特集1 日本の森林(もり)を育むのは、あなたの“木づかい”~木材の利活用のすすめ~(1)
日本は、世界有数の森林国で、人工林を中心に森林資源は今も増え続けていますが、木材自給率は3割弱と低い水準です。 もし、このまま国産材の利用が進まないと、間伐などの森林整備が遅れ、森林が持つ多様な公益的機能の発揮に悪影響を及ぼしかねません。そこで、林野庁では平成17年度より、国産材利用の意義を広め、実需の拡大につなげる国民運動として「木づかい運動」を展開しており、毎年10月は「木づかい推進月間」です。私たちひとりひとりが、森林の現状を知り、地域の木材をもっと利用することで、豊かな森林が育まれ、地域の活性化にもつながります。まずは身近なところから、“木づかい”のある暮らし、始めてみませんか? |
世界の土地面積に占める森林の割合は、1700年代は約5割あったと推定されていますが、現在は約3割で、毎年約520万haが減少しています。 一方わが国は、国土の7割が森林で、世界第3位の森林率を誇っています。今は豊かな森林国ですが戦後しばらくは、日本各地ではげ山が見られました。それを先人の方々の努力により、スギ、ヒノキ、などを植林した結果、最近では森林資源量は人工林を中心に毎年約1億m³ずつ増加しています。一方、日本の1年間の木材消費量約7000万m³のうち、国産材の利用量は2000万m³で、木材の自給率は28.6%(平成25年)と低く、残りは輸入材に頼っているのが現状です。 国内の人工林に、木材として本格的に利用できる46年生以上のものが、面積の約半分に達しています。一方で間伐が進んでいる森林や、間伐されながら木材が利用されない森林もあり、森林開発の遅れは、CO2の吸収など森林の多面的機能の低下や、農山村地域の活力低下にもつながります。 この問題を解決するには、国産材を積極的に使うことで間伐などの森林整備を促進し、山で働く人を育てるなど、森林づくりをみんなで支えることが大切です。 |
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戦後すぐは、日本各地ではげ山がありました。でも現在は……
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豊かな森林資源を持つ日本ですが、森林の現状はというと……
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でも、みんなの“木づかい”により、国産材を積極的に利用することで森はこんなに元気に!
文/宗像幸彦、佐々木泉 写真/松木雄一、多田昌弘 写真提供/ JR九州、(株)ディノス・セシール、(株)イトーキ、酒井産業(株)、ストローファーム |