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農林水産省

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5.大豆共同乾燥調製施設設置上の留意点 ― 施設の設置に当たって ―

(1)地域の大豆生産の考え方

乾燥調製施設は、生産者にとって大幅な省力化、低コスト化を可能とする施設であるが、利用の方法によって省力化、低コスト化の効果が小さくなる。施設整備には少なからず投資が必要となることから、建設前に地域の大豆生産の将来像を十分に検討し、その中で乾燥調製施設の位置づけを明確にすることが必要である。

  1. 地域担い手の育成と農業生産の組織化
    大豆生産の省力化を進める上で、コンバインは多大な労力を必要とする収穫作業を省力化できる有効な機械である。
    しかしながら、収穫後の乾燥調製作業を個々の農家で実施すると、設備投資が必要な上に、調製に労力が必要となり、コンバイン導入の効果を十分に発揮することができない。特に、高性能な汎用コンバインを導入する場合、機械の能力をフルに発揮させるには乾燥調製に大きな設備投資が必要である。
    このようなことから、機械化一貫体系による生産性の高い大豆生産を目指す場合、乾燥調製施設は重要な役割を果たすこととなる。
    機械化体系を導入し、低コスト生産を実現するには、機械の作業面積を確保する必要があり、大規模農家、生産組織を育成し、これら担い手が低コスト生産を展開できるよう、農地の流動化、農作業受委託のあっせん、担い手に対する作業技術研修の実施など地域の大豆生産の改善が必要である。
  2. 高品質生産と低コスト化
    共同乾燥施設はロットの大型化に威力を発揮するが、品質の悪い大豆が混入した場合には、ロット全体が品質低下を招くこととなる。したがって、雑草、青立ち株の抜き取り、適期収穫が必要である。特に、コンバインに土をかまないよう、最下着莢位置をあげる密植栽培、培土方法など機械化体系に合致した栽培指針の作成が必要である。
    また、収穫期前にJA、農業者等でほ場の巡回を行い、適期判定、収穫までの対応方法等について乾燥調製施設利用者に徹底するとともに、施設持ち込み時に品質をチェックし、区分して扱うことについても検討が必要である。
    また、大豆生産に対する投資の増大に対応して低コスト化を推進する必要がある。機械については、担い手の育成、生産の組織化が重要であり、乾燥調製施設については、利用率を確保することが必要である。利用率を確保するためには、販売面、品質面にも留意しつつ、

    • 作期の異なる品種の組み合わせ、播種期の拡大、難裂莢品種の導入等による収穫期間の延長
    • 荷受が一時期に集中しないよう、担い手を中心とした収穫体制の構築
    • 大豆生産農家に対する乾燥調製施設利用の徹底
    を進める必要がある。

(2)施設利用体制の整備

上記のように乾燥調製施設を上手に利用するには、大豆生産農家、乾燥調製施設運営主体等が参加した施設利用体制を確立することが必要である。

これにより、大豆生産農家が主体的に施設運営に関与することとなり、施設利用に関するさまざまなルールの必要性、施設利用を確保することの重要性の理解が高まることとなる。

また、産地の規模によっては施設を単独で設置すると、コスト高になる場合も想定され、複数の産地が協力して施設を整備することを検討する必要がある。

(3)大豆流通上の留意点

そもそも地域の品種の選定は、土壌条件、気象条件などの生産に関する条件のほか、実需者から求められる品種であることが必要である。

流通コストの低減を考えると、フレコン流通が望ましいのは事実であるが、一部の大手大豆加工業者はフレコン流通に対応できるがその他の加工業者は紙袋流通が主体である。施設の運営にあたっては、出荷先の加工業者と連携し、実需者のニーズに即した荷姿での出荷に心がける必要がある。

実需者の中には、人工乾燥による大豆品質の問題を指摘する声もあるが、適切に乾燥調製することがこうした実需者の不安を解消することとなる。乾燥調製施設のオペレータの研修など技術習得に努める必要がある。

実需者からは大豆の品質が落ちないよう保管を適切にしてほしいとの要望が強い。乾燥調製施設の設置にあわせて、保管についても検討する必要がある。

お問合せ先

農産局穀物課
担当者:豆類班
代表:03-3502-8111(内線4846)
ダイヤルイン:03-3502-5965