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特集1 食は元気の源 おいしい! 使いやすい! 介護食品(5)

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黒田式ソフト食

料理の見た目はそのままに、スルッと飲み込めるその名も〝ソフト食〞を考案。
すると、食への興味を失っていた高齢者に、驚きの変化が!
— 介護老人保健施設ひむか苑 (宮崎県宮崎市)


※高齢者ソフト食は、弱い力で噛める「ソフト食1」、歯ぐきでつぶせる「ソフト食2」(分類黄B)、舌でつぶせる「ソフト食3」(分類黄C)に区分。紹介したメニューは「ソフト食2」
※高齢者ソフト食は、弱い力で噛める「ソフト食1」、歯ぐきでつぶせる「ソフト食2」(分類黄B)、舌でつぶせる「ソフト食3」(分類黄C)に区分。
紹介したメニューは「ソフト食2」

黒田さんの指導のもと、一丸となって高齢者ソフト食を作るスタッフたち

黒田さんの指導のもと、一丸となって高齢者ソフト食を作るスタッフたち

管理栄養士・農学博士の黒田さん(手前)。介護食への先進的な取り組みで、第1回杉田玄白賞や宮崎日日新聞社社会賞を受賞

管理栄養士・農学博士の黒田さん(手前)。介護食への先進的な取り組みで、第1回杉田玄白賞や宮崎日日新聞社社会賞を受賞

八宝菜に入れるにんじんは厚さ2mm、長さ2.5cm、幅1.5cmのちょうど舌に乗る大きさに

八宝菜に入れるにんじんは厚さ2mm、長さ2.5cm、幅1.5cmのちょうど舌に乗る大きさに

ご飯は茶碗によそったあと、箸で形を整える。見た目にも気をぬかない

ご飯は茶碗によそったあと、箸で形を整える。見た目にも気をぬかない
通常の食事と見た目はほとんど変わらない「高齢者ソフト食」を宮崎から発信する農学博士の黒田留美子さん。開発に乗り出したのは、今から20年前。管理栄養士として働き始めた介護老人保健施設「ひむか苑」で、「きざみ食は気管に入ると危ない。もっと安全な食事を出せないか」という医師のひと言がきっかけでした。

「私も年をとれば、いつかお世話になるかもしれない。そのとき、“これ食べるの嫌だな”とも正直思いました。私は食いしん坊ですから(笑)」と黒田さん。

当時の介護食は、きざみ食やミキサー食が当たり前という時代。黒田さんは、材料費自分持ちで、ソフト食の開発に励みました。「まずは、なすの田楽から。当時中学生と高校生だった息子たちには、『また今夜もソフト食?』って言われていましたよ」と黒田さんは振り返ります。

家族が食べる料理をアレンジするだけ!
試行錯誤のすえ完成させたソフト食を施設で提供し始めると、思わぬ変化が表れました。食への関心を失っていた高齢者が進んで食
堂へ来るようになり、食べこぼしや食べ残しは激減。噛んだり五感を働かせたりすることが刺激となって、元気を取り戻す高齢者が増えていったのです。なかには食べる訓練から始め、ついには胃ろうのチューブを外せるようになった人も出てきました。

そこで黒田さんは、この効果を多くの人に理解してもらうため、57歳で宮崎大学大学院へ入学。そこで自ら開発したソフト食の硬度、凝集性、付着性を研究して数値化し、その安全性と有用性を科学的に実証しました。また、その人の状態に適した料理の基準となる「黒田式フードスケール」も確立。これをみれば、家庭でもどんな料理を作ればいいか、ひと目でわかります。

「ソフト食に特別な材料はいりません。野菜の切り方を工夫したり、お肉やお魚の下ごしらえにひと手間加えたり、家族が食べる料理をアレンジするだけで簡単に作れます。今後はえん下食の開発にも、もっと力を入れていきたいですね」と話す黒田さん。介護食品メーカーや農家などと協力して、新しい介護食品を開発するなど、活躍の場を広げています。

ひむか苑では2か月に1回、ソフト食のスイーツバイキングを開催。高齢者に大人気   ひむか苑では2か月に1回、ソフト食のスイーツバイキングを開催。高齢者に大人気

ひむか苑では2か月に1回、ソフト食のスイーツバイキングを開催。高齢者に大人気


黒田式高齢者ソフト食ってどんなもの?
高齢者向け介護食といえば、きざみ食やミキサー食ばかり……。「これじゃ、食欲もわかない」と、黒田さんが独自に研究をスタート。苦心のすえ、見た目は普通の料理でも、噛みやすく飲み込みやすい「ソフト食」を考案。卵+油、炒めたたまねぎなど食材を「つなぎ」にするので、高齢者の体にも負担にならない。

ひむか苑で人気のソフト食 ベスト3

1位にぎり寿司 ネタは脂ののったサーモンやマグロなど。オリーブ油を加えたたれに15分ほど漬け込み、飲み込みやすくしている。シャリはゼラチン寒天ご飯。15gの一口サイズで食べやすい


2位煮豆 高齢者は昔ながらの甘い煮豆が大好き。喉に皮が残るからといってペースト状にしてしまうと豆を食べた満足感がないので、何度も試作し、ついに皮付きで完成させた自信作


3位刺身 介護食で提供されることの少ない刺身も喜ばれる1品。魚は飲み込みやすいよう脂ののったものを選び、薄口しょうゆとわさび、オリーブ油を加えたたれに漬け込んでいる


農林水産省  消費者の部屋  特別展示
「知っていますか?スゴク美味しい「介護食品」!!」

介護食品に関する展示や試食を行います
[開催日時]
平成26年11月10日(月曜日) ~14日(金曜日) 10時~ 17時
ただし10日(月曜日)は12時~、14日(金曜日)は13時までの展示となります
また試食は12時~ 13時に行います
[会場]
農林水産省  消費者の部屋 東京都千代田区霞が関1-2-1