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農林水産省

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東日本大震災からの復旧・復興に向けて

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ボランティア団体や地域住民も参加 ―

津波で被災した「海岸防災林」約140kmを再生中! [林野庁]


塩害や飛砂(ひさ)などから人々の暮らしを守ってきた「海岸防災林」。東日本大震災による津波で壊滅的な被害を受けましたが、林野庁では、被災後ただちに青森県から千葉県にかけての約140kmにおよぶ海岸防災林の再生をスタート。NPOや企業、地域の方々とともに植林に取り組んでいます。

「ふくしまの森・復興大会」では、南相馬市鹿島区北海老の海岸で、クロマツ約2000本が植樹された
「ふくしまの森・復興大会」では、南相馬市鹿島区
北海老の海岸で、クロマツ約2000本が植樹された

植樹では、深さ約20cmの穴を開け、そこに約40cmのクロマツを手植えする

植樹では、深さ約20cmの穴を開け、そこに約40cmのクロマツを手植えする

クロマツ

ポータルサイト「海岸林再生Navi」

海岸防災林再生事業への参加に関する情報はポータルサイト「海岸林再生Navi」から!
http://kaiganrin.jp/

国土緑化推進機構が開設した本サイトでは、海岸防災林の再生に参加する団体・個人に対して、各種の情報提供を行っています。参加を考えているみなさまは、ぜひご活用ください。



文/吉塚さおり
写真提供/福島県森林・林業・緑化協会

数百年かけて育まれてきたクロマツ林が、一瞬にして消失
海岸の森林が塩害や飛砂を防ぐことは古くから知られており、すでに戦国~江戸時代には海岸防災林の造成が行われていました。仙台湾沿岸では、伊達政宗が遠州(静岡県)からクロマツの種を取り寄せ、「潮除須賀松林(しおよけすかまつりん)」の造成を進めたといわれます。その後も、国や県による整備や、地域の人々の自発的な植林が進められ、日本各地に海岸防災林が造成されました。

しかし、平成23年3月、東日本大震災による津波で、青森県から千葉県にわたって海岸防災林が広範囲に被災し、その総延長は約140kmにもおよびました。

林野庁では、被災した海岸防災林を再生するため、植栽を約10年間で完了させることを目標として事業を進めています。

震災後の調査では、海岸防災林が船舶などの漂流物を食い止めた例など、津波による被害を軽減する効果を持つことが確認されました。

一方、土地が低く地下水位が高い箇所では、本来は深くまで伸びるはずのクロマツの根が十分に育たず、津波の際に根こそぎ流されてしまうので、防災機能が低いことも明らかになりました。このため今回の再生事業では、樹木がしっかりと根を張れるよう盛土し、植栽を行っています。

「海岸防災林再生等復興支援事業」で、企業やボランティア団体の参加を促進
林野庁および関係県では、再生する海岸防災林の植栽などに企業やボランティア団体、地域住民にも参加いただく取り組みを進めています。

この取り組みへの参加を促進するため、平成25年度に、「海岸防災林再生等復興支援事業」がスタートしました。この事業では、参加団体の募集や海岸林での植栽技術に関する情報提供、ボランティア団体と資金提供企業のマッチングなど、再生へ参加する方々のサポートを行っています。

支援事業を実施する国土緑化推進機構の岩佐正行さんは、「参加するみなさまが抱えている様々な悩みに応えていければと思います。昨年11月に、ポータルサイト『海岸林再生Navi』を開設したので、こちらもぜひ活用してください」と話していました。

同じく支援事業を実施している福島県森林・林業・緑化協会では、支援の一環として、本年3月に、南相馬市で「ふくしまの森・復興大会」を開催しました。根本復興大臣も参加し、県内外から集まった350人のボランティアがクロマツの植樹を行いました。

被災した海岸防災林を復活させ、人々の暮らしを守るためにも、より多くのボランティア団体や地域住民の参加が期待されています。