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農林水産省

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農林水産省メールマガジン令和3年1月1日新春号

◇農林水産大臣年頭所感

明けましておめでとうございます。
令和三年の新春を迎え、皆様の御健勝をお祈りいたしますとともに、我が国農林水産業及び農山漁村の一層の発展に向けて所感の一端を申し述べ、年頭の御挨拶とさせていただきます。

昨年来、新型コロナウイルス感染症により、農林水産業・食品産業を含む我が国の経済・社会に大きな影響が生じております。また、令和二年七月豪雨などの災害の発生により、農林水産業も大きな被害を受けました。
これらに加えて、豚熱や鳥インフルエンザなど、家畜伝染病も発生し、対応が続いております。
このような大変厳しい状況の下、現場で御尽力されている方々には本当に頭の下がる思いであり、影響や被害を受けられた皆様が一日でも早く日常を取り戻せるよう、本年も全力で取り組んでまいります。

農林水産業は、関連産業である食品産業と共に国民の皆様に食料を安定供給し、地域の経済やコミュニティを支え、その営みを通じて、国土の保全などの役割を果たしている、まさに国の基であり、農林水産業を発展させるとともに、日本の原風景である美しく豊かな農山漁村を守っていくことが重要であると考えております。
一方、我が国の農林水産業は、人口減少に伴うマーケットの縮小や、農林漁業者の減少・高齢化の進行など、厳しい状況に直面しております。
これらの様々な課題に対応し、我が国の農林水産業を若者が自らの将来を託すことのできる産業としていくとともに、その生産基盤を次の世代に確実に継承していかなければなりません。
特に、国内の食市場が縮小する一方で、世界の食市場は今後大幅に拡大することが見込まれます。こうした中で、農林漁業者の所得向上を図るためには、農林水産物・食品の輸出の促進が重要です。このため、二〇三〇年の輸出額五兆円の目標の達成に向け、昨年十一月に取りまとめた「農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略」に基づき、マーケットインの発想で輸出にチャレンジする農林水産事業者の後押しや、「農林水産物・食品輸出本部」を最大限活用しつつ、省庁の垣根を超え、政府一体として輸出の障害を克服するための対応の強化等を図ってまいります。

昨年十二月には、農林水産政策改革のグランドデザインである「農林水産業・地域の活力創造プラン」を改訂し、輸出拡大実行戦略を同プランにも位置付け、更なる輸出拡大に向けた施策の充実を図るとともに、ポストコロナに向けた農林水産政策の強化として、必要な検討を進めていくことといたしました。
また、同月には、令和二年度第三次補正予算、令和三年度当初予算、組織・定員等が閣議決定されました。いずれの分野においても、農林水産業・農山漁村をめぐる多岐にわたる課題を解決し、我が国の農林水産業を次の世代へ確実に継承していくために必要な施策を盛り込むことができたと考えております。
今後は、関係省庁とも連携しつつ、施策が現場で有効に活用されるよう、全力で取り組んでまいります。

以下、本年における農林水産行政の主な課題と取組の方針について申し述べます。

【農林水産政策全般】

新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた農林漁業者の皆様や、関連産業に従事される皆様の生産基盤を守るため、生産の継続や販売促進等の適切な支援に全力を尽くしてまいります。

国民の皆様からの食料安定供給への要請に応えていくための食料安全保障の強化につきましては、輸入品が多くを占める加工・外食・中食原料の国産への切り替えや、生産現場と食品産業との連携の強化などを図ります。

SDGsや環境の重要性が国内外で高まっております。このような動きに対応し、二〇五〇年までに目指す姿として、CO2ゼロエミッション化、化学農薬・化学肥料の削減、有機農業の面積の拡大、持続可能性に配慮した輸入原材料調達の実現等を掲げ、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現していくための「みどりの食料システム戦略」を、本年五月までに策定するべく検討を進めてまいります。

コロナ禍を踏まえ、社会全体でデジタル技術を活用した変革が急速に進展しております。農林水産分野におきましても、生産性を向上させ、成長産業化を推進するためのデジタルトランスフォーメーションの実現に向けた取組を進めてまいります。
また、ロボット、AI、IoT、ドローンなどの先端技術は、生産基盤の強化への貢献が期待されております。このため、スマート農林水産業の推進に向けた技術開発や現場実装の促進、スマート技術を用いた農業支援サービスの育成を進めてまいります。

昨年十二月に臨時国会で成立した、我が国の優良な品種の海外への流出を防止するための改正種苗法については、日本の強みである植物新品種の知的財産を守って産地形成を後押しし、地域農業の活性化を図るとともに、輸出促進の上でも大きな意義を有するものであり、分かりやすい資料等を作成し、周知を図ってまいります。

中山間地域をはじめ、活力ある農山漁村を実現するため、日本型直接支払制度による下支えを図りつつ、農泊、ジビエの利活用、農福連携などの取組を進めてまいります。また、農山漁村に新たな人材を呼び込むリモートワークなどの動きを活かし、コロナ禍において再認識された農山漁村の持つ価値や魅力を活用して、多様なアイデアにより所得と雇用を生み出す「農山漁村発イノベーション」とも言うべき新たな地域政策を講じてまいります。

【農業政策】

農業の持続可能性を確保し、次世代に確実に引き継ぐためには、担い手の育成・確保と生産基盤の強化が何よりも重要です。

地域の農業生産や必要な農地を確保するため、農地バンク、農業委員会など関係機関の現場レベルの連携を徹底し、人・農地プランの実行を通じて担い手への農地集積・集約化を加速化します。

就農の検討・準備段階から経営を確立するまでの総合的な支援などにより、多様な人材の育成・確保を進めます。あわせて、次世代の担い手への農地その他の経営資源の確実な継承を推進します。

また、本格化する人口減少等を踏まえ、各地域において農業経営を行う人の確保や農地の適切な利用の促進、農山漁村での所得と雇用機会の確保等のための施策について検討し、本年六月までにその結果をとりまとめます。

米政策については、在庫の過剰に直面しており、需給と価格の安定を図るためには、令和三年産の主食用米について、過去最大規模の作付転換が必要な状況となっております。令和二年度第三次補正予算と令和三年度当初予算で三、四〇〇億円に及ぶ大規模な予算を計上し、近年需要が高まりつつある国産麦・大豆、加工・業務用野菜等の高収益作物の生産拡大などを支援する水田フル活用に必要な施策を盛り込んでおりますので、関係の皆様におかれましては、これを最大限活用いただき、今こそ一丸となって、オールジャパンで需要に応じた生産・販売に積極的に取り組んでいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。

地域の農業を発展させていくためには、農業者の所得向上に全力で取り組む農協が欠かせません。農林水産省としても、JAグループが自己改革の取組を着実に進め、具体的な成果を上げるよう、改革に協力してまいります。

農業者の努力で解決できない構造的な問題を解決するため、引き続き、生産資材業界や流通・加工業界の再編・参入を促進してまいります。
特に、改正卸売市場法等に基づき、情報通信技術の導入や物流の効率化を図り、食品流通全体の合理化・高度化を進めます。

農業の競争力強化や農村地域の国土強靱化を実現するためには、農地や農業用水などの農業・農村の基盤整備が欠かせません。農地の大区画化・汎用化、農業水利施設の長寿命化やため池等の豪雨・耐震化対策を推進してまいります。

食の安全と消費者の信頼の確保と理解の増進のため、引き続き、科学的根拠に基づく食品の安全性確保、正確な情報伝達、食育の推進に取り組みます。
昨年十一月以来発生が確認されている高病原性鳥インフルエンザについては、これまで、防疫措置に関する県への人的・物的支援や、飼養衛生管理の全国一斉点検などを行ってきましたが、引き続き、全国どこであっても発生するリスクがあるとの認識のもと、より一層高い緊張感を持ち、警戒を強めてまいります。
また、豚熱については、飼養衛生管理の徹底、ワクチン接種、野生イノシシ対策にしっかりと取り組みます。
さらに、アフリカ豚熱については、アジア地域においても拡大が継続しており、依然として警戒が必要であることから、家畜防疫官の増員等により水際検疫体制を強化してまいります。
これらの家畜伝染病に対しては、発生防止・蔓延予防のため、都道府県や関係省庁と一体となって取り組むとともに、改正家畜伝染病予防法を適切に執行し、対応してまいります。

【森林・林業政策】

森林・林業政策についてです。「森林・林業基本計画」につきましては、昨年から五年に一度の見直しに着手しました。現場の声に耳を傾けながら、精力的に検討を進めてまいります。
また、森林資源の適切な管理と林業の成長産業化を図るため、森林整備・治山対策を推進するとともに、森林経営管理制度や森林環境譲与税等も活用しつつ、意欲と能力のある林業経営者への森林の経営管理の集積・集約を進めます。
さらに、木材生産や造林作業の自動化などの林業イノベーションや、CLTの普及、都市の木造化等による木材需要の拡大など、川上から川下までの取組を総合的に推進してまいります。

【水産政策】

水産政策についてです。昨年十二月に施行された改正漁業法等に基づき、漁業者をはじめとする関係者の理解と協力を得ながら、資源管理ロードマップに沿って新たな資源管理システムを着実に実施するとともに、海面のフル活用を図り、養殖業の成長産業化を推進してまいります。
また、同月に臨時国会で成立した水産流通適正化法について、現場への丁寧な説明と施行に向けた検討を進め、国内外の違法漁獲の撲滅に努めてまいります。
さらに、外国漁船による違法操業の取締体制の強化を図るとともに、近年のサンマなどの記録的な不漁を踏まえ、漁業者の収入安定を図る積立ぷらすの基金の積み増しや不漁の原因解明のための調査を実施してまいります。

【東日本大震災からの復興】

東日本大震災から、まもなく十年が経ちます。昨年九月の大臣就任後、まず福島県を訪問し、復興に懸命に取り組まれている方々の声を直接に伺いました。被災地の皆様をはじめ、多くの方々の御努力により着実に復興が進展している一方で、まだ取り組むべき課題があることも実感しました。引き続き、被災された農林水産業者の方々が再び立ち直るために万全の支援を行ってまいります。また、近年頻発する豪雨や台風などの自然災害への備えを強化してまいります。

以上、年頭に当たり、農林水産行政の今後の展開方向について、私の基本的な考え方を申し述べました。

国民の皆様の豊かな食生活とそれを支える農山漁村を次世代に引き継ぐため、産業政策と地域政策の両面から全力で取り組み、「強い農林水産業」と「美しく活力ある農山漁村」を実現してまいります。

本年も、農林水産行政に対する皆様の御支援と御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。

令和三年一月

農林水産大臣 野上 浩太郎

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