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農林水産省

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5.大豆共同乾燥調製施設設置上の留意点 ― 建設コスト試算と施設運営コスト試算 ―

(1)建設費試算

大豆作の定着にはニーズに応じた品質に調製することと同時にコストダウンを図ることが必要である。このためには、経費の節約を図りながらもある程度高性能・高能率な機器の導入は避けられない。ここでは大豆専用の乾燥調製施設を一定の条件の下に試算した。前提条件は表5-4(GIF:11KB)に示した。対象面積は100ha、250ha、500haとし、収穫日数は実荷受期間で9日(1品種を想定)と30日(2品種以上の組み合わせおよび播種時期調製を行い収穫期間が延長できた場合を想定)とした。いずれも今後の栽培面積の拡大を考慮してコンバインでの収穫とし、収穫時水分は18%とした。また、乾燥終了時水分は、乾燥の戻りも考慮して13%に設定した。乾燥方式は[1]角ビン乾燥タイプ、[2]丸型循環式乾燥機タイプ、[3]ラック式乾燥機タイプの3タイプについて検討した。

機械設備の設計条件表5-5(GIF:16KB)表5-1の「大豆共同乾燥調製施設設計基準数値」に基づきながら、荷受け・乾燥後可能な限り即全量調製・出荷を行うことを前提としたが、設備費低減の関係から角ビン乾燥方式では、実荷受期間9日の場合1次乾燥(水分18→15.5%程度)、荷受け終了後2次乾燥(15.5→13%)する2段階乾燥についても試算した。(実荷受期間30日の場合は、1日当たりの荷受け量がなくなり、2段階乾燥する有利性がない。)

また、丸型循環式乾燥機方式については調製ラインとタンク設備の設備費比較により、乾燥後大豆の一時貯留を行うこととした。

調製作業は風力選別・比重選別・形状選別・粒径選別・色彩選別・大豆クリーナのフル装備としているが、色彩選別および大豆クリーナ設備の能力は調製設備全体能力の01月02日程度としている。

それぞれの方式の設計規模を表5-6(GIF:13KB)表5-7(GIF:9KB)表5-8(GIF:12KB)表5-9(GIF:10KB)に、また平面レイアウト(対象面積:250ha、実荷受期間:30日の場合)を図5-9(GIF:46KB)図5-10(GIF:36KB)図5-11(GIF:38KB)に示した。(施設各部の仕組みも同時に示した(図5-1(GIF:5KB)図5-2(GIF:5KB)図5-3(GIF:4KB)図5-4(GIF:5KB)図5-5(GIF:6KB)図5-6(GIF:9KB)図5-7(GIF:4KB)図5-8(GIF:7KB))。)

(2)施設運営費試算

前項で試算した「建設費」を基に施設稼働上の「年間必要費用」を試算し、試算値を施設で処理した乾燥大豆量で除して1俵当たりの費用を算出した。施設運営を独立採算とし、100%稼働で収支バランスを取るとすればこの1俵当たりの費用が利用料金として設定される。

試算に当たっては、補助率を01月02日として圧縮計算を行い、金利・税率・保険料率等は可能な限り現在の率を採用した。また、修理費・事務費等はCE運営調査(全農調査)の結果を使用した。これら試算に使用した算出式を表5-10(GIF:15KB)に、労務費算出の必要人員を表5-11(GIF:10KB)に示した。

(3)試算結果

試算結果のまとめを表5-12(GIF:9KB)表5-13(GIF:6KB)表5-14(GIF:6KB)に示した。

試算による乾燥大豆トン当たり建設費は、乾燥方式・実荷受期間により差が生ずるが、対象面積100haで90~130万円、200haで45~80万円、500ha 25~70万円となった。

このことから、100%稼働時における乾燥・調製利用料金の設定を「乾燥大豆1俵当たり1,500~1,600円」(CE並)とするには、対象面積500ha以上、実荷受期間30日以上としなければならない。また、ラック乾燥方式にあっては、大豆専用施設としての導入は好ましくなく、他作物と兼用を前提として施設運営費を検討することが必要である。

最後に、既設カントリーエレベータを改造した乾燥調製施設の事例を図5-12(GIF:54KB)に示した。

(4)建設費から見た大豆専用施設設置上の留意点

建設費抑制の観点から、次のような検討を行う必要がある。

  1. 複数品種による作付、播種期の調整、難裂莢品種等収穫期間の長い品種の選定等により収穫期間の延長を図る。
  2. 気象条件、収穫体系、輪作体系等を検討し、収穫時の水分を可能な限り低くすることにより荷受け水分を低く設定する。(降霜後の収穫は脱粒損失が増加することがある上、汚粒の要因となるので注意する必要がある。)
  3. 2段階乾燥など乾燥方法を工夫し、効率的な乾燥方法を検討する。
  4. 出荷先と選別度合い・粒径等について検討を重ね、不要な機械の除外や機械の処理能力の適正化を図る。
  5. 不要となっている農家用乾燥機の利用も検討する。
  6. 既設ライスセンター・カントリーエレベータの荷受設備、乾燥設備等改造により施設の汎用利用も検討する。

お問合せ先

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