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農林水産省

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2.調製施設 ― 大豆クリーナ ―

コンバインによる収穫作業を行うとき、汚粒が発生しないように細心の注意を払う必要があるが、収穫時期や天候等の都合によってやむなく汚粒が発生することもある。農林水産省の調査によれば、汚粒は大豆の検査で規格外に格付けされる主な原因の一つとなっている。このような場合、発生した汚粒に対しては、商品価値や検査等級のアップを考えるとなんらかのクリーニング処理が必要となる場合がある。

図2-22に示すように、平成3年度の生研機構の汎用コンバイン利用農家の汚粒発生後の処置を見ると、アンケート回答数の約半数がなんらかの大豆クリーニングを実施している。但し、クリーニングを適正に行わないと、たとえクリーニングをしても商品価値が上がらないこともあるので注意が必要である。

図2-22  大豆クリーニング
図2-22  大豆クリーニング

(1)大豆クリーナの種類と概要

大豆のクリーニングを行う大豆クリーナには、乾式クリーナと湿式クリーナがあり、農機メーカ4社から市販されている。市販されている大豆クリーナの概要は次のとおりである。

  1. 乾式クリーナ
    ア    S式大豆クリーナ
    本機は、図2-23に示すように、円筒(ドラム)型のクリーニング部内において、ドラム内面に張り付けた研布とドラム内部で回転する羽根による研摩方式の乾式クリーナである。なお、このクリーナは、「張込み-クリーニング-排出」の作業サイクルを自動的に繰り返す、連続バッチ処理方式である。
    このクリーナの処理能力については、1回の投入量が80kg程度、処理時間は汚粒の程度によって異なるが、10~20分程度とすると、処理量は1時間当たり240~480kg程度となる。

    図2-23  S式クリーナ
    図2-23  S式クリーナ

  2. 湿式クリーナ
    ア    Ya式大豆クリーナ
    本機は、図2-24に示すように、大豆の供給方法と同方向に移動する下側のクリーニングベルトと反対方向に移動する上側のクリーニングベルトに汚粒大豆を挟み込み、水分の付着したベルト面で大豆の汚れを拭き取った後、水切り乾燥部で大豆の表面に付着した水分を除去する連続供給型の湿式の大豆クリーナである。
    このクリーナの処理能力については、処理量が1時間当たり400~600kg程度、使用水量が300L程度である。

    図2-24  Ya式大豆クリーナ
    図2-24  Ya式大豆クリーナ


    イ    E式大豆クリーナ
    本機は、図2-25に示すように、縦形かつ円筒型のクリーニング部において水分の含んだもみ殻と汚粒大豆を撹拌し、大豆の汚れをとった後、風力により精選するバッチ処理方式の湿式クリーナである。
    このクリーナの処理能力は、カタログによれば、処理量が1時間当たり600kg程度である。

    図2-25  E式大豆クリーナ
    図2-25  E式大豆クリーナ


    ウ    N式大豆クリーナ
    本機は、図2-26に示すように傾斜したポリッシングボックスの下側より大豆と少量の水を含ませたコーンコブ(とうもろこしの芯を乾燥後、粉砕し、一定のメッシュのスクリーンを通過したもの)を入れ、撹拌パドルで撹拌し、大豆をクリーニングしながら傾斜上方に搬送する。その後、ポリッシングボックスの下方に位置するスクリーンに流れ込み、大豆とコーンコブは分離され、大豆は製品出口へ、コーンコブはポリッシングボックスへ還元され、新たな大豆のクリーニングに利用される方式の連続供給型の湿式大豆クリーナである。
    このクリーナの処理能力については、処理量が1時間当たり600~1000kg程度、コーンコブ30kgで3.5~4.5tの大豆が処理でき、その場合の加水量はコーンコブ20kg当たり6~8L程度である。

    図2-26  N式大豆クリーナ
    図2-26  N式大豆クリーナ

(2)大豆の汚粒指標

大豆クリーナの性能を評価するためには、大豆の汚粒の指標が必要である。ここでは、生研機構(市川ら)で作成した汚粒の指標及び表示法を紹介する。 写真2-2に汚粒の指標を示す。

写真2-2  汚粒の指標
写真2-2  汚粒の指標

  1. 汚粒発生割合
    収穫した大豆子実のうち、汚れた粒はどのくらいの割合であるかを示す穀粒で、0~100%の範囲で示される。

    汚粒発生割合計算式

  2. 汚染度
    収穫した大豆子実のうち、汚れた大豆子実を取り出して、汚れの程度がどのくらいであるかを示す指標で1~4の範囲で示される。

    汚染度計算式

(3)大豆クリーナの使用上の留意事項

  1. 大豆クリーナは、仕上げ乾燥を行い、大豆選別機で選別した後の大豆についてクリーニング処理行う装置であることを認識し、体系を組む必要がある。
  2. 大豆クリーナは汚れた粒の「クリーニング」という非常手段であり、大豆自体の品質向上手段ではないことから、必ずしもクリーニングによって等級が上がるとはいえないことを念頭におき、作業を行うことが必要である。
  3. 湿式の連続式クリーナの場合、クリーニング効果を高めるため過度にクリーニング処理を繰り返すと、大豆条件によっては皮切れ粒やしわ粒が発生することがあるので適切な処理回数になるように留意する必要がある。
  4. 乾式のバッチ式クリーナの場合、汚れの程度に応じて処理時間を設定しているが、クリーニング効果を高めるため過度に処理時間を長くすると、大豆条件によっては皮切れ粒や破砕粒が発生することもあるので適切な処理時間になるように留意する必要がある。

お問合せ先

農産局穀物課
担当者:豆類班
代表:03-3502-8111(内線4846)
ダイヤルイン:03-3502-5965