特集1 日本の森林(もり)を育むのは、あなたの“木づかい”~木材の利活用のすすめ~(4)
列車で“木づかい”
人気のクルーズトレイン「ななつ星in九州」は、車内に木材をふんだんに使用。
客室はもちろんシャワー室も、木の香り漂う癒し空間に!
— 九州旅客鉄道株式会社(福岡県福岡市)
「ななつ星in九州」をはじめ、JR九州の列車の多くは、水戸岡鋭治氏がデザイン DXスイートの客室は、新しいのにどこか懐かしさを感じるデザイン。障子回りには吉野杉を使用 |
今、九州旅客鉄道(株)(JR九州)のユニークな列車が全国から注目を集めています。平成14年、「ゆふいんの森」のリニューアルで本格的に木材が使われて以来、木をふんだんに使用した観光列車が続々と登場しているのです。 その代表格ともいえるのが、平成25年秋から運行を開始したクルーズトレイン「ななつ星in九州」。全7両の客車では壁や床、天井に木材を使用し、客室ごとに異なる種類の木の風合いも楽しむことができます。 「シャワー室にはヒノキが使われていて、香りだけでも癒やされるとお客様には好評です」と語るのは、JR九州鉄道事業本部運輸部の松尾英典さん。 松尾さんによれば、車両の設計・製作における一番の課題はやはり耐火性だったといいます。 「鉄道車両の防火基準は非常に厳しいため、いろいろな手法を施し、燃焼試験をクリアしています」 個性的な列車という意味では、宮崎県・日南線の特急「海幸山幸」も負けていません。古くは造船にも使われたほど耐水性に優れた地元の飫肥(おび)杉を内装はもちろん、外装にまで採用。風流な木目模様の車両は土地の名物になりました。 「公共性の高い鉄道デザインには、温かみを感じる木材がマッチしていると思います」と松尾さん。 JR九州では、こうした観光列車だけでなく在来線の通勤電車などにも積極的に木材を使用し、観光客だけでなく沿線住民にも親しまれる存在となっています。
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