チャレンジャーズ トップランナーの軌跡 第90回(2)
長崎県 農事組合法人 守山女性部加工組合
復活した「雲仙こぶ高菜」に惚れ込み、
味と品質をとことん追求したまんじゅうを開発したら、大ヒット!
![]() 守山女性部加工組合のみなさん。左から吉本春美さん、吉本節子さん、馬場節枝さん、羽山由美子さん ![]() 雲仙こぶ高菜は、高菜独特のクセがなく、漬物はもちろん、サラダやパスタなどさまざまな料理で活躍する ![]() 雲仙こぶ高菜を使った加工品のほか、こんにゃくやおはぎ、かりんとうなども販売中 ![]() 毎日3、4名が早朝から「こぶ高菜まんじゅう」作りに励む。高菜の本漬けを具にした、いちばんの人気商品 |
島原半島の北西部に位置する雲仙市吾妻町で、根元のこぶが特徴的な「雲仙こぶ高菜」が脚光を浴びています。戦後、中国から持ち込まれた品種で、しゃきっとした歯ざわりが評判を呼び、一時期、雲仙地域で盛んに作られました。しかし、栽培に手間がかかることなどから、徐々に生産者が減っていきました。 平成15年、一部の地元農家が「このままでは、地域の伝統野菜が途絶えてしまう!」と、復活に向け立ち上がります。それをきっかけに、こぶ高菜をブランド化し、地域活性化にもつなげる「雲仙こぶ高菜再生プロジェクト」がスタート。「守山女性部加工組合」は、その一員として、加工品開発を請け負いました。 「こぶ高菜は、生で食べられるし、アクも出ない。ふつうの高菜と全く違うんですよ」と話すのは、代表理事の馬場節枝(せつえ)さん。 開発した加工品は、いずれも味と品質を徹底的に追求しました。たとえば、「雲仙こぶ高菜まんじゅう」では、平戸の海水を釜で炊いた自然塩、五島で採れる1升7000円の椿油など、材料をとことん吟味しています。 「『雲仙こぶ高菜』の生産者のみなさんは、〝本物の味〞を目指し、無農薬・無化学肥料で、たいへんな努力を重ねて作っています。化学調味料や添加物を使うのは申し訳ないと思って」と馬場さんは話します。 こぶ高菜を使った加工品は人気が高く、わざわざ県外から買いに来る人がいるほど。平成18年には、「雲仙こぶ高菜まんじゅう」が、農林水産省などが主催する「食アメニティコンテスト」で優秀賞を受賞し、こぶ高菜の知名度を大きく高めました。 さらに、平成20年、伝統的な食材の保護に取り組むスローフード協会国際本部が、こぶ高菜を、特に次世代に守り伝えなければならない「プレシディオ(ラテン語で「守る」、イタリア語で「砦」)」として認定しました。 今や町の顔となったこぶ高菜と、さまざまな加工品。組合には、祭りやイベントに出店してほしいという依頼が、ひっきりなしに舞い込んでいます。「新たな特産品に、町は活気づいています。日本中のみなさんにもっとこの味を知っていただきたいですね」と馬場さん。生産者と加工者が追求する“本物の味”は、町の元気と誇りを育んでいます。 〈農事組合法人 守山女性部加工組合〉 長崎県雲仙市吾妻町古城名47-1 TEL:0957-38-2641 ホームページ http://www.k5.dion.ne.jp/~kobu/ |
文/柿野明子
写真/八木拓也
写真提供/農事組合法人 守山女性部加工組合
写真/八木拓也
写真提供/農事組合法人 守山女性部加工組合