プレスリリース
養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会の報告書を踏まえた農林水産省の改善策について
「養鶏・鶏卵行政に関する検証委員会」の報告書における御指摘・御提言を踏まえ、本日、改善策を取りまとめましたので、公表します。上記報告書では、養鶏・鶏卵行政は、「政」「官」「業」の距離が近く政治や生産者からの働きかけを受けやすい構造にあること等から、今回の事案に関する政策決定の公正性が損なわれていなかったとしても、行政に関する国民からの信頼を十分に得ていくことは難しいとの御指摘がありました。
このため、行政の透明性を向上させ、また、幅広い視点から政策を検討するために、OIE連絡協議会のメンバー構成や議事運営の見直し、国会議員等の仲介を受けた事業者から日本政策金融公庫の融資に関する要望を受けた場合にとった対応の記録・保存、幹部職員を対象に、利害関係者との会食について金額に関わらず届出をさせるとともに、政務三役と利害関係者が同席する会食の概要の届出をさせる省独自ルールを新たに設ける等の改善策を講じることとしました。
農林水産省としては、これらの改善策を確実に実行し、二度と国民の皆様から疑念を持たれる事態が生ずることのないよう、常に国民の皆様からの厳しい視線を意識しつつ、公正で透明性のある農林水産行政の遂行に取り組んでまいります。
1.OIE連絡協議会
(1)検証委員会の御指摘・御提言家畜・家禽のアニマルウェルフェアも含めてOIEの様々な国際基準への対応を検討していくに当たり、OIE連絡協議会のメンバーの選定手続を再検討
するとともに、特定の意見に偏ることがないようメンバー構成の多様性や議事運営の透明性について、より一層向上させるべき。
(2)農林水産省の改善策
(ア)メンバー構成を川中、川下、消費者、環境分野も含めたより多様なものとする。
(イ)関係団体からの推薦を受けてメンバーを選定する際は、推薦理由を確認できる文書(推薦状)の提出を求める。
(ウ)メンバーの選任に当たっては、審議会委員の選任の基準(女性比率30%以上等)に準拠する。
(エ)議事運営について、現状の事務局による進行ではなく、互選等により進行役を置いて議事を進行する方式とする。
(オ)発言者を明示した議事概要を作成し、出席者の確認をとった上で公表する。
また、OIE連絡協議会と類似の機能を持つ他の協議会(コーデックス連絡協議会、国際植物防疫条約に関する国内連絡会)も同様の見直しを行う。
(注1)OIE連絡協議会:アニマルウェルフェア等に関する国際基準を定めたOIEコードの策定に当たり、関係者との情報共有及び意見交換を行うため、
動物衛生、アニマルウェルフェア等に関する技術的な意見を幅広く述べることができる有識者を選定し、開催されるもの。
(注2)コーデックス連絡協議会:コーデックス委員会(消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として設置された国際的な政府間機関)
の活動及びコーデックス委員会での我が国の活動状況を、消費者をはじめとする関係者に対して情報提供するとともに、コーデックス委員会におけ
る検討議題に関する意見を聴取するために開催されるもの。
(注3)国際植物防疫条約に関する国内連絡会:国際植物防疫条約の加盟国で策定される国際基準案に対する我が国の意見を取りまとめるに当たり、研究
者のほか、消費者団体や産業界の関係者と意見・情報交換を行うために開催されるもの。
2.アニマルウェルフェア
(1)検証委員会の御指摘・御提言今後の我が国におけるアニマルウェルフェアの推進に当たっては、最新の科学的知見、国際的動向、流通・食品加工・外食・小売事業者の動向等の
様々な要素も考慮した上で、より科学的・戦略的に対応していくべき。
(2)農林水産省の改善策
(ア)アニマルウェルフェアに関する最新の科学的知見や国際的動向を考慮した施策を推進するため、以下の調査等を恒常的に実施する。
ア 国内外の研究機関等におけるアニマルウェルフェアの向上に資する研究成果の収集
イ 各国(欧米諸国、アジアモンスーン地域等)のアニマルウェルフェアへの取組に関する調査
ウ 流通・食品加工・外食・小売事業者等のアニマルウェルフェアに関するニーズの把握
(イ)上記(ア)により把握した情報を共有し、アニマルウェルフェアに対する相互理解を深めるため、幅広い関係者による意見交換の場を定期的に開催
する。
3.日本政策金融公庫の融資
(1)検証委員会の御指摘・御提言事業者の日本政策金融公庫へのアクセスについて、事後的に文書で検証できるようにすべき。
(2)農林水産省の改善策
個別事業者(業界団体を含む。)から、国会議員(元国会議員を含む。)又は農林水産省の退職者の仲介を受けて、日本政策金融公庫の融資に関する
要望を受け、又は日本政策金融公庫の担当者の紹介を依頼された場合には、農林水産省がとった対応を記録し、行政文書として保存する。
4.鶏卵生産者経営安定対策事業
(1)検証委員会の御指摘・御提案事業の評価・見直しや基準価格の設定を行うに際し、食料・農業・農村政策審議会に諮るなど、有識者等の批判や提案を受けられるよう、政策決定プ
ロセスの改善を図るとともに、事業の詳細な実施状況を公表すべき。
(2)農林水産省の改善策
(ア)本事業が発動する基準となる価格について、今後、食料・農業・農村政策審議会畜産部会に諮問し、意見を聴いた上で決定する。
(イ)事業の見直しに当たっては、生産者、関係事業者に加えて、事業と利害関係のない有識者もメンバーとする検討会を設置し、多角的な議論を行
う。
(ウ)規模別の契約者数・契約数量・補助金交付総額を新たに公表する。
5.利害関係者との会食
(1)検証委員会の御指摘・御提言(ア)政治家が関係する場合も含め、公務員倫理関係法令の遵守に遺漏なきよう、幹部職員に対する研修を充実させるなど、所要の措置を講ずべき。
(イ)全職員に各種飲食の届出も含めて公務員倫理の遵守を徹底するとともに、各種飲食の届出があったものについて、倫理監督官が中心となって国民
の疑惑を招くような会食がなかったかチェックすべき。
(ウ)国家公務員倫理規程に違反する会食が確認された場合には、厳正に対処するとともに、当該事案の公表を積極的に行うべき。
(エ)今般の違反事案は政治家である大臣が幹部職員を利害関係者が同席する会食に招いたことが発端となっていることも踏まえ、大臣などの政務三役
の交代や幹部職員の世代交代があっても、組織として、今般の違反事案を風化させずに確実に記憶し、事案の再発防止を図ることができる仕組みを
設けるべき。
(2)農林水産省の改善策
(ア)政策形成上重要な役割を果たしている本省幹部職員(室長以上)を対象に、飲食の届出に関する以下の省独自ルールを新たに設ける。
ア 利害関係者と飲食を共にする場合において、金額に関わらず全て届け出るものとする。
イ 農林水産省の政務三役及び利害関係者と飲食を共にする場合において、当該会食の場におけるやりとりの概要を作成し、届け出るものとする。
(イ)職員が利害関係者と飲食を共にする場合には、自己が負担した費用を証明する書類を入手・保存するよう徹底する。
(ウ)国家公務員倫理規程や省独自ルールに基づく飲食の届出を徹底するとともに、届出があったものについて、倫理監督官が中心となって国民の疑惑
を招くような会食がなかったか定期的にチェックする。
(エ)国家公務員倫理審査会事務局を講師とし、幹部職員を対象に研修を行うなど、公務員倫理の遵守徹底を図る。
(オ)国家公務員倫理規程に違反する会食が確認された場合には、厳正に対処するとともに、これまで公表していなかった懲戒処分に至らない省内ルー
ルに基づく矯正措置を行った事案についても公表を行う。
(カ)政務が交代する際に、今般の違反事案及び国家公務員倫理規程や省独自の飲食の届出に関するルールについて、文書で説明する。
(注1)国家公務員倫理規程では、利害関係者と飲食を共にする場合において、自己の費用が1万円を超えるときに届出を行うこととされている。
(注2)農林水産省では、先般の違反事案を受け、政治家及び利害関係者と飲食を共にする場合において、金額に関わらず届出を行う省独自ルールを設け
ている。
お問合せ先
大臣官房秘書課
担当者:渡邉、御厩敷(おんまやしき)
代表:03-3502-8111(内線3002)
ダイヤルイン:03-6744-2001