特集1 農山漁村が元気になる! 再生可能エネルギー(1)
私たちの身の回りには、土地や水、風、地熱、生物資源などが豊富に存在しています。いずれ枯渇する化石燃料と違い、これらは自然によって絶えず再生・供給され、環境にやさしいエネルギー源といえます。農山漁村でこれらを積極的に活用すれば、地域の所得が向上するなど、いいことがいっぱい!あなたの暮らす地域でも“エネルギーの地産地消”を目指し、農山漁村をもっと元気にしませんか? |
「再生可能エネルギー」とは、再生することが可能な資源から、持続可能な方法で生産されるあらゆる形態のエネルギーのことです。主なものには、太陽光、地熱、風力、バイオマス、小水力などがあります。環境にやさしく、地球温暖化防止にも役立つなど、今、注目のエネルギーといえます。 しかし、わが国の総発電量に占める再生可能エネルギー電気の割合は、大規模水力発電を除くとわずか2.2%にとどまっているのが現状です。 そこで、平成26年4月に「エネルギー基本計画」が閣議決定され、再生可能エネルギーについては、導入を最大限に加速していくことが明記されました。 国土の多くを占める農山漁村では、 森林資源などのバイオマス、水、土地などの資源が豊富に存在し、再生可能エネルギー利用の面で高いポテンシャルを有しているといえます。さらに、平成24年7月に開始した固定価格買取制度により、再生可能エネルギー発電の事業採算性が大きく向上。農山漁村において新たな所得機会の可能性が生じています。 現状は、計画から稼動までの期間が短いという利点から、太陽光発電の認定が多く、設置主体も首都圏企業が多い状況です。しかし今後は、地域企業などの取り組み事例が増え、地域が得られる利益が大きくなることが期待されます。 地域が主体となって取り組む再生可能エネルギーの推進にあたっては、「地域への利益還元」「土地などの利用調整」「地域の合意形成や気運の醸成」などの課題があり、適切な施策を講じることも必要です。 将来的には「エネルギーは地域外から買って、地域外にお金を払う」という従来の仕組みから、「自然エネルギーを地産地消することで、地域内でお金を循環させたり、エネルギーを地域外に売ってお金をもらう」という仕組みに転換し、農林漁業の発展とも調和しながら、再生可能エネルギーが広まることが期待されています。
文/宗像幸彦、久ヶ澤和恵、佐々木泉 写真/多田昌弘 写真提供/梼原町、石徹白農業用水農業協同組合、テイクエナジーコーポレーション(株) イラスト/ひろいまきこ |