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農林水産省

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指定前の公示(第114号)

更新日:令和3年12月22日
担当:輸出・国際局 知的財産課
下記の名称について、指定前の公示をしたのでお知らせします。

Arbroath Smokies(アーブロース スモーキーズ)


1 指定前の公示の番号  第114号
2 指定をした場合に締約国の名称として公示されることとなる国の名称  グレートブリテン及び北アイルランド連合王国(英国)
3 農林水産物等の区分  第7類 水産加工品類 加工魚介類(魚醤油は除く。)(燻製ハドック(コダラ))
4 農林水産物等の名称  Arbroath Smokies(アーブロース スモーキーズ)
5 農林水産物等の生産地  イギリス

 アーブロース タウン ハウスから半径8km以内の内陸部、北のウェスト メインのコミュニティと南のイースト ヘイブンのコミュニティまで
6 農林水産物等の特性、生産の方法その他の当該農林水産物等を特定するために必要な事項 (1) 特性
  「アーブロース スモーキーズ」は、以下の生産方法に従い生産地内で加工され、頭とはらわたを取り除いた燻製ハドックである。多くの場合、ハドック(コダラ)はスコットランド周辺の海で漁獲され、スコットランドの港で水揚げされたものである。ただし、異常気象や慢性的な漁獲不足など例外的な状況では、コダラはスコットランド以外から調達される場合もある。
  350~550gの重さのコダラ2尾を麻紐で結んだ加工品として販売されており、色は濃い金色から中程度の茶色で、中の身はクリーミーな白色である。外側は少しパサついているが、内側はしっとりとジューシーな食感で、身は骨から剥がしやすくなっている。非常にかぐわしい、マイルドな魚の香りがし、軽い燻製風味とわずかな塩味をもつ。
  新鮮な魚を用いて伝統製法に則り直火で燻製にされるため、機械式窯で燻製される同様の製品には真似できないジューシーさと風味をもつ。
  本産品の美味しさは、コダラに左右されると言われ、本産品の究極の味わいは、元の素材の良さに由来する。そして、燻製の煙の仄かな甘さと、繊細なコダラの絶妙な組み合わせが美味しさの秘密となっている。

(2) 生産方法
  新鮮な状態のまま氷詰めにされたコダラを、沿岸の魚市場で競りにより仕入れる。これらのコダラは、公式に指定されたスコットランドの魚市場に漁船が直接水揚げしたものである。その後、魚は加工施設において手作業で加工される。コダラは、内臓を取り、洗浄した後、乾燥させ、風味を加え、外皮を硬化させるために、乾燥塩の入った容器に重ねられる。この工程にかかる時間は、魚の重量によって異なる。塩漬け工程の途中で、同じサイズの魚2尾を1組にして、地元で生産された麻紐(かつてはこの地域の多くの紡績工場の副産物だった)で尾を結ぶ。漬け塩工程が完了したら、1組にした魚を洗浄して残っている塩を取り除き、三角形のレールの上に掛けて乾かす(2尾を結んだ紐がレールの上に来るようにして掛ける)。この工程により、さらに皮が固くなり、燻製の炎の熱にさらされても裂けることがなくなる。
  次に、燻製ピットを準備する。伝統的に「バレル」と呼ばれるピットでは、ブナオークの硬材をバレルの底に置き、点火して激しい火をおこす。燻製工程には次の3つの段階がある。

  1. 2尾1組の魚を掛けた三角形のレールを、バレルの上に並べる。2尾ずつ組になった魚をバレルの上に並べると、バレルに供給される酸素が減り、火力が弱くなる。
  2. 木が燃えることで発生する熱により、魚は水分を放出し、その水分が直火の上に落ちるため、バレルは高湿度になる。この熱と湿気により、コダラに完全に火が通り、独特の色が付く。
  3. コダラは45~60分かけて完全に調理される。気象条件と木材の乾燥は、燻製時間に影響を与えることとなる。魚がどれだけよく燻製されているか、いつ完成するかを判断するには、燻製者の技能が重要となる。
 
  工程が完了し、コダラが調理されたら、三角形のレールに掛けたまま、バレルから外して冷ます。熱を冷ましたら、コダラはすぐに食べることができる。
  現在も手作業で行われており、世代から世代へと受け継がれてきた燻製工程の技術は、19世紀の技術と本質的に変わることはない。

 (検査機関)
 Trading Standards Office

(3) 農林水産物等の特性がその生産地に主として帰せられるものであることの理由
  現在知られている「アーブロース スモーキーズ」は、スコットランドのアンガス郡にあるアーブロースの北約3マイルにある小さな漁村オーチミシー(Auchmithie)で始まったとされている。この村は、1434年に古代アーブロース寺院によって初めて記録され、約1000年前に、スカンジナビアの侵略者がスコットランドの海岸に定住したのが起源とされる。スカンジナビアとのつながりは、当時のスカンジナビアでも魚を保存するために熱燻製が行われていたことからも明らかであり、侵略者が魚を熱燻製する方法と伝統を村にもたらした。
  本産品がオーチミシーからアーブロースに運ばれた経緯も文書に記録されており、1705年、町の衰退した漁業を救うためアーブロースの町議会は漁師たちを呼び寄せようと尽力し、それに応じてオーチミシーの村人たちは南部に移動し始めた。漁師たちは、以前は農奴の身分で暮らしていたが、1830年までに農奴制度はなくなり、オーチミシー村の漁師は自由に移動することができるようになった。アーブロースの町議会はコミュニティを構築するために、適切な場所を割り当て、漁師たちとその家族を町に呼び寄せた。その後、オーチミシー村の漁師たちは本格的にアーブロースの町に移動し始め、「フィット オ トゥーン([fit o’ the toon]、町のふもと、港湾地域)」に定住し、船や伝統、技術がもたらされた。
  1920年までに、オーチミシー村の漁民の大部分がアーブロースに移住し港湾地域の大部分を占めることになり、今日まで町の港湾地域には主に漁師漁師の子孫が住んでいる。実際に、この地域は現在当局によって、魚の燻製のための区域に指定されている。
  19世紀になると写真技術が発達し、実際に視覚的記録を見ることができるようになったため、アーブロース地域における燻製産業の存在と重要性が疑う余地なく証明されることとなった。現在の生産者の多くが、そのルーツを家族の先祖の世代を通して、本産品の起源にさかのぼることができるという事実は、燻製工程を行うために必要な技能が長年にわたり受け継がれてきただけでなく、本産品の生産の伝統が根強く残っていることも示している。実際に、生産者の一部の名前(スピンク(Spink)、スワンキー(Swankie)、カーギル(Cargill))は、バイキングに由来している。本産品の特徴は、伝統、評判、燻製工程、工程に携わる生産地の人々の技術に基づいている。この技術は、世代から世代へと受け継がれてきたのである。
  その伝統と生産工程は、19世紀後半の小さな漁村オーチミシーにまでさかのぼることができるが、生産工程そのものは、さらにはるか昔までさかのぼることを示す証拠文書も残っている。
  当時は、魚などの生鮮食品や腐りやすい食品を保存できる冷蔵設備や製氷機能は存在せず、生鮮食品を保存し、貯蔵期間を延長するには、塩漬け、乾燥、燻製、あるいはこれらのすべてを組み合わせて加工する必要があった。
  さらに、当時の漁業社会では極度の貧困と厳しい地理的制約の中での暮らしを余儀なくされていた。彼らは生き残るために、その土地や海で獲れたものを食べて生活し、収入を増やすために余った食べ物を販売する必要があった。時が経つにつれ、地元の漁師とその妻たちは、路上で売るために背中と腕に魚の入った籠を下げて、ダンディーなどの郊外で販売を始めた。やがて、スモーキーズの評判は、近隣地区を超えて広がり始めた。
7 法第29条第1項第2号ロの該当の有無等 
(1)商標権者の氏名又は名称  -
(2)登録商標  -
(3)指定商品又は指定役務  -
(4)商標登録の登録番号  -
(5)商標権の設定の登録の年月日  -
(6)専用使用権者の氏名又は名称  -
(7)商標権者等の承諾の年月日  -
8 公示の年月日  令和3年12月22日
9※ 意見書提出期間
(公示開始日から3か月間)
 令和4年3月22まで
※縦覧及び意見書提出についてはこちら

お問合せ先

輸出・国際局知的財産課

担当者:地理的表示保護制度担当
代表:03-3502-8111(内線4285)
ダイヤルイン:03-6744-2062
FAX番号:03-3502-5301