を伝える「お魚かたりべ」が、全国で活躍中
豊かな海の幸に恵まれた我が国では、全国各地で魚食の普及や伝承に努めている方々がたくさんいます。この方々の活動を後押しするため、水産庁長官は、現在、58名を「お魚かたりべ」として任命しています。活動の柱は、「子どもやその家族に対する魚のおいしさの伝達」「一般消費者等への日常的な魚食の普及」「イベント等を活用し、国民の魚食への関心を喚起」「魚食に関する研究推進や講演活動」です。 具体的には、学校などでの出前料理教室の開催、地元の魚を使った新商品の開発など、全国各地でさまざまな活動を展開しています。 |
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国産水産物流通促進事業がスタートしました
水産物は、流通面から見ると、「種類が多い」、「水揚げ量の変動が大きい」、「鮮度の劣化が激しい」などの課題があります。しかし、これらの課題を踏まえた流通が行われず、その結果、小売業者や消費者のニーズに合わないため、価値に見合った価格がつかないなどの問題(流通の目詰まり)が起きています。これらを解消するため、生産者、流通業者、加工業者などが行う様々な取り組みに対して、国産水産物流通促進センターが支援しています。 http://suisan-portal.jp/ ![]() |