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農林水産省

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指定前の公示(第99号)

更新日:令和3年8月2日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Sel de Guérande / Fleur de sel de Guérande(セル ドゥ ゲランド/ フルール ドゥ セル ドゥ ゲランド)


1 指定前の公示の番号  第99号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  欧州連合
3 農林水産物等の区分  第8類 調味料類(食塩)
4 農林水産物等の名称  Sel de Guérande / Fleur de sel de Guérande(セル ドゥ ゲランド/ フルール ドゥ セル ドゥ ゲランド)
5 農林水産物等の生産地  フランス
 ロワール地域圏(ロワール=アトランティック県)の39自治体及びモルビアン県(ブルターニュ地域圏)の7自治体が含まれる。
自治体
ロワール=
アトランティック県
(39自治体)
Asserac
Batz-sur-Mer
La Baule-Escoublac
Besne
Bouée
Campbon
La Chapelle-des-Marais
La Chapelle Launay
Le Croisic
Crossac
Donges
Drefféac
Guenrouët
Guérande
Herbignac
Lavau-sur-Loire Malville
Mesquer
Missillac
Montoir-de-Bretagne
Piriac-sur-Mer
Pont-Château Pornichet
Le Pouliguen
Prinquiau
Quilly
Saint-André-des-Eaux
Saint-Gildas-des-Bois
Saint-Joachim
Saint-Lyphard
Saint-Malo-de-Guersac
Saint-Molf
Saint-Nazaire
Sainte-Anne-sur-Brivet
Sainte-Reine-de-Bretagne
Savenay
Sévérac
Trignac
La Turballe
モルビアン県
(7自治体)
Camoël
Férel
Nivillac
Pénestin
La Roche-Bernard
Saint-Dolay
Théhillac

6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
 セル ドゥ ゲランド及びフルール ドゥ  セル ドゥ ゲランドは、ゲランド半島の塩田のみに由来する手作業で採取した海塩である。これらは精製及び洗浄されていない無添加の海塩である。主に塩化ナトリウムの結晶から成るが、その他のミネラル塩や微量元素も自然に含まれている。セル ドゥ ゲランド及びフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドの生産は、海水中の塩分の濃縮という自然の過程に基づいている。海水中の塩分は、一連の塩田を循環した後、最後の塩田となる採塩池又は塩田の中で結晶化する。

 セル ドゥ ゲランドは、塩田の天然の粘土基盤上で形成される塩結晶からなる灰色の海塩である。専用の道具を使って塩田の塩水から手作業で採取される。様々な粒径及び湿り気の塩を得るため、貯蔵と選別の後、そのまま又は乾燥若しくは製粉後に包装される。

 フルール ドゥ セル ドゥ ゲランドは、軽量、微小で、脆い結晶で形成される。この結晶は、好適な気候条件(風及び日光)において、灰色の塩を生産する塩田の塩水表面で形成される。フルール ドゥ セル(塩の花)は、塩田の表面に浮いている間に専用の道具を使って手作業で掬うことで採取される。いったん水底に沈んでしまうと「塩の花」として採取できなくなる。「塩の花」は塩田の表面で結晶化し、白色であるという点で灰色の塩とは異なる(塩田の底とは接触しない)。貯蔵及び選別後、そのまま又は滑らかさを改善するため部分的に乾燥させたのち包装される。

 ゲランド半島の塩業で用いられる採取方法によって、以下のような特性を付与される。
 ・物理的特性:セル ドゥ ゲランドは、塩田の粘土基盤の塩水浅層から採取され、脆い質感の薄灰色の塩である。フルール ドゥ セル ドゥ ゲランドは、塩を採取する前に塩田の表面から集められ天然の白色を有する。
 ・化学特性:海水に由来する天然の非洗浄、非精製、無添加の塩であり、豊富な鉱物(マグネシウム、カルシウム、カリウム)と微量元素を含み、水分含量が比較的高い。
 ・官能性質:苦味や辛味がない。
 
(2) 生産方法

〇 製造工程
 以下の工程は生産地内で行われなければならない。
 ・セル ドゥ ゲランド又はフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドの採取
 ・セル ドゥ ゲランド又はフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドの大量貯蔵
 ・生産地外で後日再包装された場合に産品を追跡可能にする最初の包装工程

〇 表示ラベル
 セル ドゥ ゲランド及びフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドは、密封した包装内で保存しなければならない。表示ラベルには以下を記載する必要がある。

 ・名称:灰色の塩及び灰色の塩を乾燥又は製粉することで形成された産品についてセル ドゥ ゲランド、「塩の花」の塩についてフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドを用いる。
 ・地理的表示の保護及び管理の責任を持つ組織の名称及び住所

(3) 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
〇 生産地の特性
 この地域の特異性は、風と日光の存在、温暖な冬季と冷涼な夏季から成る海洋性気候といった気候条件に基づいている。また、土壌の種類にも特異性は基づいている。沿岸塩田の形成には、最高潮位地点に位置し、波浪の影響から遮断された大規模な粘土地帯が必要である。ゲランド塩田は、砂州の背後に位置する。土壌の粘土(土壌を不浸透で順応性のあるものにする)含量により、人為的塩田の造成が可能となっている。また、この地域の特異性は、人的要素及びこの地域の利用方法にも由来する。ゲランド地方の塩田についての最初の文書記録は854年に遡る(「Cartulaire de Redon」)。10世紀から14世紀にかけてゲランド塩田は拡大し、16世紀以降は塩田が著しく増加、19世紀にピークを迎えた。1840~1960年にかけて、塩田は減少した。1970年以降、ゲランド盆地の塩生産は再び増加している。塩田と生産技術は過去数世紀の間変わっていない。塩田は伝統的技術で修復されている。1979年には、ゲランド半島に塩生産者の職業訓練所が創設された。
 歴史的及び経済的理由で生産量は年によって変動するため、ゲランド盆地の生産者と供給者は戦略的に備蓄している。塩貯蔵庫は伝統的に塩田のそばに位置する。生産地には、歴史的に塩商人が頻繁に出入りする貯蔵設備がある自治体が含まれる。

〇 特定の専門技術
 ゲランド半島の塩業従事者は、フランスの大西洋岸全域で最古の海沿いの農業体制のひとつに基づき、生産技術を習得している。塩田の構造はゲランド盆地に固有である。塩業従事者は、さまざまな濃縮池の水位と水循環を同時に管理し、数週間にわたり塩濃度が段階的に高まるようにし(塩田の濃度を結晶化濃度の極めて近くに維持する)、自然のろ過によって水を純化し、最終的に産品を採取する。

 「塩の花」は、塩が塩田の底に沈む前に、専用の柄の長い木製熊手を使って塩田の表層を手作業で掬うことで採取される(「搔き集め」工程)。

 セル ドゥ ゲランドについては、ラスと呼ばれる道具を使って、結晶を塩田中央部に集め、塩田そばの専用台に運び、流し込む。ラスを使うことで塩水がかき混ぜられ、塩田底部で形成された結晶が粘土粒子を残して浮かび上がる。

 水抜きを必要とし、容易に流れず、周囲湿度を吸収しやすいという産品の性質と特性のため、セル ドゥ ゲランド及びフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドは貯蔵及び包装についても特殊な技能と知識を必要とする。水抜きされたできるだけきれいな「塩の花」を、業者又は包装業者へ運ぶため、生産者は初期貯蔵(中間貯蔵又は事前貯蔵)を行い、産品を選別する。中間貯蔵は生産者の施設で行われるが、土地のスペースを圧迫するため、塩田付近とは限らない。生産地の境界はこの点を考慮している。

〇 評価
セル ドゥ ゲランド及びフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドの特徴的な味及び栄養品質は、数世紀にわたって高く評価されており、美食家のための塩としての地位を築いている。広告機関及び流通業者が実施した調査及びアンケートでは、セル ドゥ ゲランド及びフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドに関心がある消費者の存在が示され、多数の高名なレストランや農業食品ビジネスがこの塩を高く評価している。セル ドゥ ゲランド及びフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドに言及する記事は数百にのぼる。
「セル ドゥ ゲランド」という言葉は、遅くとも1698年には使われていた。「フルール ドゥ セル」という言葉は1930年代から公に登場していたが、この名がよく知られるようになるのは1970年代の終わりからである。セル ドゥ ゲランド及びフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドという言葉の評判は1980年代終わりにこれらの産品が商業開発されるのとともに広まった。
 セル ドゥ ゲランド及びフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドの採取は、自然発生的な粘土、そして大潮の満干潮地点間に位置するという明らかな特徴をもつ塩田でのみ行われる。海水の結びつきと塩田の構造が複雑であることが、ゲランドの景観と地域の知恵という不可欠な要素を生んでいる。ゲランド半島の塩田で用いられる採取法は、大西洋岸の他の生産地とは異なっている。この採取法は、潮の変化、塩の濃縮を促進する三種類の濃縮池の使用、採取頻度、塩水からの塩の採取、機械によらない採取過程で特徴づけられる。セル ドゥ ゲランド及びフルール ドゥ セル ドゥ ゲランドは、この部門の生産者と取扱業者が固有の知識を持つ生産地内でのみ大量貯蔵することができる。出荷前に生産地内で行われる最初の梱包で密封及び表示ラベル付けがなされ、これは産品の産地と追跡可能性を保障するためにも不可欠である。
7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和3年8月2日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和3年11月2日まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局 知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4284)
ダイヤルイン:03-6744-2062
FAX番号:03-3502-5301