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農林水産省

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1.荷受・乾燥施設 ― 大豆乾燥設備の形式と特徴 ―

機械設備には、設備を構成する機械個々の特徴とは別にシステムとしての特徴がある。大豆子実がどのような工程で乾燥されるか、また、角ビンや循環乾燥機などがどのように使用されるかなどについていくつかの代表的大豆乾燥工程の概要を簡単なフローと図で説明するとともに特徴をあげる。

(1)循環乾燥機並列設備

乾燥設備に循環乾燥機を採用した設備である。毎日ほぼ定量の原料を受け入れ、設備内に在庫(一時貯留)を残さず出荷する方式である。荷受設備、乾燥設備と調製出荷設備の能力を同じ設定にし、工程のどこにも材料が滞らないように計画する。毎日ほぼ定量の原料を受け入れることについては、適切な収穫計画の立案とその確実な実行が求められる。また、調製タンク容量を多少大きくすることにより選別調製設備のバッファー機能を持たせることができる。

システムが単純であるから理解しやすく運転操作も覚えやすい(図1-6)。

図1-6  循環乾燥設備フローシート

図1-6  循環乾燥設備フローシート

(2)原料一時貯留設備を併設した循環乾燥機設備

(1)の設備に原料一時貯留設備を併設した設備である。原料一時貯留タンクの役割の一つにバッファータンクとしての役割がある。1日平均荷受け量の1~2倍のタンクを設けることにより荷受量の変動に対応できる。また、荷受変動に影響を受けずに毎日一定量の乾燥調製出荷が可能になる。雨天で原料搬入がない場合も原料タンクから引き出した大豆を仕上げ乾燥調製でき、施設の稼動や雇い入れた作業員の労働にムラがなくなる。コンバインで短期間に収穫を終了させる場合は、毎日大量の生大豆が持ちこまれる。大量の大豆を乾燥できる大容量乾燥設備を導入するよりも原料タンクに保管し、毎日小出しに一定量乾燥調製したほうが設備コストや作業員の労働コストを抑制できる場合もある(図1-7)。

図1-7  原料一時貯留タンクつき循環乾燥設備フローシート

図1-7  原料一時貯留タンクつき循環乾燥設備フローシート

(3)貯蔵乾燥設備

乾燥設備に貯蔵乾燥設備(角ビン)を採用した設備である。原料荷受け期間中や乾燥中の条件変動に対応し易い。すなわち、原料一時貯留、乾燥および乾燥大豆の貯留などに角ビンのみで対応できる。条件に応じてビン数を設定する。原料受け入れや乾燥にいくつのビンを使うかという数配分は操業中にも状況にあわせて変えることができる。断熱ビン採用により米麦カントリーエレベーターに準じた長期貯蔵機能も付加できる。本書で説明する太陽熱利用型撹拌通風乾燥設備もフロー的には貯蔵乾燥設備に該当する(図1-8)。

図1-8  貯蔵乾燥設備(角ビン)フローシート

図1-8  貯蔵乾燥設備(角ビン)フローシート

以上、大豆子実乾燥設備について3つの代表的形式を上げて説明した。どの形式の施設を採用するかは、基本的には荷受期間と1日荷受量の大きさ及び1日荷受量の変動量などによって決まる。ただし、乾燥設備ばかりではなく調製設備の能力とコストや必要作業者の人数など総合的に検討を加え、設備全体として運用操作面及び費用の上からも利用し易い施設としなければならない。

お問合せ先

農産局穀物課
担当者:豆類班
代表:03-3502-8111(内線4846)
ダイヤルイン:03-3502-5965