2 これからが旬!たけのこで「春」を感じよう
春の訪れを感じさせるたけのこ。しかし、成長が速く、すぐに竹となってしまうため、生のたけのこを楽しむことができるのは限られた期間です。国内で食用たけのことして一般的なモウソウチクのたけのこは、3月から5月にかけてのこれからの時期が旬。この季節ならではの代表的な食材を食卓に取り入れてみませんか。
たけのこの魅力を探る
独特の香りと味、そして歯応え。たけのこは煮て、焼いて、とさまざまな料理の食材として活躍します。また、食物繊維が豊富で腸内環境を整えるとともに、コレステロールの吸収を抑える働きや塩分の排出を促すカリウムを多く含むなど、動脈硬化や高血圧の予防も期待できるといわれています。春の食材たけのこの生産地や種類、調理方法などを探りながら、たけのこの魅力を再確認してみましょう。
国内の主な生産地と生産量
林野庁「令和元年特用林産基礎資料」によると2019年の全国のたけのこの総生産量は22,284.9トンにのぼります。生産地は福岡県や鹿児島県など西日本がほとんどを占めています。
食用たけのこの種類と旬
一般的に店頭で購入できるたけのこの品種はモウソウチクですが、ほかの品種も食用として利用されています。食用たけのこの代表的な品種を紹介します。なかには収穫量が限られているものもあり、地域によっては目にする機会が少ない品種もあるかもしれません。
モウソウチク(孟宗竹)
鹿児島県南部では、早掘りたけのことして12月頃から出荷しますが、通常は3月頃から九州で収穫され、徐々に産地が北上していき5月頃まで収穫されます。柔らかく香りも良い品種です。
写真提供:筍農家 京たけのこ専⾨店
マダケ(真竹、苦竹)
細身で皮には黒いまだら模様があるのが特徴。地面から出ているたけのこを、根元のあたりで折って収穫します。あくが強く少し苦味があります。旬は5月から6月頃。
ハチク(淡竹、甘竹)
赤茶色の薄い皮に包まれた少し細身のたけのこで、地面から出ているものを収穫します。味はやや甘味があり淡白で繊細、えぐ味も少ないです。旬は5月。
シホウチク(四方竹)
主に高知県で栽培される品種で、細長くきれいな黄緑色をしています。稈の形が方形状であることから名前が付けられました。全国でも珍しい秋に収穫されるたけのこで10月から11月上旬が旬。
チシマザサ(千島笹)(ネマガリダケ(根曲がり竹))
根元が少し曲って育つたけのこで、北日本を中心に生産されます。地面より15センチメートルから20センチメートルほどに成長したら収穫します。あくが少なく6月頃に旬を迎えます。
生産者が教える
おいしいたけのこの選び方
生のたけのこは、なんといっても穂先で感じる甘味や食感などが魅力です。新鮮なたけのこで旬の味覚を楽しんでください。
おいしいたけのこの選び方
●穂先はなるべく黄色っぽいものを選び、緑色のものは避ける。
黄色の穂先は土から出ていない証拠。穂先は土から頭を出すと光合成し、緑に色を変ええぐ味も増す。
●根元の切り口はできるだけ白くみずみずしいものを選ぶ。
収穫してから時間が経つと水分が抜け、切り口の色もあくにより茶色く変色する。
●皮はなるべく薄茶色のものを選ぶ。
皮の色が黒に近かったり、緑色がかっていたりするものは日光に当たっているので、あくも強くなる。
おすすめの食べ方
掘り立てのたけのこをさっと湯がいて、そのままお刺身としてわさび醤油やマヨネーズで。また、サイズの小さいたけのこをアルミホイルで包み、焼き芋のように丸焼きし、醤油などをたらして食べる。
今回教えてくれたのは
監修者プロフィール
筍農家 京たけのこ専門店
前田 陽彦さん
サラリーマンの後、海外生活をしている中で、現地で流通している野菜をみて日本の野菜の品質の良さに気づく。帰国後、起業し兼業農家として、たけのこの山の管理、収穫、販売を行う。
<外部リンク>https://takenokonouka.com/
旬を生かす! たけのこの下処理とおすすめレシピ
たけのこは鮮度が命。「湯を沸かしてから掘れ」という言葉もあるほどです。おいしく食べるコツはお店で購入したらなるべく早く、その日のうちにあく抜きをして下処理を済ますこと。面倒に思われがちですが、実際の下処理は考えるよりも簡単です。
たけのこの下処理と保存
用意するもの
たけのこ
米ぬか(たけのこの重量の約1割)
流水でたけのこの土を落とし、外皮を2枚か3枚取る。春先のたけのこを使う際には、あくが多い穂先の部分を3センチメートルほど斜めに切り落とす(早掘りのたけのこを使用する場合は不要)。たけのこは早く火が通るように、下に向けて(湾曲に盛り上がっている方を上)根元から穂先まで半分に切る。
鍋またはフライパンに水を半分ほど満たしてたけのこを入れる。水はひたひた(たけのこにかぶる程度)になるよう加減し、米ぬかを入れる。米ぬかがない場合は米の一番とぎ汁を使ってもよい。
たけのこの切り口を下に向け、落とし蓋をして火をつける。落とし蓋がなかったらアルミホイル(またはキッチンペーパー)の角を折り、中央に穴をあけて代用してもよい。中火で約30分茹でる。
たけのこに竹串などを刺しスッと入ったら茹で上がり。このまま常温で4時間から5時間冷ます。冷ましている間にあくが抜ける。
水にさらしボールの中でさっと洗い、流水でたけのこに付着している米ぬかをきれいに洗い流す。
たけのこの皮を左右に開くと上手にむける。茹でたたけのこは、水を張った容器に入れ冷蔵庫で保存する。2日おきに水を換えれば1週間は保存可能。
おすすめレシピ
若筍のうま煮
新鮮で柔らかなたけのこと油揚げの「うま煮」です。淡白なたけのこに油揚げの油が染み込み、うま味とコクが楽しめます。また、出汁以外にかつお節を加えることで、深い味わいと香りが引き立ちます。ポイントは味を浸透させるために調理後、火を止めて1回冷ますことです。
材料(4人分)
作り方
あく抜きしたたけのこの根元など、硬い部分は取り除く。たけのこを縦半分に切りさらに放射状に切る。3センチメートルぐらいの大きさに切ると、食べやすく見た目もきれい。
皮を広げ包丁の背に指を添えて姫皮(たけのこの先端の皮の内側にある白くて柔らかい部分)を切る。包丁が難なく入ったところまでは食べられる。
鍋またはフライパンにAを入れ、たけのこ、姫皮を入れる。
油揚げはたけのこと同じ長さ3センチメートルの大きさに切る。
たけのこを入れた鍋に油揚げを入れ、その上にかつお節を振りかけ火をつける。かつお節がなかったら出汁パックを切って入れてもよい。
中火で20分ぐらい煮る。煮汁がこのとき3分の1ほどに煮詰まっていればなおよい。
火を止めてしばらく冷まし味を染み渡らせる。
食べるときに温める。盛り付けの際に、飾りで木の芽を添えてもよい。
今回教えてくれたのは
監修者プロフィール
日本橋ゆかり
野永 喜三夫さん
京都の老舗料亭で修業後、「日本橋ゆかり」三代目主人となる。2002年、「料理の鉄人JAPAN CUP 2002」で総合優勝。2015年7月にはミラノ国際博覧会で日本料理を披露。2019年「日本食普及の親善大使」に任命され、日本食・食文化の魅力を発信している。また、各種メディアなど幅広い分野で活躍。簡単でおいしい和食の作り方を配信するYouTubeの野永チャンネルも評判。
(PDF : 582KB)
編集後記
筍というのと3月ということで、嫌が応にも4月からの新生活を意識してしまいます。といっても、良い思い出はあまり……小学校の入学式はおたふく風邪で出席できず、入学写真はワイプ。初登校の日は転校生のような扱いでした。うん。筍でも食べよう。(広報室YT)
記事の感想をぜひお聞かせください!
お問合せ先
大臣官房広報評価課広報室
代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449
FAX番号:03-3502-8766