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農林水産省

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指定前の公示(第110号)

更新日:令和3年8月2日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Los Pedroches(ロス ペドロチェス)


1 指定前の公示の番号  第110号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  欧州連合
3 農林水産物等の区分  第6類 畜産加工品類 食肉製品類(ハム類)
4 農林水産物等の名称  Los Pedroches(ロス ペドロチェス)
5 農林水産物等の生産地  スペイン

 コルドバ県の次の市町村:Alcaracejos、 Añora、 Belalcázar、Bélmez、Los Blázquez、 Cardeña、Conquista、Dos Torres、Espiel、Fuente La Lancha、Fuente Obejuna、La Granjuela、El Guijo、Hinojosa del Duque、Pedroche、Peñarroya-Pueblonuevo、 Pozoblanco、Santa Eufemia、Torrecampo、Valsequillo、Villanueva de Córdoba、 Villanueva del Duque、Villanueva del Rey、Villaralto and El Viso、及びAdamuz、 Hornachuelos、Montoro、Obejo、Posadas、Villaharta、Villaviciosaの市町村の標高300メートル地帯
6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
 ロス ペドロチェスは、イベリア種の豚肉から生産されるショルダーハムである。原料豚は全ての系統の豚のうち、雌親が純粋なイベリア産であることを前提として、少なくとも75%がイベリア種と25%以下のデュロック種又はデュロック・ジャージー種の血統で、出生から最終肥育までの全段階を生産地内で育てられた豚である。
 様々な種類の豚の部位に応じて、最終の肥育段階で豚に与えられた飼料の種類により次の3つの等級に分類される。
 ・「ベジョータ(Bellota)」ハム、ショルダー:
 デエサオークの森における放し飼い(放牧)の「モンタネロ(montanero)」(木の実飼料)システムに基づき最終段階で肥育され、どんぐりと草のみを飼料とする豚で、ガスクロマトグラフィーによる皮下脂肪の脂肪酸数値が「ベジョータ」のパラメータ内にあるもの。どんぐりの十分な供給を確保するため、本産品における「ベジョータ」分類にある豚の密度は1ヘクタールにつきイベリコ豚1匹を超えないこととする。

 ・「レセボ(Recebo)」ハム、ショルダー:
 スペインのデエサオークの森における放牧木の実飼料システムでどんぐりと草のみを飼料とする期間の後、最低8.75kgの体重が増加した豚。同様の放牧システムを維持しつつ、規制委員会が確認、許可した穀物とマメ類ベースの飼料を毎日一定量食糧に補うことが必要である。ガスクロマトグラフィーによる皮下脂肪の脂肪酸数値が「レセボ」のパラメータ内にあるもの。どんぐりの十分な供給を確保するため、本産品における「レセボ」分類にある豚の密度は1ヘクタールにつきイベリコ豚2匹を超えないこととする。

 ・「セボ デ カンポ(Cebo de Campo)」ハム、ショルダー:
 スペインのデエサオークの森で放牧された豚のもの。季節により、デエサの草、牧草地又は切り株のような天然資源を基本的な餌とする。必要であれば、規制委員会が確認、許可した穀物とマメ類ベースの飼料を毎日一定量補う。デエサの天然資源の十分な供給を確保するため、本産品における「セボ デ カンポ」分類にある豚の密度は1ヘクタールにつきイベリコ豚12匹を超えないこととする。

〇 ハムとショルダーの特徴
 ・典型的な「corte serrano」と呼ばれるV字カットのある長く細い形状をしている。証明のために足は残される。
 ・ピンクから紫がかった赤の幅をもつ特徴的な色であり、肉の全体の切り口に脂肪交雑が見える。
 ・肉はごくわずかな塩味又は甘味がある。肉は乾いた味わい。この種類の製品には一般的な、わずかにロースト又は乾燥したナッツの香りのある、心地よく強い香りである。
 ・舌触りはあまり繊維質ではない。
 ・脂肪に光沢があり、ピンクがかった白又は黄色がかった色合いを有する。香りが強く、心地よい味わい。食糧におけるどんぐりの割合で密度が異なる。

(2) 生産方法
 生産地内でイベリコ豚の屠殺と肉処理、切り身の加塩、塩漬け、乾燥、熟成といった全生産工程が行われる。
〇 原材料
 原料豚は、伝統的慣習に従い、木の実、放牧飼料システムで飼育され、地域内で常緑オーク、コルクガシ、没食子からできるデエサの他の自然物が給餌される。
 イベリコ豚の品質と加工後のハムとショルダーの官能品質を決定する際の重要な要素は、品種、動物の年齢、最終肥育段階の放牧システムに基づく餌と飼育である。最終肥育段階は、製品の最終的な品質の重要要素であり重要である。この最終肥育段階に関して、保護されたハムとショルダーには3つの等級がある。

 ・「ベジョータ」:生産地内のデエサにおける、どんぐりと草のみに基づいた最終給餌。そのため、餌は生産地内で全て調達される。
 ・「レセボ」:最終肥育では、食糧がどんぐりと草のみの段階があり、それに続く段階で豚は生産地内のデエサにおいて放牧システムを取る。食糧の草は必要に応じて規制委員会が許可、監督した餌が補給される。指定された生産地産の餌の割合は最低85%である。
 ・「セボ デ カンポ」:最終飼育段階で、豚は生産地内のデエサにおいて放牧システムで飼育される。どんぐりの残り、草又は穀物の株など、本質的にデエサにある季節の自然物を餌として与えられる。必要な時は、規制委員会が許可、監督した餌が補給される。指定された生産地産の餌の割合は最低65%である。

 本原産地指定の対象となる豚が食べる餌は、全て生産地内で育てられる。
 規制委員会は、構成成分に基づいて「レセボ」、「セボ デ カンポ」グレードに与える最終肥育段階で使用が認められた餌のポジティブリストを持つ。それらは本書に記載、定義された地域で加工された主に穀物、マメ類でなければならない。
 検査機関(Servicio de Control y Vigilancia)が豚の品種と年齢、最終肥育段階を確認し、屠殺場へ運ばれる。その後、食肉処理工場で脚が取り除かれ、生産地の気候を最大限に利用した熟成プロセスへと進み、ハムとショルダーの切り身に固有の色、味わい、香りが得られる。

〇 加工工程
 塩漬け:切り身の乾燥と保存を促進させるために食塩を肉に加える。この処理は0℃~5℃の間の温度と80%以上の湿度で行われる。塩漬けの時間は切り身の重量により異なり、1kg当たり0.7~1.2日の間でなければならない。

 洗浄:水中で洗い、水気を切ることにより、表面の塩を切り身から取り除く。

 休息:塩を切り身の組織に行きわたるよう広げる。水分はゆっくり着実に減少し、切り身の密度は大きくなる。この工程は0℃~6℃の気温と75~85%の相対湿度がある室内で行われる。室内で切り身をどれくらいの期間残すかは重量によるが、30~90日の間でよい。

 乾燥/熟成:この工程では、安定した脱湿が継続し、製品は「汗をかき」、筋繊維間の脂肪が分散する。筋繊維に一旦浸み込むことで、香りを保持する。生産地に固有の気候を最大限利用し、自然乾燥で行われる。この工程は約6ヶ月継続する。

 貯蔵庫での熟成:生産地に固有の気候を最大限に利用し、自然の貯蔵庫で行われる。切り身は、これらの設備において、最低でも、ハムの場合18ヶ月間、ショルダーの場合12ヶ月間熟成される。

〇 ラベル表示
 規制委員会は、全体がはっきりと見えるよう、再利用が不可能であることを示し、「Los Pedroches」の文字と切り身が属するグレードを記載したラベルを産品(全体、スライス、切り分け品などすべての形態を含む)に貼り付ける。

(3) 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
 コルドバ県の北には30万ヘクタールの常緑オーク地帯、デエサがある。農業、林業システムの一部として、家畜放牧は古代より放し飼いで行われてきた。特にその優れた例として、どんぐりの潜在的栄養を最大限に生かしたイベリコ豚の飼育と養豚がある。豚が存在しなければ、この生態系は消えてしまうだろう。ロス ペドロチェス地域のどんぐりの平均収穫高は約1000kg/haである。
 デエサの土地は16世紀に王室から購入され、ほとんどが開拓のために競売にかけられ木の実給餌を含む様々な形で利用された。その後、19世紀には土地は教会又は貴族の所有から外され、市場に出された。しかしながら、養豚は引き続き監督され、その後の倒木とオークの森の管理を統括する法令とともに現在まで残っている。
 家畜管理の顕著な特徴は、豚の屠殺前、最終肥育段階での木の実給餌である。これにより、どんぐりの消費が多いほど融解点が低くなる脂肪が蓄えられ、切り身に香りと肉汁を与え、放牧豚の身体運動により、脂肪がよりはっきりわかる密度のある筋質の歯ごたえが実現する。
 本産品のハムとショルダーの切り身の優れた官能品質は、世界でも稀で類のないシステムである放し飼い木の実給餌に関係している。デエサの天然資源に良い効果をもたらすために最終の肥育段階で季節ごとにどんぐり、草、牧草地、又は切り株が基本的に使用される。これは、産品に他の生産方法では真似できない種類の脂肪をもたらす重要な要素である。
 コルドバ県の北にあるデエサには、全イベリア半島の「コナラ属」の他の種類に比べ、最も広い範囲の常緑オークがある。現在の原産地指定の対象となる地域において豚が消費するどんぐりの種類に関する限り、それが必然的にともなう。さらに、そこは国内で没食子のどんぐりが大きく成熟する唯一の地域である。その他の「コナラ属」より約20日早く熟すため、イベリコ豚の木の実給餌期間を早期化する。このことは本産品の特性を与える非常に重要な要素である。
 デエサにおいて放し飼いで飼育されるイベリコ豚の食糧におけるデエサ牧草地の重要性は、本産品に特性を与え、他の産品と区別する要素として、また地域の産品との結びつきとして強調されるべきである。これは科学的に完全に証明されている。
 1980年代、この養豚の伝統に加えて、イベリコ豚製品の加工・マーケティング企業が設立され始め、豚の上質な切り身の品質だけでなく、生産で発揮される職人技術、海抜約700メートルという地域の平均標高、大陸の寒く乾燥した気候も本産品の成功をもたらした。
7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和3年8月2日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和3年11月2日まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局 知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4284)
ダイヤルイン:03-6744-2062
FAX番号:03-3502-5301