特集1 食は元気の源 おいしい! 使いやすい! 介護食品(4)
井村屋の高カロリー食品
いつもの豆腐に中鎖脂肪酸を配合して、熱量が約2倍の「高カロリー豆腐」を開発中
ツルンと食べられて、低栄養の予防にも!
— 井村屋グループ株式会社(三重県津市)
![]() 井村屋グループ(株)では、高タンパク質で低脂肪なことから、昔から健康食として親しまれている豆腐に注目 ![]() 「高カロリー豆腐」は、豆乳ににがりを加える前に、中鎖脂肪酸を加える ![]() 人気商品「美(うま)し豆腐」。この豆腐に中鎖脂肪酸を加えたものが「高カロリー豆腐」 ![]() 三重県産の大豆を使うなど、地域の農家などとのつながりも意識 |
「あずきバー」などで知られる井村屋(株)の持ち株会社、井村屋グループ(株)では、農林水産省の医福食農連携推進環境整備事業を活用して、新しい介護食品・栄養食品を開発中です。 これまで、市販の商品の他に病院食や特定の病気向けの食品も研究・開発してきた同社。この関係でつながりがあった、三重県内の病院や原料メーカー、三重県の協力の下、「高カロリー豆腐」の商品化を進めています。 「今、介護食品の主流は食べることが難しくなった高齢者向けのいわゆる『やわらか食』です。私たちは、日常食として、なるべくおいしく食べられることに重点を置いた介護食品を作りたいと考えていたんです」と、技術戦略室の伊藤宏規室長。 注目したのが、高齢者にもなじみ深い豆腐です。現在、発売している豆腐は1個75g 当たり49kcal。この製造過程で、体内で分解されやすくエネルギーに変わりやすい中鎖脂肪酸を新たに加えることにより、同じサイズながら96kaclと熱量が約2倍の「高カロリー豆腐」を作り出しました。材料は地産地消を心がけ、三重県産の大豆と三重県尾鷲の海洋深層水の天然にがりを使用しています。 「高カロリー豆腐は、加齢で食が細くなり、栄養不足に陥りがちな高齢者の方々に、特に喜んでもらえると思っています」と伊藤さん。 将来的には、これまで培ってきた技術力を生かして、ようかんや杏仁豆腐など、他の食べ物への応用も期待されています。
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![]() 日本歯科大学教授 口腔リハビリテーション 多摩クリニック院長 菊谷 武 |
歯科医もおすすめします!高栄養の介護食品
栄養を摂りすぎると肥満になり健康によくないと考える風潮がありますが、p.9にもあるように、高齢者ではむしろ低栄養が問題です。ぜひ、介護食品は、高カロリー、高タンパク質な、栄養価の高いものを意識的に選ぶようにしてくださいね。栄養状態を維持するには高栄養食品を食べるのがいちばん! 最近の介護食品は、栄養バランスがよく考えられており、味や見た目もよいものがたくさんあります。症状に応じたものを選び、適量を食べることが大切です。 やわらかく栄養豊富なものを食べると、栄養状態を維持することができるだけでなく、病気で失われた機能の回復も期待できます。しっかり栄養を摂って、食べるときに使用する筋肉や体重を維持することが、命の源だということを、高齢者の方にも、介護する方にも、ぜひ知っておいていただきたいなと思います。 |