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農林水産省

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金子農林水産大臣記者会見概要

日時 令和4年6月10日(金曜日)9時31分~9時52分 於: 本省7階講堂
主な質疑事項
  • (大臣から)令和2年度食品ロス量について
  • (大臣から)「牛乳でスマイルプロジェクト」について
  • ロシアによる北方四島周辺水域操業枠組協定の履行停止について
  • WTO閣僚会議について
  • 漁協等の独占禁止法違反疑いについて
  • JA全農元役員によるインサイダー取引について

冒頭発言

大臣

  本日、私から2点、御報告がございます。
  1点目でありますが、令和2年度の食品ロスについてであります。令和2年度における食品ロス量は522万トンでありましたが、このうち食品産業からの発生量は、275万トンでした。前年度と比べまして34万トン、11%減少し、平成24年度の推計開始以来、最大の減少幅となりました。食品事業者からの聞き取りによれば、新型コロナによる需要減が大きく影響しているものの、値引き販売や需要予測の精緻化といった食品ロス削減に向けた企業側の努力も相当程度貢献しているとのことでありました。農林水産省としては、今後とも、ロス削減に向けた様々な取組を推進してまいりたいと考えています。
  2点目でありますが、牛乳の消費拡大について、これまで年末年始や春休み・ゴールデンウィークに、国民の皆様に多大な御協力をいただき、取り組んでまいりました。その際、マスメディアを含め、様々な関係者の皆様による取組が消費拡大の大きな動きに繋がっていったところであります。これまでの経験を踏まえまして、この度、牛乳月間である今月、酪農乳業団体である一般社団法人Jミルクとともに、「牛乳でスマイルプロジェクト」を新たに立ち上げることといたしました。よろしく御協力お願いいたします。このプロジェクトでは、企業・団体・自治体など官民からの多様な参加者が、この共通のロゴマークの下で、それぞれ独自に、あるいは連携をいたしまして、更なる牛乳の消費拡大に取り組んでいただきたいと思いますし、我々も一緒になって取り組んでまいりたいと思っております。多くの企業や団体の皆様に、このプロジェクトに参加をいただいて、一緒に盛り上げていただきたいというふうに思います。詳しくはこの後、プレスリリースいたしますので、よろしくお願いいたします。私からは以上でございます。

質疑応答

  • ロシアによる北方四島周辺水域操業枠組協定の履行停止について(1)

記者

  先日、ロシアが北方四島周辺での安全操業協定の履行を停止すると発表しました。大臣にその受け止めとですね、今後の影響を懸念などありましたら教えてください。

大臣

  ロシア側がサハリン州との協力事業を理由に、北方四島周辺水域操業枠組協定の履行の停止を一方的に発表したことは、遺憾であります。現在、北方四島周辺水域操業枠組協定に基づく操業は、行われておらず、今後の操業に対する影響について予断を持ってお答えすることは差し控えます。農林水産省としては、関係省庁と連携をとりまして、引き続き協定の下での操業が行われるよう、適切に対応してまいります。


  • WTO閣僚会議について

記者

  WTOの関係で伺います。12日からWTOの閣僚会議が始まるかと思います。農業分野では、国内補助金の削減などに向けた作業計画に合意できるかが焦点となろうかと思っています。2点伺いたいんですが、まず日本としてどういったことを訴えるのかということと、それと先般のG7農相会合の中でもですね、食料安全保障の確保に向けて、今回のこのWTOの会合で貿易ルールの安定化に向けてコミットするというような文言がですね、共同声明にあったかと思うんですけど、そういったことも踏まえてですね、今回の会合でどんな成果を期待するかというところを教えてください。

大臣

  6月の12日から15日までジュネーブで開催される第12回のWTO閣僚会議には、武部副大臣が出席する予定であります。農業関係では今後の農業分野の議論の進め方と、食料安全保障への対応について議論することになっています。今回の閣僚会議において、WTO農業交渉の分野ごとの今後の作業計画やウクライナ情勢を踏まえた食料安全保障に関する声明について、合意されるかは現時点で予断できませんが、我が国の主張が反映されるように、適切に対応してまいりたいと考えております。


  • 漁協等の独占禁止法違反疑いについて(1)

記者

  先日の有明海のノリで、漁協が独禁法違反の疑いで立入検査を受けた件について伺います。この件を巡っては、5月に国の規制改革会議がコンプライアンス強化に向けた提言をやっておりまして、そのあとまさに今週の火曜の閣議で、政府の実施計画も閣議決定がされたところで、その中で、農水省の役割として、独禁法を遵守するよう都道府県に対して漁協を指導する旨助言すると明示されてるんですが、この件を巡って、いわゆる漁協のいわゆる全量出荷ですね、こういう慣行や商慣行を巡って、農水省としてはどのように対応、あるいは指導していくお考えか伺います。

大臣

  漁協のガバナンスの強化につきましては、これまでも、令和3年11月に作成した「水産物・水産加工品の適正取引ガイドライン」の説明会などを実施いたしまして、周知を行ってきたところであります。今後とも、7日に閣議決定された規制改革実施計画に基づきまして、漁協のガバナンスの強化に向け、必要な指導を行ってまいりたいと思います。


  • 漁協等の独占禁止法違反疑いについて(2)

記者

  今の質問の関連ですけども、福岡、佐賀、熊本3県でノリの全国の生産量の半分以上を占める産地であるんですけども、そういった産地での立入検査についての大臣の受け止めをお願いします。

大臣

  今回報道があったことは承知しておりますが、関係機関に確認したところ、こういったことであったということです。公正取引委員会の検査結果を踏まえて農林水産省として適切に指導を行ってまいります。検査結果を待つという形になってくるだろうと思いますね。農林水産省といたしましては、漁協が組合員に全量出荷を強制する等の独占禁止法違反の恐れがある行為を行わないように、令和3年の11月に「水産物・水産加工品の適正取引推進ガイドライン」を策定しまして、都道府県や県漁連を通じて、漁協に対して指導を行ってきたところであります。さらに、今年の2月以降も、同ガイドラインに関わる説明会において、誓約書等に全量出荷を強制していると受け取られかねないような表現がある場合、これを是正するように重ねて指導を行ってまいってきたところであり、引き続きその徹底を図ってまいりたいと考えております。


記者

  是正を指示してきた中でこういう検査が行われたことについては、どのようにお考えでしょうか。

大臣

  是正をして、そういうふうな指導したのですが、結果的にこうなったということは大変残念なことです。今後、取引委員会で検査して、どういう結果になるかそれを待ってまた、我々農林水産省としての対応を考えていきたいと思っています。非常に残念だと思います。


  • JA全農元役員によるインサイダー取引について

記者

  JA全農役員によるインサイダー取引についていくつか伺いたいと思います。このインサイダー取引を行った男性はですね、JA全農の役員で、かつ当時、JAグループの出版社である家の光協会の会長、JAならけんの会長も兼ねるということで、JAグループの最高幹部の1人だったのだと思いますけれども、こういった立場の方が、インサイダー取引を行っていたということについて、今率直なところ、受け止めをまず伺えればと思います。

大臣

  伊藤忠商事によるファミリーマート株式会社の公開買付に関しまして、証券取引等監視委員会が、内部者、インサイダー取引を行った法人役員に対する課徴金納付命令を発出するよう、内閣総理大臣及び金融庁長官に勧告を行いました。またJA全農が本件について、元役員による取引に対するものとして、謝罪のプレスリリースを行いました。本件につきましては、金融庁において、一連の手続が進行中のものでありまして、進展を注視する必要がありますが、当該元役員が内部者取引を行ったということが事実であれば、大変遺憾であります。このような事態を重く受け止め、JA全農において信頼回復に全力で取り組んでいく必要があると考えております。


記者

  その後ですね、JA全農の役員の方は、全農の役員を一身上の都合で辞任されてはいるんですが、JAならけんの会長は続投されております。JAならけんというと、貯金残高1兆円超のそれなりの規模の金融機関なわけなんですけれども、そこのトップをですね、インサイダー取引を御自身でやったことを認めておられる方が続けているということについて、適切かどうか、適切と言えるかどうかっていうところ、御所見を伺えればと思います。

大臣

  これは、組合それぞれの組織運営の問題でもありますから、私からコメントするのは差し控えたいと思いますが、一般論で申し上げれば、農協は農業者が自主的に設立した協同組織でありまして、役員の選任や組織の運営体制につきましては、組合員の意見を踏まえて、各農協において決めていただくものと考えております。


記者

  今回のインサイダー取引ですね、そもそもJAグループによるファミリーマートへの資本参加ということで、当時の全農改革でですね、農業所得の増大に、いかに貢献するかということを考えた末の改革の大きな柱の中で、資本参加、TOBが行われて、そこで私腹を肥やしていたということで、しかも率先垂範すべき役員がそういった不適切な行為を行っていたということで、全農自身にですね、ガバナンスの問題があるのではないかと思わざるをえないんですが、何らか、農水省として指導なり対応されるお考えはありますでしょうか。

大臣

  こういうことが起こったということは非常に遺憾です。それは個々の個人の問題もありましてね。組織としてどうこうということではなくて、それを行った方そのものが、やはり我々としてはそういったことがあったということに対して、非常に遺憾に思っております。今後、全農に対してどうこうというお話がございましたが、今後どういうふうに進展するか、これをよく注視いたしましてね、そして我々としての対応を考えていきたいというふうに考えております。


記者

  もう1点だけ伺わせてください。今回インサイダー取引を行っていた関連のJAならけんなんですけれども、同時にですね、共済事業の、いわゆる自爆営業だとか、あるいは不適切営業という、要は保険契約者の利益にならないような、保険の転換契約を進めたりしているという事実が明らかになっているんですけれども、この点について、私のところには、契約者、不利益を被った契約者の方はもちろんですけど職員の方もですね、自爆営業で自分の収入を減らしてまで、ノルマの達成を求められるのは限界だということで、行政検査で徹底的に調べてもらいたいという声が上がっているんですが、今後農水省としての対応、何か今お考えになってることがあればお聞かせいただければと思います。

大臣

  お話からすると、そういうことが行われてるとは到底考えられないことなんですが。そういうふうな組合、事実があれば、その辺はよく皆さん方の御意見を踏まえた上で、今後対応を考えていきたいと思ってますが、従来は、組合員との徹底した対応について、そのニーズを把握してそれをもとに事業の方針を定めて、適切に事業が推進される必要がある。言うならば、農協の事業について、それぞれの職員の皆さん方が自覚を持って、正しくやっていくのが普通であってね。そういったことが行われているということについては、私はそんなことはないんじゃないかなと思っておったわけですが、今そういう話をお聞きしましてね、大変遺憾に思っています。


  • ロシアによる北方四島周辺水域操業枠組協定の履行停止について(2)

記者

  ロシアによる、先ほどの安全操業の協定停止について伺います。識者の先生とかに聞いたらですね、約束したお金をですね、払わない日本の方が悪いだろうと。ロシアが怒るのももっともで、なぜ払わないのかっていうですね、声もあるんですけども。他の協力金とかは払う、さけ・ますとかですね、他は払うと言ってるのに、なぜ今回だけ払わないのか。払った方がいいんじゃないかと思うんですが、そこについてお願いします。

大臣

  ロシア外務省の発表はサハリン州との協力事業を理由に、北方四島周辺水域の操業枠組協定の履行の停止を一方的に発表したものと承知しています。サハリン州との協力事業は、外務省の所管事業であるから、外務省に問い合わせしてくださいっていうことなので、外務省の方に詳しく聞いてみていただきたい。


記者

  外務省の管轄、問題だということですか。

大臣

  はい。


記者

  先日の会見で昆布漁の安全が保障されているだろうというですね、発言されてましたけど、こういう状況になると昆布漁が本当に、安全操業できるのか、不安だって声もやはり出ているんですが、そこについてはどうでしょう。

大臣

  それは民間同士でお互い協定を組んで、お互い話し合って、操業ルールというのがありますから。そのルールを遵守しておれば、そう一方的なことは私は行われないと思います。これはもうお互いが話し合った上で、合意の上で認めたわけですから、それに対して民間が協力金も払ってるわけですから。ロシア側も操業ルールを遵守している船に対して、いろいろな危険を及ぼすようなことは、私はないと、そのように思っています。だから、ルールを守ってさえおって、ちゃんと操業しておれば心配ないんじゃないでしょうかね。今まで拿捕されたものを調べてみると、いろいろ問題があったというのが多いですから。そこは十分に漁業者も注意してやった方がいい。特にこういう時期ですからね。それは皆、漁業者の皆さん方もよく分かってるでしょう、今の社会情勢というか、状況というのは。あとは、より今まで以上に、注意しながらやっていくことが一番大事かな、安全操業に繋がるのかなと私はそのように思いますけどね。


報道官

  よろしいでしょうか。それでは、これで大臣会見を終わります。

以上