プレスリリース
「令和3年度病害虫発生予報第6号」の発表について
〇向こう1か月の主要な病害虫の発生予察情報(発生予報)については次のとおりです。・トビイロウンカは、東海以西を中心に多発生となった昨年と同様に、本年も東海以西で、昨年よりも早い時期から本虫の誘殺が確認され、一部の地域ではほ場での発生も確認されており、これまでに岐阜県、三重県、大阪府、奈良県及び長崎県から注意報が発表されています。気象庁の1か月予報では、全国的に気温が高く推移する見込みとなっており、本虫の発生に好適な気象条件となることが懸念されます。
本虫の防除は、発生状況に応じた適期・適切な防除が重要となるので、都道府県病害虫防除所が発表する発生予察情報をこまめに確認することで、地域の発生状況を把握しながら、タイミングをとらえた適切な防除を実施してください。
・野菜類では、ねぎのアザミウマ類の発生が、北東北及び南関東の一部の地域で多くなると予想されています。
・果樹・茶では、茶の炭そ病の発生が、南関東及び東海の一部の地域で多くなると予想されています。
この他、水稲のいもち病等、地域によっては多くなると予想されている病害虫があるので注意してください。
国の発生予察情報について
国は都道府県の協力の下、植物防疫法(昭和25年法律第151号)に基づき、有害動植物の防除を適時で経済的なものにするため、気象、農作物の生育状況、有害動植物の発生調査の結果等を分析し、有害動植物の発生予察及び防除対策に係る情報(発生予察情報)を提供しています。
本予報は、都道府県が提供する発生予察情報を取りまとめた情報になりますので、地域における情報の詳細は、都道府県病害虫防除所のホームページ等を参照してください。
病害虫防除に関する情報
参照URL:https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/gaicyu/index.html
都道府県病害虫防除所
参照URL:https://www.maff.go.jp/j/syouan/syokubo/boujyo/120105_boujosho.html
気象
気象庁の向こう1か月の予報(7月29日付け)では、気温は北・東・西日本で高く、降水量は北日本太平洋側と西日本日本海側で平年並か少ないと予想されています。
気象庁ホームページ
参照URL:https://www.jma.go.jp/jp/longfcst/001_00.html (外部リンク)
水稲
水稲で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
作物名 | 病害虫名 | 発生が「多い」と予想される地域 | 発生が「やや多い」と予想される地域 |
水稲 | セジロウンカ | 東海、中国 | 南関東、近畿、四国 |
ツマグロヨコバイ | 甲信、近畿、四国 | ||
トビイロウンカ | 東海、近畿 | 北九州 | |
斑点米カメムシ類 | 北海道、東北、甲信、北陸、東海、近畿、中国、四国 | 北関東、北九州 | |
いもち病 | 東北、北関東、甲信、東海、四国 | 南関東、近畿、中国、北九州 | |
縞葉枯病 (ヒメトビウンカ) |
北海道 | 甲信、近畿、中国 | |
紋枯病 | 東海、近畿、四国 | 東北、関東、中国、北九州 |
注)表中の地域については、必ずしもその全域で発生が見られるものではありません。
・セジロウンカの発生が、東海及び中国の一部の地域で多くなると予想されています。本虫は、梅雨時期に中国大陸から飛来し、本田で増殖して水稲を加害します。本田の見回りの際には株元を注意深く観察し、株元に褐色の点又はすじ状の傷(産卵痕)が目立ち、成虫または幼虫の発生が多く見られる場合は、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に適期に防除を実施してください。
・トビイロウンカは、東海以西を中心に多発生となった昨年と同様に、本年も東海以西で、昨年よりも早い時期から本虫の誘殺が確認され、一部の地域ではほ場での発生も確認されており、これまでに岐阜県、三重県、大阪府、奈良県及び長崎県から注意報が発表されています。気象庁の1か月予報では、全国的に気温が高く推移する見込みとなっており、本虫の発生に好適な気象条件となることが懸念されます。
本虫の防除は、発生状況に応じた適期・適切な防除が重要となるので、都道府県病害虫防除所が発表する発生予察情報をこまめに確認することで、地域の発生状況を把握しながら、タイミングをとらえた適切な防除を実施してください。
・斑点米カメムシ類の発生が、北海道、東北、甲信、北陸、東海、近畿、中国及び四国の一部の地域で多くなると予想されており、北海道、青森県、岩手県、宮城県、山形県、石川県、長野県、岐阜県、愛知県、山口県及び愛媛県から注意報が発表されています。本虫は、本田周辺の雑草に生息し、出穂期になると本田に侵入し穂を加害します。このため、本田周辺雑草の除草は本虫の発生量の抑制に効果的ですが、出穂期直前の除草は、本虫の本田への侵入を助長し被害を増加させるおそれがあるため、出穂期の10日前までに完了してください。
・いもち病の発生が、東北、北関東、甲信、東海及び四国の一部の地域で多くなると予想されており、岩手県、宮城県、茨城県、埼玉県、長野県、岐阜県、滋賀県、徳島県及び高知県から注意報が発表されています。今後、断続的な降雨がある場合には急激に発生するおそれがあります。本田の観察を行い、本病の発生状況に応じて適期に防除を実施してください。なお、一部の薬剤に対して耐性菌が発生しているので、都道府県から発表される発生予察情報等を参考に薬剤を選定してください。
・縞葉枯病(ヒメトビウンカ)の発生が、北海道の一部の地域で多くなると予想されています。本病は、ヒメトビウンカによって媒介されるウイルス病であり、経卵伝染により次世代もウイルス媒介が継続するため、当該虫を対象とした防除を実施することが重要です。各都道府県の防除基準等に従い、適期に適切な防除を実施してください。
・紋枯病の発生が、東海、近畿及び四国の一部の地域で多くなると予想されています。特に、昨年、多発したほ場では本年も多発するおそれがあるため注意が必要です。本病は高温多湿条件で発生が助長され、病勢は少しずつ進展していきます。今後の発生状況に注意し、適期に防除を実施してください。
野菜・花き
野菜・花きで各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
作物名 | 病害虫名 | 発生が「多い」と予想される地域 | 発生が「やや多い」と予想される地域 |
大豆 | 吸実性カメムシ類 | 北東北 | 北関東、北陸、東海、近畿 |
いちご | ハダニ類 | 南関東、四国、北九州 | |
きゅうり | 褐斑病 | 近畿 | 北東北 |
トマト | コナジラミ類 | 東海 | 北関東 |
なす | アブラムシ類 | 四国 | 近畿 |
ハダニ類 | 南関東 | 四国 | |
ねぎ | アザミウマ類 | 北東北、南関東 | 南東北、甲信、北陸、北九州 |
きく | 白さび病 | 北陸 | 近畿 |
作物共通 | オオタバコガ | 近畿 | 北関東、四国 |
シロイチモジヨトウ | 北陸、近畿、四国 | ||
ハスモンヨトウ | 北陸、四国 | 北関東、近畿 |
注)表中の地域については、必ずしもその全域で発生が見られるものではありません。
大豆
・吸実性カメムシ類の発生が、北東北の一部の地域で多くなると予想されています。本虫の飛来状況は地域や園地により異なるので、都道府県の発表する発生予察情報等を参考にしつつ、園内の観察をきめ細かく行い、飛来が認められた場合は、飛来初期から防除を実施してください。
いちご
・ハダニ類の発生が、南関東、四国及び北九州の一部の地域で多くなると予想されています。園内を注意深く観察し、発生状況に応じて防除を実施してください。なお、本虫は薬剤抵抗性が発達しやすいので、都道府県の発表する発生予察情報等を参考に同一系統薬剤の連用を避けるなど、薬剤を適切に選定してください。
ねぎ
・アザミウマ類の発生が、北東北及び南関東の一部の地域で多くなると予想されています。本虫は作物を加害するほか、多くの病原ウイルスを媒介することが知られています。発生密度が高くなってからでは防除が困難となるため、ほ場の観察をきめ細かく行うとともに、発生初期に防除を実施してください。また、本虫は薬剤抵抗性を獲得しやすいので、都道府県から発表される発生予察情報等を参考に薬剤を選定するなど防除を的確に実施してください。
作物共通
・ハスモンヨトウの発生が、北陸及び四国の一部の地域で多くなると予想されています。ほ場内の発生状況に注意しつつ、都道府県から発表される発生予察情報等を参考に、適期に防除を実施してください。
果樹・茶
果樹・茶で各地の平年値より発生が「多い」・「やや多い」と予想される病害虫及びその地域
作物名 | 病害虫名 | 発生が「多い」と予想される地域 | 発生が「やや多い」と予想される地域 |
かき | カイガラムシ類 | 四国 | 近畿 |
かんきつ | 黒点病 | 東海、中国、北九州 | |
なし | シンクイムシ類 | 北関東 | 東海、北九州 |
ハダニ類 | 北東北、北九州 | 北関東、北陸、中国 | |
黒星病 | 北陸 | 南東北、甲信 | |
ぶどう |
べと病 | 北東北、北陸、近畿 | |
もも | せん孔細菌病 | 北東北 | 甲信 |
りんご | 黒星病 | 南東北 | 北東北、北陸 |
斑点落葉病 | 北関東 | 北海道、北東北 | |
茶 | チャノホソガ | 南九州 | 東海 |
ハダニ類 | 北九州 | 近畿 | |
炭そ病 | 南関東、東海 | 近畿、北九州 |
注)表中の地域については、必ずしもその全域で発生が見られるものではありません。
なし
・ハダニ類の発生が、北東北及び北九州の一部の地域で多くなると予想されています。園内を注意深く観察し、発生状況に応じて防除を実施してください。なお、本虫は薬剤抵抗性を獲得しやすいので、都道府県から発表される発生予察情報等を参考に同一系統の農薬の連続使用を避けてください。
茶
・炭そ病の発生が、南関東及び東海の一部の地域で多くなると予想されています。本病は前茶期に発生したり病部が感染源となり、降雨により発生が助長されます。都道府県の発表する発生予察情報等を参考にしつつ、園内の観察をきめ細かく行い、新芽生育初期から防除を実施してください。
都道府県が発表した警報、注意報及び特殊報
令和3年7月7日以降、都道府県が発表している警報、注意報及び特殊報は以下のとおりです。
警報
発表はありません。
注)重要な病害虫が大発生することが予測され、かつ、早急に防除措置を講ずる必要がある場合に発表します。
注意報
発表月日 | 都道府県 | 対象作物 | 対象病害虫 |
7月7日 | 埼玉県 | 水稲 | いもち病 |
7月8日 | 石川県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
7月8日 | 岐阜県 | 水稲 | トビイロウンカ |
7月9日 | 宮城県 | 水稲 | いもち病 |
7月9日 | 北海道 | うり類 | ホモプシス根腐病 |
7月9日 |
茨城県 | 水稲 | いもち病 |
7月12日 | 北海道 | てんさい | てんさい褐斑病 |
7月12日 | 北海道 | たまねぎ | ネギアザミウマ |
7月12日 | 山形県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
7月13日 | 滋賀県 | 水稲 | いもち病 |
7月16日 | 長野県 | 水稲 | いもち病 |
7月16日 | 岩手県 | 水稲 | いもち病 |
7月16日 | 愛知県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
7月19日 | 徳島県 | 水稲 | いもち病 |
7月21日 | 宮城県 | 水稲 | いもち病 |
7月21日 | 山形県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
7月27日 | 岩手県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
7月28日 | 青森県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
7月28日 | 北海道 | 水稲 | アカヒゲホソミドリカスミカメ |
7月28日 | 奈良県 | 水稲 | トビイロウンカ |
7月28日 | 宮城県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
7月29日 | 岐阜県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
7月29日 | 岐阜県 | 水稲 | いもち病 |
7月30日 | 長野県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
7月30日 | 愛媛県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
8月2日 | 大阪府 | 水稲 | トビイロウンカ |
8月3日 | 山口県 | 水稲 | 斑点米カメムシ類 |
8月3日 | 高知県 | 水稲 | いもち病 |
注)警報を発表するほどではありませんが、重要な病害虫が多発することが予測され、かつ、早めに防除措置を講じる必要がある場合に発表します。
特殊報
発表月日 | 都道府県 | 対象作物 | 対象病害虫 |
7月9日 | 東京都 | さつまいも | 基腐病 |
7月15日 | 広島県 | トマト | 立枯病 |
7月15日 | 千葉県 | さつまいも | 基腐病 |
7月21日 | 岩手県 | さつまいも | 基腐病 |
7月28日 | 愛媛県 | さつまいも | 基腐病 |
7月29日 | 栃木県 | なす | トビイロシワアリ |
8月2日 | 福井県 | さつまいも | 基腐病 |
注)各都道府県において、新たな病害虫を発見した場合及び重要な病害虫の発生消長に特異な現象が認められた場合に発表します。
病害虫の生態等の生物学的情報や防除に関する情報の詳細については、各都道府県の病害虫防除所のホームページ等を参照してください。
用語解説
(地域)
北海道:北海道
東北:青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
北東北:青森県、岩手県、秋田県
南東北:宮城県、山形県、福島県
関東:茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
北関東:茨城県、栃木県、群馬県
南関東:埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
甲信:山梨県、長野県
北陸:新潟県、富山県、石川県、福井県
東海:岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
近畿:滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国:鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
四国:徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州:福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
北九州:福岡県、佐賀県、長崎県、大分県
南九州:熊本県、宮崎県、鹿児島県
沖縄:沖縄県
(発生量(程度))
多い(高い):やや多いの外側10%の度数の入る幅
やや多い(やや高い):平年並の外側20%の度数の入る幅
平年並:平年値を中心として40%の度数の入る幅
やや少ない(やや低い):平年並の外側20%の度数の入る幅
少ない(低い):やや少ないの外側10%の度数の入る幅
(平年値は過去10年間の平均)
(参考)今後の発表予定
第7号:9月8日(水曜日)
第8号:10月6日(水曜日)
第9号:11月10日(水曜日)
第10号:令和4年3月9日(水曜日)
(参考)これまでの発表
第1号:4月14日(水曜日)
第2号:5月12日(水曜日)
第3号:6月9日(水曜日)
第4号:7月7日(水曜日)
第5号:7月16日(金曜日)
お問合せ先
消費・安全局植物防疫課
担当者:岡田、麻野、吉田
代表:03-3502-8111(内線内線4562)
ダイヤルイン:03-3502-3382